通常のネット利用にはほぼ支障なし
筆者が乗車したのは三連休の最終日の午後の新幹線。乗車率は90%を超えており、あちこちでワイヤレスゲートを利用しているとおぼしき乗客も見受けられたが、Webブラウジングや、メール送受信などの通常のネット利用には殆ど支障はなかった。
イー・モバイルに対する利点
筆者はこれまで、新幹線での出張時にはイー・モバイル(S11HT)を利用してネット接続しながら移動作業をしていた。速度もそれなりに出て、かつては重たいソフトの代表格でもあったセカンドライフで遊んだこともある。しかしこのイー・モバイル、一方で弱点もある。トンネルに弱いのだ。
熱海~三島間に存在する新丹那トンネルは8km近くあり、その近辺にもトンネルが多く、その間のイー・モバイル接続は現在のところ提供されていない。しかし、今回の公衆LANを用いたトライアルでは切断を意識することなく作業を続けることができた。
小さなテーブルでどう作業するか?
移動オフィスの利用時間は2~3時間。作業場となるテーブルをいかに活用するかも重要なポイントになる。筆者が乗車したN700系のテーブルは横幅約41cm、奥行き約24cmだった。筆者が使用しているVAIO type-Tをめいっぱい左に寄せると、10cm位のマウスの為の作業スペースが生まれる。万全を期すならば、出発前に持って行くノートPCのサイズをチェックしておくといいだろう。
意外なクセ者は、テーブルに掘られているコップ用のくぼみ。ここにちょうとゴム足が来るとPCがグラグラしてしまうし、マウス作業のじゃまにもなる。いっそなければ良いのに、などと思ってしまう。
PowerPointの資料作りでは、マウスで図形編集が効率的にできるかどうかもポイント。腕に覚えがある人であれば、小型のトラックボールを使うのも一考だ。
さらにコードハンガーにかけたジャケットのポケットもアクセスしやすい収納として活用できる。標準的なサイズのものであればちょうど写真のようにポケットがテーブルの脇に来るので、そこにケーブル類や充電の終わったデバイスを入れておくというのもありだろう。
ちょっと一息。
トンネル内も含めた常時接続ということで、動画系のサービスもほぼ問題なく利用することができた。新幹線での作業は前屈みの姿勢を強いられるので、時々はリクライニングを倒して、息抜きするのもいい。
また、ワイヤレスゲートはiPhone・iPod touchにも対応している。
アクセスポイントへの接続にあたっては、専用のパスワードが必要となる。現状iPhone OSはコピペに対応していないこともあり乗車前にメモをとって手元で参照できるようにしておくのがいいだろう。
リクライニング問題
自分が席を倒す分には気にならなくとも、集中して作業しているときに、前の座席が「ガッ」と倒れてくると、困ってしまうこともある。700系の座席はかなりリクライニングするので、ノートPCのディスプレイと干渉してくることがあるからだ。このご時世、「もう少し座席を上げてもらえませんか?」とお願いするのもリスクがある場面も。こういうときは、机はあきらめて、鞄を膝の上において作業を続ける方法がおすすめ。普段の通勤以上に、膝の上に置いたときにできるだけフラットであることが、長丁場も予想されるこの場面では大切になる。
結論
公衆無線LANサービスの登場で、新幹線は最強の移動オフィスになった
比較するまでもないが、飛行機では公衆無線LANを使える環境はまだまだごく一部に限られている。しかも離着陸の間は無線どころか電子機器の利用もNGだ。それに比べ座席に座って、目的地で降りるギリギリまでオンラインで作業ができるようになったN700系新幹線は、長距離移動型のオフィススペースとしては最強となったと言えるだろう。
現在のところ、東京~新大阪間に限定されるこのサービス。会社間の縛りを超えて、ぜひ東北・福岡まで足を伸ばした場合でも利用できるようになってほしいものだ。