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コスト削減100本ノック 第15回

外線の通話料削減の次は、いよいよ内線電話にメスを入れる

【15本目】SaaS型IP電話の活用で通話料を下げる

2009年09月16日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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コスト削減の手段として、IP電話の導入は非常にスタンダードである。しかし、製品やサービスが多岐に渡る割には、導入が行き渡ったとはいいづらい状況だ。ここでは改めてIP電話によるコスト削減やその手段について概観してみたい。

コスト削減の切り札
IP電話の歴史を振り返る

 オフィスを設立するといえば、オフィス家具、什器を設置するとともに、やはりビジネスフォンを導入するのが普通だ。メールやWebによるコミュニケーションがいくら定着したといっても、最終的には電話というビジネスマンは多い。こうしたオフィス内の電話をIP化することで、通話料の削減を狙うのがIP電話のソリューションである。

 とはいえ、IP電話には、いくつもの手段があり、コスト削減のポイントも異なる。歴史を振り返りながら、こうしたコスト削減のポイントを解説していこう。

 IP電話とは、文字通り音声通話をIP化する技術で、VoIP(Voice over IP)という名称で1990年代から製品やサービスとしては存在していた。これは既存の音声をIPパケットにして送受信するためのVoIPアダプタや呼制御を行なうサーバなどを設置し、データ通信網に流すというものだ。これにより、今まで内線電話とデータ通信で別々にひいていたWAN回線が、1つに統一できますよというのが当時のVoIPのメリットだった。この段階では、高価な専用線やフレームリレーを導入して、内線網を構築できる大企業にフォーカスされており、享受できるメリットも限られていた。

VoIPのコスト削減メリットは専用線などの削減であった

 しかし、2000年以降のブロードバンドの浸透や新しい通信事業者の参入で、状況は大きく変わる。2002年、今までIP化に興味を示さなかった大手通信事業者に代わって、ソフトバンクが安価なADSLサービス「Yahoo! BB」と組み合わせたIP電話「BBフォン」を提供。全国一律の3分7.5円という通話料、同じサービスの加入者同士の無料通話などを打ち出し、2002年中に100万人のユーザーを一気に獲得した。その後、大手通信事業者もこぞってIP電話サービスをスタートさせたのも記憶に新しいところだ。

 これらIP電話サービスは、通話料が距離に依存しないという点で画期的であった。遠くても近くても料金は一律で、通話時間のみが課金単位になるため、コスト削減の幅は大きい。また、同じサービス間で通話が無料というメリットを活かせば、専用線等を引かなくとも外線通話が無料になる。コストに気を遣うユーザーであればすでに導入済みであろうが、まだであればやはり導入を検討したい。

(次ページ、内線電話のIP化で、なぜコストが下がるか?)


 

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