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2010 International CESレポート Vol.1

目玉はSlate PCだけ? マイクロソフトのCES基調講演

2010年01月08日 22時03分更新

文● 塩田紳二

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マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏

HPの「Slate PC」試作機を披露する、マイクロソフトCEOのスティーブ・バルマー氏

 米国ラスベガスで毎年開催されている家電の展示会「International Consumer Electronics Show」(以下CES)では、開催前日の夜に米マイクロソフト社が基調講演を行なうのが常となっている。ビル・ゲイツ氏が経営から引退した後、基調講演を担当するのは、同社CEOのスティーブ・バルマー(Steve Ballmer)氏だ。

 すでにWindows 7の出荷が行なわれた後でもあり、今回のCESの基調講演では、次世代のWindowsについての言及が多少でもあるのではという観測もあったのだが、実際にはWindows 7や検索サービス「Bing」といった、昨年の成果や既発表のものを整理した程度で、新規性のあった部分はわずかだった。

 講演のテーマは大きく3つ。「Screens Everywhere」、「Cloud」、「Natural User Interface」である。それでは注目のトピックについて解説しよう。

基調講演のテーマは「Screens Everywhere」「Cloud」「Natural User Interface」の3点

基調講演のテーマは「Screens Everywhere」「Cloud」「Natural User Interface」の3点


Slate PC

 新規の話題が少ない講演の中でも、目新しい部分はあった。それが「Slate PC」だ。これは、かつて「ピュアタブレット」と呼ばれていたカテゴリーのモバイルPCのこと。Windows 7のHome Premiumエディション以上にはタブレットPC機能があり、標準でマルチタッチなどの機能を備える。これを使い、キーボードがなく、全面がディスプレーとなる板状のPCを、Slate PCと呼ぶことにしたようだ。

講演中に紹介された3種類のSlate PC

講演中に紹介された3種類のSlate PC。写真奥の大きなものが台湾Pegotron社の製品で、中段右側にあるのがHPの試作機、そして下段左側が仏Archos社の製品

 「某社のタブレットがもうじき発表される」という噂が駆けめぐるなかで、タブレットPCで先鞭を付けたマイクロソフトが、一応この分野も諦めたわけでないということを示した形だ。ただ、これまでもSlate PCと同等の機種は発売されている。今回の話から判断するに、特にSlate PCと呼ぶための明確な定義があるわけでもなく、すでに発表済みのものも含め、キーボードなしの機種を集めて、こう呼んでいるようだ。

 基調講演で展示されていたのは、仏Archos社、米ヒューレット・パッカード(HP)社、台湾Pegotron社の試作機だ。この中でバルマー氏が紹介したのは、HPのもの。2010年内に発表予定とのことだが、詳細な情報はまだ開示されていない。ざっと見ると、液晶ディスプレーは10インチ程度で、Windows 7を搭載している。サイズなどからすると、Atomなどの低消費電力CPUを採用したマシンとおもわれる。未発表であることから、新Atomを核としたPine Trailプラットフォームを利用しているのではないかと考えられる。

 講演でのデモではなぜか、Windows 7の上で動く「Kindle for PC」(米amazon.comが提供するWindows上の電子ブックリーダーソフト)を動かしてみせた。電子書籍リーダーを狙うと言われている某社のタブレットマシンを意識してのことなのだろうか?

 もうひとつのメーカーであるArchosは、すでに「ARCHOS 9 PCtablet」を発表しており、展示されたのはこの機種ではないかと思われる(関連リンク)。Archosは、ARM系プロセッサーとLinuxを使ったタブレットマシンを先行して発表しており、インテルの次世代Atom Zを使うプラットフォーム「Moorestown」を使った携帯インターネット端末(MID)を、インテルと共同で開発しているという。

 マイクロソフトは、タブレットPCの新しい形として「Courier」と呼ばれるプロトタイプを公開しているのだが、今回のSlate PCの発表は、新しいPCの形というよりも、「キーボードなしのマシンが増えてきたので、Slate PCという名前をつけた」という程度のようだ。

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