東京国際フォーラムで9月3日にブラザーグループのプライベートショー「Brother World JAPAN 2009」が開催された。最新ビジネス複合機プリンター「JUSTIO」(ジャスティオ)シリーズと、個人・SOHO向けのインクジェット複合機「MyMio」(マイミーオ)シリーズのお披露目を兼ねており、もちろん目玉となる展示はこれら2つの製品群だ((関連記事)。
発表直後の最新複合機を前面展開!
ニュース記事でも紹介しているが、特にJUSTIOは今回の発表でコンパクト機がさらに充実し、小型化・低価格化に拍車がかかった。最上位モデルの「MFC-9120C」や「DCP-9010CN」は単に設置面積が少ないだけでなく、前面上部が斜めになった大胆な新デザインでコンパクトさを強調。高さも抑えており、“国内最薄”をうたうモデルとなっている。
個人・SOHO向けのMyMioは、今回一挙7モデル投入とラインナップを刷新し、同社が本腰を入れているのが分かる。上位3機種はファクス/電話機付きの家庭用ファクシミリ向けで、シンプルな下位モデルはファクスなしの複合機(カラーコピー/スキャナー/プリンター)という構成。いずれも大型の液晶ディスプレーを採用し、4機種は無線LANを標準搭載。上位モデルではタッチパネル液晶やADFを装備するなど機能も充実している。単体での操作性向上やPC接続など、大幅に機能強化された。
ラベルプリンターや電子ペーパーの活用事例も
複合機以外の製品群も充実している。特に同社が高いシェアを持つラベルライター/ラベルプリンターに関してはオフィスユースや営業などの外回り業務、さらには倉庫から店舗、家庭内まで幅広く使われている。オフィスでも機材管理シールやCD-Rラベルなど、1台持っていると重宝する周辺機器として認識されているはず。また同社では、A4やハガキサイズのコンパクトモバイルプリンターもラインナップしているのだが、これらを活用するソリューションの提供・提案などが面白い。
今年6月に発表された電子ペーパー「SV-100B」(関連記事)は、実機を見る機会が少ないため興味深い展示だ。Amazon.comの「Kindle」やソニーの新製品などがネット上でも話題を集め、電子ペーパー/電子ブック端末もそろそろコンシューマーレベルにも普及してきそうだが、書籍としての電子ブックではなく、オンラインマニュアルのポータブルビューアーとしてオフィスや工場・各種業務の現場でも需要も高い。数百ページにもおよぶ紙のマニュアルを作成・配布・更新するより、オンラインマニュアルを運用したほうが効率的で環境にも優しいのは確実だからだ。
会場ではSV-100Bのコーナーに注目度が高く期待の大きさを感じさせるが、モバイルプリンターと組み合わせたソリューション提案もかなり目新しい。電子マニュアルの運用に加えてその場で伝票を印刷する実践的な使い方に加えて、電子ペーパー端末を持ち込みにくい現場(狭い、電磁波が強いなど)において、必要な部分のみをその場で印刷して持ち出すといった応用的な使い方もありそうだ。
電子ペーパーがオフィスや現場でのペーパーレス化に絶大な威力を発揮するのは確かだが、紙の使用をゼロにするのではなく併用することで新しい利用形態を考えるほうが現実的だ。事実、オフィスでのプリントアウト環境は、コピーやファクス機器の小型化、大判カラープリンター/複合機の普及、社内ネットワークの拡充による大型複合機へ集約化、そして複合機自体の小型化とエコ意識の高まりを受けての見直しなどなど、時代によってずいぶんと流行が変わってきた。さらに、ここにきて電子ペーパーによるオフィスペーパーレス化がこれまでにないレベルで急激に進む気配だ(投資額が低く抑えられるという経済的な逆風はまだあるものの)。
1枚単位の印刷で完結するモバイルプリンターはやや特殊なケースとはいえ、オフィスでの複合機選びも、今年から来年にかけては電子ペーパー端末が導入されたあとの環境を想定してスペックを決めるべき時期になりつつあるようだ。