Androidである必要性
組み込み機器向けのOSには、これまでもITRONやWindows CE、Linuxなどさまざまなものが存在した。それでは、こういったOSではなくAndroidである必然性はどこにあるのだろうか。
本田 「一番大きな違いは、みんなが使える共通のAPIがなかったという点です。ロングテールのマーケットは、ひとつひとつのビジネスに対してSIが必要で、個別の開発が発生していました。携帯電話みたいに単一で莫大な市場規模のものを提供するモデルではなく、数は出ないが個別対応によって開発費を得るモデルだったのです」
確かにWindows CEでもハードウェアに近い下回りの部分を自由に作りこむことができる。しかし組み込みOSであるため、ハードウェアとアプリケーションを1から10まで理解していないと対処できない面がある。CEでも多くのドライバーが用意されているが、「TAPIにしてもCallManagerにしても必要なものを選択し、組み込んでいかなければならない」と本田氏は説明する。
本田 「個人的な感触として、AndroidのAPIが特別優れているとは思いませんが、バージョン1.1から1.5でもAPIが追加され、進化を続けていること、携帯電話に特化した部分を改めて作る必要がない点はメリットだと思います。オープンソースで、共通のプラットフォームで動せば、手間も費用も削減できる点も非常に有効だと思っています」
もっとも「Androidがすべてにおいて優れると言うつもりはない」と本田氏は話す。CEはある程度完成されているので、アプリケーションやミドルウェアが扱えて、既存の資産を共通化して活かしていきたいという人に有効だ。また、LinuxについてもGPLを利用して迅速な商品化をしたい人には効果的である。
しかしながら携帯電話に必要な通信の部分があらかじめ盛り込まれ、かつオープンなプラットフォームになっている強みがAndroidにはある。