業務に支障を与えないスパムメールの扱い方
対象となるのが人間同士で直接やりとりされているメールというのも難しいポイントだ。たとえば、Webのフィルタリングの場合、業務に支障のあるページが閲覧できないようにするだけで済む。しかし、メールはすでに重要なビジネスツールとなっており、商取引や顧客との重要なやりとりがメールを使って行なわれる。つまり、受け取るべきメールをスパムメールと認識してしまう誤検出(フォールス・ポジティブ)が起こると、思いのほかビジネス上のインパクトが大きいのだ。結局、スパムメールと判断されてもすぐに削除するわけにはいかず、管理者等が目視で判断するといった作業が必要になる場合もある。
こうした負荷を減らすため、多くの製品ではスパムメールかどうかの判断を最終的にエンドユーザーに行わせるようにさせる仕組みを持っている。多くの製品で、スパムメールをとおぼしきメールを消さずに、サブジェクトを付けたり、隔離しておくことが可能だ。
さらに処理能力も重要である。スパムメールは受信する量が膨大であるため、それをフィルタするには相応の処理能力が必要になる。本来メールはリアルタイムな伝達手段ではないが、現状ではそれに近いレスポンスが求められる。そのため、フィルタリング処理の遅延は可能な限り抑えなければならない。この点で、汎用サーバーにソフトウェアを導入するのではなく、専用のアプライアンスが好まれる場合が多い。また、昨今はクラウドとの連携ということで、処理をオンラインとローカルで分散させる動きも加速している。
スパムメールに関しては、すでに来たメールを削除すればよいというレベルではない。生産性の向上や充実した労働環境の構築、サーバーの負荷軽減などのために、企業でのスパムメール対策はすでに必須となりつつある。本稿を参考に適切な製品を選択し、いち早く安全なメール環境を取り戻してもらいたい。
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