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仕入資金がない――主婦の店を救ったドロップシッピング (2/3)

2009年08月05日 15時43分更新

文●三浦たまみ

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在庫管理や発想に伴う精神的負担が激減

 ドロップシッピングを始めるにあたり、直接卸元と契約する場合、梱包資材の代金や、発送に伴う人件費などはどの程度負担することになるのでしょうか。

「私の場合は単純で、たとえば通常は商品の販売価格の4割が粗利だとすると、1割減の3割が粗利になるという感じです。この減った1割分に、梱包資材代や人件費等がすべて含まれていることになります」。

 ドロップシッピングをやってよかった! と思うことは山ほどあるという関口さん。

仕入れや発注業務、在庫管理、発送業務が一気になくなったんです。その精神的負担の軽減は、計り知れないものがありました。サイトをマメに更新する余裕も出ましたし、イベント企画を練ったり、広告出稿について検討する時間に充てられるようになりました。今までは、梱包資材や在庫スペースを確保するだけでも一苦労で、部屋中が梱包資材で埋まっていることもありましたが、こうした煩わしさも一気に解消しました」

 手元に残るお金は従来よりは少なくなりますが、それが帳消しになるほど、関口さんにとっては有り余るメリットがあったのです。

 ただし、直接企業と契約する場合、事前の取り決めが重要だと言います。

「たとえば、ネットショップでは当然のように丁寧に対応するギフト用のラッピングも、企業によっては面倒だと嫌がられる場合もあります。こうした細かな点まで洗い出しておき、契約の段階で、どこまでやってもらえるのか明確にしておくべきだと思います。私の場合、ラッピングだけでなく、リピーターさんへ手書きの手紙を添えたり、おまけなどをつける旨も『やまに大塚』さんにお願いしたのですが、快諾してくださいました」

 また、時には発送に関するトラブルも発生します。トラブルが起きたら、その旨をきちんと企業側に伝えることが大切だと関口さんは言います。

「発送先を間違えた、伝票を間違えた、クレジット決済を選択したお客様に代引き扱いで送ってしまった……など、発送に関するトラブルはどうしても生じます。ミスが発覚したらうやむやにせず、気づいた時点ですぐに企業側に伝えることが肝心です。そうすれば、以後、似たようなミスを防ぐことにつながり、ミスそのものが減っていきますから」

 2007年には3人目の子供も誕生した関口さん。家事や子育てにもきちんと時間を割きながら、マイペースでネットショップを運営し、着実に売上を上げることに成功しています。


 次回からは、1996年というネットショップ黎明期にサイトをオープンした『サイクルサービスおおやま』が登場します。実店舗を構えながらネットショップを運営する同店の取り組みに迫ります。

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