コスト削減の手段として、IP電話の導入は非常にスタンダードである。しかし、製品やサービスが多岐に渡る割には、導入が行き渡ったとはいいづらい状況だ。ここでは改めてIP電話によるコスト削減やその手段について概観してみたい。
コスト削減の切り札
IP電話の歴史を振り返る
オフィスを設立するといえば、オフィス家具、什器を設置するとともに、やはりビジネスフォンを導入するのが普通だ。メールやWebによるコミュニケーションがいくら定着したといっても、最終的には電話というビジネスマンは多い。こうしたオフィス内の電話をIP化することで、通話料の削減を狙うのがIP電話のソリューションである。
とはいえ、IP電話には、いくつもの手段があり、コスト削減のポイントも異なる。歴史を振り返りながら、こうしたコスト削減のポイントを解説していこう。
IP電話とは、文字通り音声通話をIP化する技術で、VoIP(Voice over IP)という名称で1990年代から製品やサービスとしては存在していた。これは既存の音声をIPパケットにして送受信するためのVoIPアダプタや呼制御を行なうサーバなどを設置し、データ通信網に流すというものだ。これにより、今まで内線電話とデータ通信で別々にひいていたWAN回線が、1つに統一できますよというのが当時のVoIPのメリットだった。この段階では、高価な専用線やフレームリレーを導入して、内線網を構築できる大企業にフォーカスされており、享受できるメリットも限られていた。
しかし、2000年以降のブロードバンドの浸透や新しい通信事業者の参入で、状況は大きく変わる。2002年、今までIP化に興味を示さなかった大手通信事業者に代わって、ソフトバンクが安価なADSLサービス「Yahoo! BB」と組み合わせたIP電話「BBフォン」を提供。全国一律の3分7.5円という通話料、同じサービスの加入者同士の無料通話などを打ち出し、2002年中に100万人のユーザーを一気に獲得した。その後、大手通信事業者もこぞってIP電話サービスをスタートさせたのも記憶に新しいところだ。
これらIP電話サービスは、通話料が距離に依存しないという点で画期的であった。遠くても近くても料金は一律で、通話時間のみが課金単位になるため、コスト削減の幅は大きい。また、同じサービス間で通話が無料というメリットを活かせば、専用線等を引かなくとも外線通話が無料になる。コストに気を遣うユーザーであればすでに導入済みであろうが、まだであればやはり導入を検討したい。
(次ページ、内線電話のIP化で、なぜコストが下がるか?)
この連載の記事
-
第45回
ビジネス
【45本目】パートナー参加でストックフォトが安くなる? -
第44回
データセンター
【44本目】無個性だけど低価格!アリスの裏メニューとは? -
第43回
ビジネス
【43本目】FAXのようにメールを送るNetSpartで通信費削減 -
第42回
ソフトウェア・仮想化
【42本目】あのDBからの乗り換えで半額に!IBM DB2という選択 -
第41回
データセンター
【41本目】モジュラー型データセンターのコスト勘定とは? -
第40回
ネットワーク
【40本目】機器のコストを下げる中古という選択肢 -
第39回
ソフトウェア・仮想化
【39本目】データ統合ツールで人海戦術を排除したら? -
第38回
ネットワーク
【38本目】1時間4.5万円で、あのテレプレゼンスが使える! -
第37回
TECH
【37本目】ウイルス対策ソフトを無料で強化する方法 -
第36回
TECH
【36本目】管理者泣かせのパッチ地獄から逃れる方策 -
第35回
サーバー・ストレージ
【35本目】アーカイブ活用でExchangeサーバーをなんと半分に - この連載の一覧へ