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Brother World JAPAN 2009

オフィスの電子ペーパー時代を想像させるブラザーの新提案

2009年09月04日 09時00分更新

文● 行正和義

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 東京国際フォーラムで9月3日にブラザーグループのプライベートショー「Brother World JAPAN 2009」が開催された。最新ビジネス複合機プリンター「JUSTIO」(ジャスティオ)シリーズと、個人・SOHO向けのインクジェット複合機「MyMio」(マイミーオ)シリーズのお披露目を兼ねており、もちろん目玉となる展示はこれら2つの製品群だ((関連記事)。


発表直後の最新複合機を前面展開!

JUSTIOの新ラインナップ

メインとなるのはJUSTIOの新ラインナップ。新製品はA4機ばかりだが、いずれのモデルも本当に小さい。印刷エンジンのLED化が図られたとはいえ、HL-3040CN(単機能プリンター)はA4カラー機とは思えないほどコンパクトだ

MFC-9120CN

250枚の給紙トレイを持ち、毎分16枚の高速印刷が可能なJUSTIO最上位モデル「MFC-9120CN」。ADF付き複合機なので高さがあるようにも見えるが、接地面積も高さも思いのほか小さい

 ニュース記事でも紹介しているが、特にJUSTIOは今回の発表でコンパクト機がさらに充実し、小型化・低価格化に拍車がかかった。最上位モデルの「MFC-9120C」や「DCP-9010CN」は単に設置面積が少ないだけでなく、前面上部が斜めになった大胆な新デザインでコンパクトさを強調。高さも抑えており、“国内最薄”をうたうモデルとなっている。

MFC-935CDN/CDWN

大型タッチパネル液晶の搭載、ADF、有線&無線LANと、フルスペックの家庭用複合機のMyMio「MFC-935CDN/CDWN」。MyMioのファクス付き複合機の場合、他社製品と比べて受話器・無線子機が標準で付いているため、家庭用ファクシミリとして導入しやすいのもポイントだ

携帯電話で撮影→その場で印刷

MyMioでは赤外線(IrSimlpe)を使って携帯電話で撮影→その場で印刷をデモンストレーションしていた

 個人・SOHO向けのMyMioは、今回一挙7モデル投入とラインナップを刷新し、同社が本腰を入れているのが分かる。上位3機種はファクス/電話機付きの家庭用ファクシミリ向けで、シンプルな下位モデルはファクスなしの複合機(カラーコピー/スキャナー/プリンター)という構成。いずれも大型の液晶ディスプレーを採用し、4機種は無線LANを標準搭載。上位モデルではタッチパネル液晶やADFを装備するなど機能も充実している。単体での操作性向上やPC接続など、大幅に機能強化された。


ラベルプリンターや電子ペーパーの活用事例も

 複合機以外の製品群も充実している。特に同社が高いシェアを持つラベルライター/ラベルプリンターに関してはオフィスユースや営業などの外回り業務、さらには倉庫から店舗、家庭内まで幅広く使われている。オフィスでも機材管理シールやCD-Rラベルなど、1台持っていると重宝する周辺機器として認識されているはず。また同社では、A4やハガキサイズのコンパクトモバイルプリンターもラインナップしているのだが、これらを活用するソリューションの提供・提案などが面白い。

ブラザーと言えばラベルプリンター「P-touch」。伝票などの印刷用途を始め、さまざまな業務用途を紹介していた。こうした小型プリンターは専門業務だけでなく、「メモ程度の要件にA4用紙を使わない」という選択肢としてもよさそうだ。左下は、PCに接続して浸透スタンプをその場で作成する「SC-2000」。既存のスタンプを利用するケースが多いが、用途に応じて(個性的な)オリジナルスタンプを作れる

モバイルプリンターMW-260

モバイルプリンター「MW-260」。A6サイズの感熱紙を用いてPCやPDAとの接続はUSB、IrDAに加えてBluetoothも装備。携帯電話のアプリからコンビニの払い込み伝票を印刷する業務形態を紹介していたのだが、この払い込み伝票サイズはプリンター内蔵ハンディターミナルでは出力できない大きさというのがポイントだ

 今年6月に発表された電子ペーパー「SV-100B」(関連記事)は、実機を見る機会が少ないため興味深い展示だ。Amazon.comの「Kindle」やソニーの新製品などがネット上でも話題を集め、電子ペーパー/電子ブック端末もそろそろコンシューマーレベルにも普及してきそうだが、書籍としての電子ブックではなく、オンラインマニュアルのポータブルビューアーとしてオフィスや工場・各種業務の現場でも需要も高い。数百ページにもおよぶ紙のマニュアルを作成・配布・更新するより、オンラインマニュアルを運用したほうが効率的で環境にも優しいのは確実だからだ。

 会場ではSV-100Bのコーナーに注目度が高く期待の大きさを感じさせるが、モバイルプリンターと組み合わせたソリューション提案もかなり目新しい。電子マニュアルの運用に加えてその場で伝票を印刷する実践的な使い方に加えて、電子ペーパー端末を持ち込みにくい現場(狭い、電磁波が強いなど)において、必要な部分のみをその場で印刷して持ち出すといった応用的な使い方もありそうだ。

電子ペーパー端末SV-100B

そろそろ普及しそうな電子ペーパー/電子ブック端末。「SV-100B」は電子マニュアルに特化したぶん、約83時間の長時間動作が可能と実務に即した製品だ

世界最小のモバイルプリンター「PJ-560」

工事現場などで電子マニュアルを見て、必要なところのみモバイルプリンターで印刷というのも確かに実用的だ。モバイルプリンターはA4サイズが印刷できるものとしては世界最小の「PJ-560」。印刷は1枚単位で感熱用紙を用いるものの、インターフェースにBluetoothも装備する

 電子ペーパーがオフィスや現場でのペーパーレス化に絶大な威力を発揮するのは確かだが、紙の使用をゼロにするのではなく併用することで新しい利用形態を考えるほうが現実的だ。事実、オフィスでのプリントアウト環境は、コピーやファクス機器の小型化、大判カラープリンター/複合機の普及、社内ネットワークの拡充による大型複合機へ集約化、そして複合機自体の小型化とエコ意識の高まりを受けての見直しなどなど、時代によってずいぶんと流行が変わってきた。さらに、ここにきて電子ペーパーによるオフィスペーパーレス化がこれまでにないレベルで急激に進む気配だ(投資額が低く抑えられるという経済的な逆風はまだあるものの)。

 1枚単位の印刷で完結するモバイルプリンターはやや特殊なケースとはいえ、オフィスでの複合機選びも、今年から来年にかけては電子ペーパー端末が導入されたあとの環境を想定してスペックを決めるべき時期になりつつあるようだ。

JOYBEAT

ちなみに同社はこんなサービスも。3Dのインストラクターの動画と音楽を組み合わせたフィットネスクラブ用コンテンツ配信サービス「JOYBEAT」。こちらは10月以降の展開となるが、昨年よりジョギング・ランニングに適した音楽データ配信を個人向けに行っている


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