5日、高級コンパクトデジタルカメラ「GR DIGITAL III」(GRD III)がリコーから発売された。GRシリーズとしては3代目となる製品だ(関連記事)。
GRD IIIは、従来モデルの「GR DIGITAL II」(GRD II)と外観がほとんど同じで、大きさも2mmくらいしか違わないため、「前作のマイナーチェンジか?」と思っている人もいるかもしれない。しかし進化の度合いを見れば、実は初代からGRD IIよりも、GRD IIからGRD IIIのほうが大きく変わった。かなり本質的な部分がステップアップしたのである。
それではリコーとしては、GRD IIIの開発時にどこに力を入れたのだろうか? GRD IIIの企画・設計を担当する方々にお話をうかがってみた。
なお、GRD IIユーザーの皆様で、「あまり違わないみたいだから、買い換えなくていい」とホッと胸をなで下ろしている方は、今回の記事は読まない方がいいかもしれない。GRのオーナーがGRD IIIのよさを知ると、ほしくなってしまうに違いないからだ。
レンズ、CCD、画像処理エンジン 3部隊で協業
── GRD IIIの一番のポイントはCCDまわりかと思うのですがいかがでしょう?
樋口:実はCCDだけでなく、レンズと画像処理エンジンも加えた3要素、つまり「カメラの心臓部」がすべて新しくなっているんです。
中平:特に今回はレンズや鏡胴のメカ部分担当と、CCD回りのハードウエア担当、そして絵作りを行なうソフトウエア担当の3つが、部署の枠を越えて「画質チーム」を作って開発しています。
── チームで開発したメリットは感じられましたか? 例えば別部隊だったときは「ここのノイズが多いからそっちの回路でなんとかしてくれ」といったやりとりだったのに、今回は協力して対処することができたという感じでしょうか。
中平:そうですね。
── ではその3つのポイントについて聞かせてください。まずCCDですが、画素を増やす方向でなくあえて減らした点に感心してます。CCDは実際にリコーさんが製造しているわけではありませんが、メーカーに要望を伝えて作ってもらったのでしょうか?
中平:今回のCCDはカスタムではなく汎用品なので、我々用に作ってもらったわけではありません。ですが、「画素数ではなくて、感度を優先してくれ」とリクエストはしています。
── 初めて新型CCDを受け取ったときはどういった印象を受けましたか?
中平:新しいCCDを受け取るとまずその基本性能を測定するのですが、その時点で「本当にこんなものができたんだ」と驚きました。感度がすごく高くなってたんです。
例えば、同じISO100の絵を作るために、以前はアナログ的に増幅する必要があったのに、今回のCCDはしなくていいくらい。つまり前のCCDに比べて、同じ感度を得るのに必要な増感が少なくて済み、その分ノイズが少ないんです。今回のCCDは元がいいので、ノイズ低減処理をかけすぎないよう注意するくらいでした。
GRD IIでISO400での常用を目指したときは、初代GRDとほぼ変わらなかったので画像処理で頑張りました(関連記事)。今回はCCD自体がよくなっているので、ISO800でもしっかり解像感が残ってます。
初出時、GRD IIにおける画素数についての記載が誤っておりました。訂正してお詫び申し上げます(2009年8月11日)