ソニーはCESに合わせて開催した1月6日の記者会見で、同社がアメリカ市場に問う「新ネット端末」として、「dash」という製品を発表した。
シンプルな四角いデザインに見やすい液晶ディスプレーを備え、通信は無線LAN。アンチエイリアスの効いた、非常に美しい表示が特徴だ。
ネット端末とはいうものの、ウェブブラウジングするのがメインではなく、登録されたアプリケーションやネット情報の一部を、「ウィジェット」として表示していくのが基本的な使い方となっている。通信手段は内蔵の無線LAN。AC電源が必要で、バッテリー動作ではない。
タッチパネルでウィジェットの操作や切り換えができるほか、本体上部には別途、メニュー呼び出しや音量調整のボタンがある。本体のデザイン的にも、「フォトフレームのような目覚まし時計」のような印象を受ける。
ここまでの説明で「ピン」ときた方は、相当にこの種のデジタルガジェットに詳しい方だろう。実はこの製品、「Chumby」が元になっているのだ。Chumbyとは、米Chumby Industry社が開発したウィジェット・ベースのネット端末。特徴は、OSとなる「Chumby OS」がLiunuxベースで作られた「オープンソース」ということと、ウィジェットの開発環境が公開されており、ユーザーの自作ウィジェットが数多く存在する、ということだ。
2009年のCES基調講演で、ソニーCEOのハワード・ストリンガー氏は、Chumbyの技術をベースにした「次世代クロックラジオ」の開発を公表していた。dashはその成果の第1弾なのだ。
とはいえ、dashはChumbyそのものではない。ウィジェットはそのまま動作しているようだったが、UIや操作感覚などは、かなり改良が加えられている印象を受けた。またディスプレーなどの品質は、さすがに「いかにもソニー製品らしい」良さを持っている。
会場の説明員の話では、「Chumby OSがベースだが、ハードとの連携部分やUIの開発などでは、Chumbyと協力してソニーが新たに開発した部分も多い。『BRAVIA Internet Video』(ソニーのテレビ向け動画配信サービス)や音楽配信へのアクセス機能も搭載した。絵と音をベッドサイドなどで楽しむために使ってほしい」とのこと。
出荷は4月の予定で、価格は199ドル(約1万8408円)と意外に安い。日本語対応については情報をもらえなかったが、Chumby向けのウィジェットで「日本語対応」のものが動作していたので、少なくとも表示は可能と思われる。日本での出荷予定は未定だという。
