オフィス選びの基本とは?
オフィスの“スペック”にも注意!!
HAL子:「お分かり頂けましたか?」
クマさん:「うーん、確かに移動時間がこれだけ改善すると、営業成績も上がるはず……だよな、山本よ」
山本くん:「そうやってまた僕にプレッシャーをかける」
クマさん:「デジタルツールの活用とか何だとか言う前に、まず足で稼げってことだよ」
山本くん:「くっ……ほ、ホントだ、1日4回出入りがあって、片道5分短縮できれば40分も請求書作りに当てられるな〜! ところで、HAL子さん、この物件はどうですか? 築年数は大分経っているけど、更に家賃がお得じゃないですか?」
HAL子さん:「マニュアルを熟読するあなたらしくないわね。ほらここをご覧なさい」
山本くん:「……ス、スケルトン渡し、元工場倉庫???」
ロケーションの次に、オフィスとして絶対に押さえておかなければならないのが、電気容量・引き込み可能なインターネット回線などのインフラ環境です。元工場倉庫だと電気の方は余裕がありそうですが、インターネットはゼロから考えなければならないかも知れません。
電気容量は、入居人数・使用するパソコン・プリンターなどの使用機器である程度決まってきます。賃貸物件、特にある程度、築年数が経ったものは、電気設備が増強できないことが多く、ここを軽視すると、電気が足りないからまた引っ越すという羽目にもなりかねません。
東京オフィス事情でも「これは気をつけた方が良い」という条件については、なるべく紹介文に掲載したり、実際の物件紹介までのEメールでのやりとりで、本当に大丈夫か確認を取るようにしているということです。
インターネット回線についてはどうでしょうか?業種にもよりますが、DTPや写真・映像など大きなデータを急いでアップロードする必要が考えられるなら、光回線が引き込めるかは必ず確認が必要です。プロバイダーのコマーシャルでは、下り速度を強調する例が多く、クマさんのようにADSLでも十分などと考える人もいるので注意しましょう。山本くんは、そのお陰で得意先への納品データのアップロードが間に合わず、終電を逃すことが度々あったようです。
いろいろ注意点ばかり挙げてきましたが、オフィスの移転には経営上も重要なポジティブな側面があります。オフィス移転を成功させることで、そこで働く人たちのやる気を高め、コミュニケーションを円滑にし、結果として事業収益を向上することに繋がるのです。
「人によっては人生の3分の1を過ごすことになるオフィス空間。もっと業態に即してユニークであって良いし、物件選ぶプロセスは重視されて良いはずです」と吉里氏はインタビューを締めくくりました。
山本くん:「日差しの入るオフィスっていいなあ……HAL子さん、この椅子に斜線が入ったアイコンって何?」
HAL子さん:「オフィスらしくないっていう意味です」
山本くん:「オフィスチェア禁止って訳じゃないんだ」
クマさん:「当たり前だろう。しかし、オフィスらしくないオフィスか……いいね、一度見に行ってみるか」
HAL子さん:「分りました、では内見まではメールのやり取りで済ませることが出来ますので、それまではオフィスを片付けましょう。返信があったらまたお呼びします」
クマさん:「おっとそうだった」
HAL子さん:(……一人で片付けるのを避けるのにも、サイトを見せたのは正解だったわ。やはりこの世代には陽動作戦が一番ね)
クマさん:「お、そろそろ来る頃だな」
山本くん:「いやーiPhoneが無事で良かった。ほら、こうやって、電源を入れる前にまずは十分乾かすのがコツなんですよ……って何がです?」
クマさんがドタドタと玄関の方に向かう。戻ってきた彼の後ろから、女の子が顔を出して、少し関西なまりで挨拶した。
春美ちゃん:「あ、あの。はじめまして。今日からお手伝いさせていただきます上方春美と申します。一生懸命がんばりますので、えと、よろしくお願いします」
幸いHAL子さんのデスクトップ、山本君のiPhoneは無事だったベアーズ企画。しかし、その後の動作確認で、電話や他のPCは使えなくなっていることが判明します。次回は、これらの機材を、新しいオフィス移転にともなって買い換える際のポイントや、ひかり電話のコストパフォーマンスや利点を改めて考える予定です。
著者紹介:松本淳
ネットベンチャー・出版社・広告代理店等を経て、現在、東京大学大学院情報学環修士課程在籍。ネットコミュニティやデジタルコンテンツのビジネス展開を研究しながら、デジタル方面の取材・コラム執筆、映像コンテンツのプロデュース支援活動を行なっている。米PMI認定PMP・デジタルハリウッド大学院デジタルコンテンツマネジメント修士。
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