使い方はアイデア次第
プロジェクター機能はさすがに楽しい。単に再生するだけではあるのだが、撮った写真を人に見せるとき(特に複数人に見せたいとき)でもカメラを人にのぞき込ませるより、その場でぱっと白い平面に投影できるということは大きい。スクリーンがなくても白い壁があれば事足りるし、1人、2人に見せる程度ならばA4くらいの面積があれば十分だ。
当然ながら投影面とカメラの距離が広がれば大きく投影できるが、その代わりに画面の明るさは下がる。本機のプロジェクター光源は10ルーメンとLEDライトとしてみてもそれほど明るいわけではないため、周囲がやや明るいと投影画像も見にくくなり、プレゼンなどに使う高輝度プロジェクターと比べればやや物足りないのは確かだろう。
このため、飲み屋など一定の照明があるところならばA4~A3程度のほうが見やすく、あえて壁などを使わないほうがよさそうだ。逆に40型サイズなみに投影するならば周囲をかなり暗くする必要があるため、自宅でゆっくり鑑賞するのに使いたい。
注意書きには長時間のプロジェクター利用はカメラの温度が上がってしまうため注意が必要とあり、実際20分程度連続映写してみると前面がかなり熱くなる。しかし手に持てないほどではなく、それほど気にかけなくてもよさそうだ。
もっとも残念なのはカメラ自体の電池の持ちがやや少ない点。撮影可能枚数約220枚というのは最近のコンパクト機のなかでも決して少ないほうではなく、丸1日使ってもまず問題にはならないはずだが、さすがにプロジェクター動作は電力を消費するのかフル充電で1時間しか使えない。フル充電した電池で人に見せる程度の使い方なら余裕だろうが、撮影と映写を組み合わせるような使い方、たとえば旅行やイベントなどに参加して1日撮影して電池を2/3~1/2程度消費したあと、飲み会などの場でプロジェクターを使って遊ぼうとすると、比較的早いタイミングで電池警告が表示されてしまう。
電池警告がプロジェクター側にも表示されるのは必要なこととは思うが、その日撮った画像を披露するようなシーンでは電池警告がかなり水を差してしまう。多少ボディが大きくなっても大容量電池を採用してもよかったように思える。
また、本機にはDC入力端子がなく、オプションでACアダプターおよびバッテリ型アダプター(電池室に装着してDC入力に対応する)が用いられているが、長時間のプロジェクター利用のために最初からACアダプター充電もしくはクレードル充電などがあったほうがカメラの使い方に則している気もする。
ともあれ、どんな大画面液晶よりも大きく、しかも多人数で同時に鑑賞できる環境をポケットに収められるというのは、これまでのデジタルカメラにはなかったのは確かであり、カメラにとって単にユニーク機能の搭載だけでは終わらない大きな進歩ではなかろうか。