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【アキバ・キーマンインタビュー No.4】インテルの神、降臨!! あの天野氏がついに登場!

2006年05月04日 19時53分更新

文● 大森徹哉

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アキバではごみをいっぱい買ってきてますから

「商売ネタとして、今これかかわっているから」と言いながら、ポスターを片手に。内容に関しては「ノーコメントで(笑)」

――今の部署は本当に水を得た魚という感じで?
天野 やったと。ビシャビシャって。もう、大喜び。ばっちり。
――自作市場を引っ張ってってくれという役割を与えられて……。
天野 そうですね。ビシャビシャモードで突っ走ってますね、今は。元々自分も自作してお金を使って、ゴミもいっぱい買ってきたし(笑)。夢見て買った後に、あ~、こんなのゴミだったかって。そういうもんですからね。秋葉原っていうのはね。
――それはもう実体験として?
天野 そう。僕は売ってるというより、そこの市場で買ってる側の人間だったんで。ちょっと余分に知識を得たお客さんみたいなのが、店に入れ知恵しているようなもんですよ。こうやったら売れるよって(笑)。
――アキバで買い物はずっとされているんですか?
天野 してますよ、それはもう。ごみいっぱい買ってきてますから。
――(笑)。いつの時代が楽しかったとかありますか?
天野 私的には、節々にありますね。革新というか、変わったものがあると飛びついてきましたね。最初に飛びついたのは「SoundBlaster」っていうボードです。ウィングコマンダーってゲームを入れて、スピーチパックっていうオプションを入れるとゲームがしゃべる。ベラベラと、英語なんですけどね。ゲームがしゃべるなんてすごいって感動したりとかね。あとはCD-ROMドライブがつけられるようになったりとか、動画も最初はしょぼい画像だったのがVGAでフルに再生したらすごいって喜んだり。今は当たり前のことでも、ステップ踏んでできるようになった。そういう感動があるんですね。
――その現場に立ち会うと感動しますよね?
天野 そうそう、これだよ、これでパソコン伸びてくよ、またって。
――今はどうですか?
天野 パソコンはかなり白物家電化が進んでいると思います。だから、テレビとかエアコン、洗濯機と同じ部類に入ってきている。その割には使い勝手が悪いですよね。まだフルな白物家電にはなってなくて、微妙なところにいるんですね。
――月刊アスキーで「DOS/Vマシンはすごかった」という特集をやったんですが、店員のみなさんものすごい語るんですよ、まさに「SounBlaster」がこうだった! とか、最近の製品を語るときの口の重さとは対照的でしたね。やはりその時代なんだなと思いました。
天野 そうでしょう。今はインターネットをベースとした情報産業が活発になって、あくまでパソコンはそのツールになっているんですよね。本当はパソコンがベースの技術改革をしてステップアップしていかないといけない。今はちょっとネタがないんですよね。
――そういうことが起きる可能性がパソコンにはまだ残されていますかね?
天野 あると思いますよ。なんにでも化ける可能性あるし、ポテンシャルを秘めています。それがパソコンたる生き物の魅力ですよね。でも、そういう新しいアイデアはなかなかすぐには出ないですよね。
――これかは期待できますか?
天野 CPUは強いですよ。夏以降を楽しみにしていてください。



学問に王道はないんだから、とにかくやれと

――ショップさんに言いたいことはありますか?
天野 みんなよくがんばってくれています。そこはもう感謝、感謝ですね。ただ最近、店員さんに限らず、うちの社内でもよく聞くのはパソコンの技術レベルの話ができる人がいない。僕も難しい話が好きでやるんですけども、店員さんのほうが話についてこれない。Pentium4を買ってくれるようなセールストークしてくれとか言われるけど、それは店員さんが考えればいいと思いますね。
――差が開いている感じがしますよね?
天野 そうそう、知識格差がある。それはうちの会社でも同じ現象が起こってる。なんでこんなんなっちゃうんだろうって心配ですね。だから、店員さんに言いたいのはもっと勉強してと。ものを好きになって、積極的になって、知識や情報を身につけてほしいです。
――お互いに知識を伝え合う場がない気がしますね。僕も年上の方見て、いいな~、格好いいな~と思ったりした記憶がありますね。
天野 そうそう。僕も入社した頃に、3、4年上の先輩が光って見えた。でも、そうしたら自分でそういうふうになるように努力をしないと。その人がやってることや努力をみんなしてほしい。いつも言っているのは学問に王道はないんだから、とにかくやれと。それで失敗しながら自分の学習スタイルが出てくるはずです。どんどん探究心もって、知識を身につけなさいと若い人には言っています。
――座ってやる勉強だけじゃないってことですか?
天野 座ってやるのもいいし、それを実践でいかすことが必要だと思います。僕が言われたのは、いろんな技術があるけど、全部を深く知る必要はないと。自分が決めたここだというものだけ掘り下げて、その1ヵ所は誰にも負けないくらい勉強しなさいと。それをみんなに自信持って教えられるようになったら、1人前として認められるようになると言われました。そうするとギブ&テイクの交流ができるようになる。そういう太い柱がひとつできれば、横に広げていけばいい。そうしたら、人との交流も知識も厚くなるから伸びますと。それがうちの会社に入ったときに先輩から技術屋として1人前になるために教わったことですね。
――1人前になるって感覚が今あんまりないんじゃないですか?
天野 そうですね。だからどうしたら天野さんみたいになれますかってすぐに聞いてくるのかも。そんなすぐになれないですよ。聞いてくるのはいいけど、聞き方も学んでほしい。例えばお客さんから言われたことをそのまま言うのはだめとかね。
――伝言ゲームになっちゃうわけですよね?
天野 そうそう。ちゃんとした人は質問が来て、こう調べて、この部分がわからないと言ってくる。そうしたら、ここの資料のここ読めとか言えます。
――天野さんが1人前になったのはいくつくらいですか?
天野 いやいや、未だに半人前ですね(笑)。でも、会社で認められるようになったのは6年目かな。自分に仕事を任せてくれるようになってたと思いましたね。
――アキバにはどれくらい行かれてますか?
天野 1週間に1回くらいはぷらっと顔を出しますね。
――だいぶ変わりました?
天野 めちゃめちゃ変わってますよ。中学校の頃から行き始めましたけど、その頃はアマチュア無線とかオーディオとか。その次にパソコン。今はアニメだコスプレだって、変わったなって思いますよ。
――アキバの名物ともいえるフライング販売はどうです?
天野 売る側からすれば周りがやってないものを売りたい。あそこの街に行けばなんかあるかもしれないというのは、それはそれでおもしろいじゃないですか。ただ、うちの会社としては守るものは守ってほしいってところですね。そこは微妙ですね。僕もサラリーマンなのでね(笑)。
――売る側も「ネタがない、ネタがない」って、今は言いますよね。
天野 そうですね、昔は技術革新していくものを出せばネタになりましたが、最近かなり陳腐化していますし、悪くいえば半年たてばその製品半額だろうみたいなところありますからね。今までこういうものなかったよねっていうところからポッと出る、みんなそういうの好きなんだけどね。
――ごみかもしれないけど可能性あるかもしれないものほしいですよね?
天野 欲しいですね。私、最近はアメリカまでごみ買いに行ってるほど好きですから(笑)。
――ちなみに、一般のユーザーが天野さんの話を聞く機会はありますか?
天野 6月に秋葉原で一般のユーザーが聞けるセミナーをやる予定です。
――インテルさんとしても天野さんのよさを出していこうということですね?
荒木(広報担当) チャネル事業部としてはそうですね。うまく毒を使わないと自ら毒にやられてしまいますしね(笑)。
――最後に、今どこでも好きな会社に入っていいと言われたら、入ってみたい会社はありますか? 天野 違う会社にいたら3日で首でしょうね。先生業とか自分でものを言うほうが向いてるかもしれませんね。

プロフィール
天野伸彦(あまの・のぶひこ) インテル(株)チャネル事業部シニア・フィールド・アプリケーションエンジニア。1964年生まれ41歳。中学時代にパソコンに興味を持ち、高校・大学時代とパソコンクラブに所属。87年日大理工学部電気工学科を卒業し、インテルに入社。現在、チャネル事業本部に所属し、自作市場を舞台に活躍。ときには自社商品にすら刃場を向ける本音トークで、秋葉原の店員からも絶大な支持を得ている。自作ユーザーの神ともいうべき存在。
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