8.5倍録画に対応! 果たしてその画質は?
長時間録画はパナソニックが10倍記録のモデルを発表したものの、現在発売中の製品ではAQUOSブルーレイの8.5倍記録が最長となる。シャープはMPEG-4 AVCのエンコードに、放送データの一部を利用する「トランスコーダー方式」を採用している。このトランスコーダーをダブル搭載することで、ダブル録画時でも両方の番組を長時間録画することが可能だ。
肝心の8.5倍録画時の画質の最大の特徴は、静止したシーンやゆっくりと動くシーンでは驚くほど高精細なこと。反面、動きの速いシーンでの破綻が多く、その落差がやや大きい印象。正直に言えば、相性の悪いソースではかなり激しくMPEGノイズが発生するので、常用はおすすめできない。とはいえ、番組の内容に合わせてうまく使い分ければ、8.5倍とは思えない録画ができるのも確かだ。
そこで、主な番組ソースでの8.5倍モードでの画質の印象を紹介していこう。もっとも相性の良いものは、ドキュメンタリー番組。この画質には正直驚いた。自然を映したような、カメラは固定またはゆっくりとした動きの映像では、他社の8倍相当のモードの場合は一見して解像度の劣化を感じるのだが、AQUOSブルーレイの8.5倍の場合はそれがない。よく見れば細かい質感がやや荒れていることもあるが、遠景の景色などは鮮明でほとんど解像度の劣化はない。
こうした自然を映した映像のほか、絵画などの美術品や建築物などを映した映像も同様に精細感のある映像で楽しめると思われる。
一方で相性の悪いソースの代表例はスポーツ。例えばサッカーで、カメラを固定してロングで撮るシーンでも、素早く動く選手はノイズが発生しがちになる。選手の背番号も読めるなど十分な情報量はあるのだが、輪郭のぼやけた感じやノイズのチラツキが目立って見づらい印象になる。また、たくさんの選手が一斉に動くと、情報量が不足するのか、芝目なども一気に解像度が劣化し、映像も乱れがちになる。
さらに厳しいのは音楽番組。特にロックやポップスのように激しく照明が明滅するものは、解像度の劣化とノイズの発生が目立ってしまう。反面、クラシックコンサートのような画面の動きが少ないものは比較的良好だった。ただし、オーケストラ全体を映すような場面で、演奏者が一斉に音を出しているようなところでは、動いている部分でノイズの発生が見られる。
このように、ドキュメンタリー番組などをよく録る人にとってはかなり有効。映画もアクションものよりも、ラブロマンス作品などが好きという人ならばかなり実用的。スポーツや音楽番組を録るなら、個人的には3倍まで。視聴のみなら5倍あたりまでがハイビジョンらしい映像を楽しめると感じた。
長時間録画でもハイビジョンらしい精細感にこだわっているのは立派なのだが、動いているシーンの落差は気になるところ。もしも長時間モード固定で使うのならば、連動データの記録もできる「3倍モード」に固定するのが実用的だ。このモードなら、音楽やスポーツなどでも映像の乱れは最小限で、じっくりと比べて見なければ、どんな番組でもオンエアの映像と遜色のない映像が楽しめる。