シンプルで分かりやすいリモコン
テレビ録画などをしてみると、まず気がつくのがリモコンのボタンの数。レコーダーのリモコンはテレビのそれに比べてボタンが多くなりがちなのだが、一般的なテレビよりもリモコンのボタン数が少ない。サイズこそ大きいけれども、これは簡単リモコンで、通常のリモコンがもうひとつ付属するのかと思ったほどだ。
パネルを閉じた状態でできるのは、録画予約と、録画番組の再生に関する機能だけと言っていい。再生用のボタンも再生/早戻し/早送り/停止/一時停止だけで、CMスキップ用のボタンやチャプター送り/戻しといったボタンはパネル内にある。
色分けされたデザインや大型ボタンの採用など、とっつきやすさでは随一と言えるリモコンで、VHSビデオデッキでも標準リモコンはこんなシンプルではなかった。AV機器が苦手という人にはとても馴染みやすいと感じるだろう。それでいて、番組消去や詳細予約といった機能ボタン、「見どころ再生」などの便利機能のボタンはきちんと備えているので、日常的な録画・再生ならばほぼ問題なく使える。唯一気になったのは、普段の操作でも比較的使うことの多いサブメニューボタンがパネル内にある点だけ。この点が改善されれば、格段に優れたリモコンになるはず。
電機メーカーとしてありえない?
驚きの自動チャプター分割「オートカットi」
録画予約も、基本は番組表で録りたい番組を決定するだけの操作。もう一度押すと予約キャンセルになる。録画モードなどを変更したい場合は「詳細予約」ボタンを押せば、予約設定画面に切り替わる。こうしたワンボタン予約は他社でも採用しているが、三菱の場合はさらに一歩進んでいる。
録画した番組は、リストで選んで「再生」ボタンを押す。決定ボタンを押して、サブメニューから「再生」を選ぶこともできるが、十字キー操作が増え面倒な印象になる。
そして、最大の特徴は「オートカットi」。これは自動チャプター分割機能で、あらかじめ設定で本編またはCM部分の再生を設定しておくと、再生ボタンを押すだけで自動的に本編またはCM部分だけを再生するもの。
こうした機能は、実は東芝もずいぶん昔から搭載しているのだが、東芝の場合は再生時に能動的にCMカット再生を選択する仕様になっている。三菱の場合はそのステップすら省略し、基本的にオートカットiに対応した番組はすべて(あらかじめ設定した)本編だけしか再生されない。最初はあるべきCMが見あたらないので戸惑うが、もともと飛ばしてしまうことが多いため、慣れてしまえば極めて快適だ。
この操作の採用は、自社でもTVCMを行なっているメーカーとしては極めて大胆。もちろんCM部分を録画しないわけではないので、操作は多少面倒になるが、後でCM部分を再生することはできる。さらに便利なのは、本編再生の映像をそのままダビングできてしまうこと。BD保存の際、CMカット編集などを行なう必要がほとんどないのだ。
残念ながら、現在完全な精度で自動チャプター分割を行なえるモデルは他社を含めて、1台も存在しないので、本編のみを再生していてもCMが残ってしまうことはある。特に本編終了後、CMを挟んで予告となるような場合は、CMがそのまま残ることが多かった。その残ったCMだけを削除すればよさそうなのだが、さすがにそこまで器用なことはできない。編集を行なった番組はオートカットi機能が使えなくなるので、CMカット編集をするならば、すべてのCM部分を自分で選択して削除しなければならない。
このため、レコーダーまかせの編集でOKならば極めて簡単。きちんとCMカット編集をするならば、編集機能がやや古い設計で操作が煩雑なため、少々使いにくいと言わざるを得ない。この両極端さが、良くも悪くも本機の特徴と言えるだろう。
たとえば、他社のレコーダーの場合、番組リストから再生する場合は、「決定ボタン」を押す操作となっていることが多い。三菱の場合は前述の通り、「決定ボタン」はメニュー呼び出しとなるので、操作が煩雑となる。自動化のために操作に独自のクセがあるため、他社レコーダーから買い換える場合は戸惑うことが多い。
逆に、初めて使う人ならば、素直に操作を受け入れられる分、簡単かつ快適な操作に満足するだろう。はじめてレコーダーを使う人、AV機器が苦手な人には最適。だが、じっくりとレコーダー機能を使い込みたい人にとっては逆に相性の悪いモデルとも言える。