このページの本文へ

最大で80区画まで分割できるスーパーUNIXサーバ

POWER6+搭載サーバはメモリ仮想化も実現

2009年05月13日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)は、同社のPOWERプロセッサ搭載の新ブレードサーバを発表した。合わせて仮想化機能の拡張や販売施策なども披露された。

POWER6+搭載ブレードを投入
初のメモリ仮想化も実現

日本アイ・ビー・エム パワーシステム事業部エバンジェリスト 岩田恵氏

 今回発表されたのは、POWER6+を初搭載した「IBM BradeCenter」の新モデル「JS23」「JS243」である。「POWER6+はコアの形状は変わりませんが、パフォーマンスが従来より向上しているほか、プログラムの信頼性もアップしています」(パワーシステム事業部エバンジェリスト 岩田恵氏)とのこと。JS23は最高速となる4.2GHzのデュアルコアPOWER6+プロセッサを2個(計4コア)、従来比2倍の最大64GBのメモリを搭載する。

 JS43はJS23を拡張コネクタで接続した2スロット使用の「ダブルワイド」と呼ばれるモデルで、プロセッサは計8コア、メモリは最大128GBに対応する。POWER6+はコアあたり最大10の論理区画を構成できるため、JS43では最大80の論理区画をサポートする。サポートOSはAIX、Linux(Novell SUSE Linux)、IBMiとなっている。出荷は5月22日からで、価格(税込)はJS23が147万6825円、JS43が295万4700円となっている。

2スロット使用する「ダブルワイド」モデルの「JS43」

 また、ファームウェア上に実装されたPower Systemsの仮想化機能「PowerVM」の拡張が行なわれ、新たにメモリの仮想化を行なう「Active Memory Sharing」を搭載している。「今までは利用するメモリ量を固定するか、手動で変更していく必要がありました。しかし、Active Memory Sharingを使えば、各区間のワークロードに応じてメモリ量をダイナミックに割り当てることが可能になります」(岩田氏)とのこと。メモリ割り当ての変更時でも再起動は不要となっている。その他、仮想I/OアダプタのサポートデバイスとしてSSD(Solid State Disk)やストレージ製品もサポートされる。

厳しい経済環境に配慮した販売施策

 発表会では、製品説明だけではなく、販売施策やパートナ制度なども解説された。

 パワーシステム事業部の基本方針は、仮想化によるサーバ統合と他社製品からの置き換えを促進しつつ、導入や移行をスムースに行なうための施策を提供するというものだ。「IBMを使えばもっとコスト削減できる、もっと運用は容易になると思っているので、置き換えや他社からの移行を積極的に進めたい」(パワーシステム事業部長 熊本義信氏)。しかし、実際問題として、多くのユーザーはコストや人的リソースの面で厳しい状況が続いているため、いくつかの施策を持って、ベンダーとしてサポートする。

日本アイ・ビー・エム 理事 熊本義信氏

 たとえば、仮想化移行にかかる移行コストや期間、作業難易度が不明という課題に対しては、アプリケーションの移行工数やハードウェア・ミドルウェアのコストなどをIBM側で見積もって、マイグレーションアセスメントレポートとしてユーザーに無償で提出する。また、コスト面の課題に関しては、他社製のUNIXサーバを買い取り、POWER搭載サーバの値引きに適用する「Power Reward」というプログラムに関しても、引き取り換算額を2~4倍と大幅に上げる。さらに、リースプログラムに関しても、初年度の支払額を総支払額の10パーセントに抑えるステップ・ペイメントや6ヶ月間支払いを据え置くキャンペーンなどを投入することで、キャッシュフローを改善する。

 パートナーに関しては、UNIX系製品の導入に関する技術支援、研修やデモ機の拡充、高い割引率の適用などを提供するVPP(Value Partner Program)制度を新たに設けた。こうしたいくつもの施策で、もともとPOWERサーバが強い仮想化への移行を強力に推進していく。

カテゴリートップへ