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検索大手は、なぜIME開発に取り組むのか

まさかのIME参入!? 「Baidu Type」の完成度をチェック

2009年12月17日 10時00分更新

文● 松本淳

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動作は軽快だが……

 動作はGoogle日本語入力と同様に軽快な印象だ。校正機能などの入力支援機能を備えないことが、パフォーマンスにはいい影響を与えているのではないだろうか。

 Google日本語入力は、ネットの力を利用して辞書を強化していく点が注目のポイントだった。Baidu Typeの辞書も同じように鍛えられる。日本でもサービスを展開している検索サービス「百度」で収集したユーザーの入力データを利用するのだ。しかし、変換の精度は、まだ未成熟な点が残っているというのが正直なところだ。

 Google日本語入力のレビューでは「いれたてのおちゃ」が、「入れた手のお茶」と変換されてしまうことや「れん」まで入力すると「蓮舫」がサジェストされる事例を紹介した。良くも悪くもネット上のインデックスの特徴を反映し、時事性の高い候補が表示されるという特徴を備えているわけだ。

 Baidu Typeでも「入れたてのお茶」が第一候補として表示されたが、残念ながら「れんほう」では同様の結果を得ることができなかった。検索を利用するユーザー数の違いも関係しているのだろう。

 Googleは検索結果に対して、「もしかして」という類似性の高い検索候補も提示し、ユーザーに訂正させる機能を備えている。別の見方をすれば、ユーザーの誤入力と、その後の選択操作結果の積み重ねで、日本語入力にも応用できる辞書を鍛え上げてきたと言えるが、残念ながら百度の検索機能にはまだそういった機能は実装されていない。その差が日本語入力での変換精度に現れていると言えそうだ。

Google日本語入力でも注目を集めたユーザーの入力内容をサーバーに送信するか否かについては、プロパティ画面に切り替えが用意されている。「送信する」を選択した場合「ユーザーが入力した情報については、暗号化してBaiduのサーバーに送信される」という説明がされている

 もちろん、辞書学習の機能は備えているので、一度変換するとその結果は次回以降上位に表示されるようになる。しかし、他のIMEのように他の辞書のインポートや、ユーザー辞書をメンテナンスする機能までは備えていない。スキンを入れ替える設定や、変換と確定を一度に行うアドバンス入力といったユニークなオプションも、肝心の辞書の精度が低かったり、時事的なキーワードを拾ってくる面白さが薄いと、そのメリットを感じにくい。

 これでは、Google日本語入力が発表されてから、突貫で作ったものとは考えにくいが、近いコンセプトのソフトを先にリリースされてしまったため、細かい部分を煮詰める前に発表に踏み切ったのではないかと勘繰ってしまう。

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