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実は挑戦的な薄型テレビ!? 三菱「REAL MZW300」

2009年12月16日 12時00分更新

文● 鳥居一豊

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精細感ではトップクラスの映像がさらにブラッシュアップ!

 さっそく画質をチェックしてみよう。光沢のある「DIAMOND Panel」を採用した映像は、従来どおり極めて鮮明。コントラスト比もダイナミックコントラスト200万:1を実現しており、黒がしっかりと沈みメリハリの効いた映像になっている。

 三菱が先鞭をつけた光沢パネルだが、コントラスト感や精細さに優れる分、デメリットもいくつかある。1つは映り込み。外光の反射は低反射層を備えることで対策されているが、暗いシーンなどを見ると視聴している自分の姿が映ってしまうのは避けられない。

 これを嫌って、完全な光沢パネルではなく半光沢にとどめているメーカーもある。映り込みが少ないことはかつては液晶のメリットだったのだが、いまは大なり小なり液晶テレビの多くは映り込みがある。反面、かつては液晶勢にさんざん攻撃されていたプラズマの方が実は映り込みは少ない。パネル構造の違いにもよるのだろうが、光沢パネル液晶もプラズマ並みに映り込みの低減に力を注いで欲しい。

 もう1つはノイズが目立ちやすいこと。パネルが透過した光をダイレクトに表示できる光沢パネルだけに、それまでは光の拡散によって目立たなかったノイズが目に付きやすくなる。ただし、MZW300ではノイズ感がかなり低減された。

 実は前機種までは地デジ放送を見ていると少々ノイジーに感じることもあり、それではとノイズリダクション等を強めにかけると、精細感が劣化してしまうというジレンマを抱えていた。

 ノイズの低減は映像処理の高性能化などの努力によるものだろうが、このメリットは大きい。この進化が映像においては一番の魅力だと感じた。

「ダイヤモンドHD」の設定。「切」を含む4段階から選べる

「ダイヤモンドHD」の設定。「切」を含む4段階から効果を選べる

 つづいて、本機での新採用である超解像技術「ダイヤモンドHD」。これは、映像のぼやけ成分を解析・補正することで、映像本来のフォーカス感やディテール感を再現する技術だ。

 ダイヤモンドHDは、設定により「切/弱/中/強」が選択できるが、あまりはっきりとした違いは感じられなかった。強いて言えば、文字のテロップの輪郭がくっきりするなど、静止したグラフィック表示の輪郭が見やすくなる効果はある。良く言えば、「強」でも不自然な強調感がなく、常用しても問題ないと言えるが、地デジ放送をBDソフト並みの高精細な映像で楽しめるというほどの効果はない。

「ダイヤモンドHD」を「切」にした映像。このままでも、天気予報のグラフィック表示などは十分に鮮明で不足は感じない

「ダイヤモンドHD」を「切」にした映像。このままでも、天気予報のグラフィック表示などは十分に鮮明で不足は感じない

「ダイヤモンドHD」を「強」にした映像。じっくり見ると文字の輪郭がはっきりとして、より見やすくなっていることがわかる

「ダイヤモンドHD」を「強」にした映像。じっくり見ると文字の輪郭がはっきりとして、より見やすくなっていることがわかる

 これは、もともと本機の映像が現行モデルの中でもトップクラスと言える精細感の高さを誇っているためとも思える。また、DVDソフトを再生してみても、いかにもアップコンバート映像というような甘さはなく十分に明瞭な映像が楽しめるが、ハイビジョン並みの精細感というほどではない。

 意外にも一番効果があったのがBDソフト。やや古いフィルム撮影の映画が、「強」ではデジタル撮影の最新の映像のような鮮明さになってしまう。これはさすがにオリジナルの雰囲気が薄れてしまうので、「弱」または「切」が良いと思ったほどだ。どうやら、元々の信号の情報量が多いほど威力を発揮するようで、あまり質のよくないコンテンツをより良い映像で再現するという意味では少々物足りない。

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