Q. IP電話って盗聴されるの? A. 音声をパケットに変換するので、そのパケットを盗聴することは可能です。 |
IPを利用したコミュニケーション
IP電話には、広義と狭義の二種類の意味がある。広義のIP電話は「IPネットワーク技術を利用して、音声通話やFAX伝送を実現する技術やサービス」だ。これはSkypeやGizmoなどのインターネット電話や、Windows Liveメッセンジャーなどのインスタントメッセンジャー(IM)を含む概念である。
一方、狭義のIP電話は「通信事業者や企築した閉鎖的なIPネットワークを使って、従来のアナログ電話と遜色のない音声品質と安定性を実現する技術やサービス」を指す。具体的にはNTT東西の「ひかり電話」やソフトバンクBBの「BBフォン」など、従来の加入者電話や携帯電話から相互に受発信できる公衆IP電話サービスや、企業などに導入された内線IP電話システムなどを指す概念である。
音声データの中継網に注目すると、狭義のIP電話は大規模な通信事業者が構築した専用IP網、あるいは企業内ネットワークが利用され、インターネットからは基本的に切り離されている。一方、インターネット電話やIMは、インターネットを用いて音声データを伝送する仕組みである。
IP電話の仕組み
まず、狭義のIP電話サービスとして公衆IP電話サービスを例として取り上げる。
公衆IP電話サービスは、VoIP(Voice over IP)アダプタと専用の中継網、そして接続回線(アクセス回線)から構成される(図1)。中継網には、従来の電話交換機に相当するIP電話サーバが設置されている。IP電話サーバは電話の発着信の処理(呼制御)だけを行ない、音声データは中継しない。いったん発信業が構側と着信側の間でセッションが確立されてしまえば、音声データはルータで中継されIP電話サーバは通らない。また、中継網には「ゲートウェイ」と呼ばれる装置があり、加入者電話網や他の事業者のIP電話サービスとの相互通話を可能にしている。
VoIPアダプタは、音声を圧縮してIPパケットに載せ、IP電話サーバや相手の電話機との通信を制御する通信装置である。VoIPアダプタはIP電話機能に対応するルータや電話機そのものに内蔵され、そこに従来のアナログ電話機を接続すればIP電話の端末になる。さらに、IP電話機の機能をPCで実現するソフトウェア(ソフトフォン)もあり、これをインストールしたPCにヘッドセットをつなげば音声通話が可能になる。
一方、インターネット電話やIMでは、公衆IP電話サービスの専用中継網がインターネットに置き換えられたサービスである。また、端末はソフトフォンであることが多い。
(次ページ、「パケットを解析すれば盗聴できる」に続く)
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