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次世代DVD戦争、ついに開戦!――東芝、世界初のHD DVDプレーヤー『HD-XA1』を発売

2006年03月31日 21時15分更新

文● 編集部 小西利明

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世界初の製品化となるHD DVDプレーヤー『HD-XA1』。左の女性が手にするのが付属リモコン。右はHD DVD-ROMのディスク 本体は大きめのHDD/DVDレコーダーといった雰囲気。ドライブトレイやフロントコネクター類は、前面銀色のパネル下に隠されている
世界初の製品化となるHD DVDプレーヤー『HD-XA1』。左の女性が手にするのが付属リモコン。右はHD DVD-ROMのディスク本体は大きめのHDD/DVDレコーダーといった雰囲気。ドライブトレイやフロントコネクター類は、前面銀色のパネル下に隠されている

(株)東芝は31日、都内にて製品発表会を開催し、世界初となるHD DVDプレーヤー『HD-XA1』を発表、同日より出荷を開始した。価格はオープンプライスで、予想実売価格は11万円前後。販売店の店頭には、4月6~7日頃には並ぶと見られる。

HD-XA1は次世代DVD規格として業界団体DVDフォーラムにより策定された光ディスク規格“HD DVD”に対応した、初の再生専用機である。HD DVDは1層式ディスクで15GB、片面2層式ディスクで30GBの大容量を生かし、高画質ビデオフォーマットのH.264やVC1(米マイクロソフト社が開発したビデオフォーマット)を使ったハイビジョン映像(720p、1080i)の再生を最大の特徴としている。読み取り用レーザーは波長405nmの青紫レーザーを使用する。またディスクメディアがDVDと同じ厚さ0.6mmのディスク2枚を貼り合わせて製造する方式を採用し、DVDと同じ製造設備を利用できるためメディア製造コストが安価にすむほか、ドライブ装置側の光ピックアップの部品(対物レンズなど)をDVD用と共用できるため、ドライブ装置側コストも安く済むとしている。1枚のディスクでDVD-ROMとHD DVD-ROMの2種類のコンテンツを備える“ツインフォーマット”のディスクも製造可能であり、DVDから次世代DVDへの移行期であっても、既存の再生環境に対応しつつ次世代環境にも対応できるソフトが作れるという点も特徴である。

1層HD DVDと1層DVDを兼用する“ツインフォーマットディスク”と、両面に記録層を設けて2層HD DVDと2層DVDを1枚で実現する“コンビネーションディスク”の構造図 東芝 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏
1層HD DVDと1層DVDを兼用する“ツインフォーマットディスク”と、両面に記録層を設けて2層HD DVDと2層DVDを1枚で実現する“コンビネーションディスク”の構造図東芝 執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英氏

都内にて開催された製品発表会で、同社執行役上席常務 デジタルメディアネットワーク社 社長の藤井美英(ふじい よしひで)氏は、国内外でハイビジョン対応の薄型TVが急速に普及している状況を説明し、コンテンツのハイビジョン化が消費者に強く望まれているとした。またコンテンツホルダー側も、多彩な再生機能を備える次世代映像メディアを求める声が高まっているため、これらのニーズにより次世代DVDであるHD DVDが必要とされているとした。特にハイビジョン対応TVの急速な普及の影響は大きく、藤井氏はこれにより次世代DVDへの流れは「考え方が180度変わった。かなり急速に(現行DVDから)変わっていくのではないか」と述べた。これについては、HDV方式でのハイビジョン映像録画が可能なソニー(株)DVビデオカメラ『HDR-HC3』がヒット商品となっている事例から見ても、うなずける点がある。次世代DVDへの国内市場の移行については、2008年には再生専用機とレコーダーを合わせて45%、金額ベースでは逆転。2011年には構成比95%が次世代DVD化するとの予測が披露された。

ハイビジョン対応大型液晶TVの伸びを示すグラフ。TV側の急拡大が、HD DVDなどのハイビジョンコンテンツへのニーズを高めているとしている 同社予測による次世代DVD機器および現行DVD機器の国内市場動向グラフ。2008年には台数はほぼ五分、金額ベースでは既存DVDを上回るとしている
ハイビジョン対応大型液晶TVの伸びを示すグラフ。TV側の急拡大が、HD DVDなどのハイビジョンコンテンツへのニーズを高めているとしている同社予測による次世代DVD機器および現行DVD機器の国内市場動向グラフ。2008年には台数はほぼ五分、金額ベースでは既存DVDを上回るとしている

藤井氏はHD DVDの利点について、まず記録容量については米国の映画産業でも15~30GBの容量があれば十分と言われている点や、ディスクの基盤(保護層)が0.6mmと厚いため、ディスクのさらなる多層化/高容量化(45~60GB)も容易であり、対抗するBlu-rayディスク(BD、1層25GB、片面2層50GB)に劣らないどころか勝っていると強調した。また記録メディアとしての容量の点でも、ハイビジョン映像の記録は1~2TBへと大容量化するHDDが主流になるとの見方を示し、ディスクメディアの記録容量差は問題にはならないとした。そのほかにも、インターネット上のコンテンツとも連携可能なインタラクティブな機能やパソコンとの親和性の高さ、著作権保護規格“AACS”の採用などの利点も挙げられた。また保護層の厚さがBD(0.1mm)よりも厚いため、衝撃対策の必要な車載用機器などにも、HD DVDの方が適するとも述べられた。

HD DVDなどの次世代DVDでは、ユーザーインターフェースも大きく進化する。たとえば本編映像の上に動画のチャプターサムネイルを表示して、別のチャプターに移動できる(注:HD DVDコンテンツについて実現可能なインタラクティブ機能については、ソフトによってファームウェアのアップデートが必要になる場合があります) “サブストリーム”と呼ばれる別映像を、本編の上に重ねて表示も可能だ。本編映像についてのコメント表示などへの応用が示された
HD DVDなどの次世代DVDでは、ユーザーインターフェースも大きく進化する。たとえば本編映像の上に動画のチャプターサムネイルを表示して、別のチャプターに移動できる(注:HD DVDコンテンツについて実現可能なインタラクティブ機能については、ソフトによってファームウェアのアップデートが必要になる場合があります)“サブストリーム”と呼ばれる別映像を、本編の上に重ねて表示も可能だ。本編映像についてのコメント表示などへの応用が示された
出演俳優紹介など、現行DVDでは本編とは別に収録されていたような情報も、本編映像に重ねて表示できる。本編再生中に全画面表示のメニューに移動してから、再生映像の続きに戻るといった操作も、現行DVDではできない操作も可能だ
出演俳優紹介など、現行DVDでは本編とは別に収録されていたような情報も、本編映像に重ねて表示できる。本編再生中に全画面表示のメニューに移動してから、再生映像の続きに戻るといった操作も、現行DVDではできない操作も可能だ

藤井氏の講演はさらに熱を帯び、HD DVDとBDの対比として取り上げられる点を1つずつ挙げて、いずれの点でも同等以上の能力をHD DVDは備えているとした。特に藤井氏はHD DVDの優位性として、0.6mm基盤の採用がもたらす利点(DVDとの互換性の高さ、多層化、記録面保護)を繰り返し強調していた。またBDは2層50GBの容量を利点としているが、これについても実現可能性について疑問を投げかけたり、BDビデオでAACSに加えて採用される著作権保護規格“BD+”などは「何が優れているのか理解不能」など、BDが利点とする点について、激しく攻撃した。

さて本題であるHD-XA1であるが、HD DVD-ROMの再生に加えて、DVDビデオやDVD-R/RW/RAMに記録されたビデオ映像の再生が可能である。ただしコピーワンス属性のついたデジタル放送を録画した記録型DVDディスクについては、再生不可とされている。これについてはドライブおよびファームウェア側が未対応とのコメントが説明員から得られた。

HD-XA1が再生対応する記録メディア
HD-XA1が再生対応する記録メディア

映像出力端子としてはHDMI出力やD4出力(D1/D2/D3も対応)、コンポーネントビデオ出力などを備え、最大で1080iの解像度での映像出力が可能である。また既存DVDビデオ(480i/p)を720p/1080iにアップコンバートしてD4やHDMIから出力する機能も備える。音声出力に関しては、次世代サラウンドフォーマットの“ドルビーデジタルプラス”(5.1ch出力)や2chロスレス圧縮の“ドルビーTrue HD”などに対応。音声出力端子として光デジタルオーディオ出力、同軸デジタルオーディオ出力を各1系統、5.1chサラウンドアナログ出力、2chアナログ出力を備える。

HD-XA1の前面パネルを開いた状態。中央の口がドライブトレイ。左にはUSBと同形状の“EXTENTION端子”が2つ並んでいる  
HD-XA1の前面パネルを開いた状態。中央の口がドライブトレイ。左にはUSBと同形状の“EXTENTION端子”が2つ並んでいるHD-XA1の背面。中央付近にHDMIやコンポーネントビデオ出力、D4出力などが並んでいる。Sビデオ出力やコンポジットビデオ出力もあるが、HD DVDの高精細映像を楽しむには適当ではない

映像と音声以外の端子としては、まず背面に10/100BASE-TXに対応するLAN端子と、RS-232C端子を備える。LAN端子はインターネット接続などに利用する用途を想定している。DLNA対応のメディアサーバーのように、LANでつながれた家庭内のほかの機器に映像を配信する機能はない。RS-232C端子は、主に北米などで普及しているシリアルインターフェースを使ったAV機器の統合コントロール装置と連携するために用意されている。本体前面側には、“将来の機能拡張用”としてEXTENTION端子と呼ばれる2つの拡張端子がある。端子形状はUSB端子に酷似しており仕様面でもUSBに近いとのことだが、既存のUSB機器との互換性を保証するものではないため、あえてEXTENTION端子と称している。用途としては、キーボードやゲームパッドなどを接続して、HD DVDソフトが備える多彩なコンテンツやインターネットコンテンツを利用することが想定されている。

付属のリモコンは“オートセンサー付シアターライトリモコン”と呼ばれる。リモコン内にバックライトを内蔵しており、照明を落とした室内でも、手に取れば自動でバックライトが点灯して、操作ボタンを示す機能を備えている。

“オートセンサー付シアターライトリモコン”
“オートセンサー付シアターライトリモコン”

また設定画面に使われているグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を、3パターン用意していて、同社のほかのデジタル家電(HDDレコーダーRDシリーズや液晶TV REGZA)に合わせた画面など、ユーザーの好みにあったものを選べる。

ユーザーインターフェースは3パターンの中から選べる

なにより重要なのは対応コンテンツのリリース予定である。本体が市場に出回るタイミングに合わせて、7日には(株)ポニーキャニオンから第1弾のHD DVDソフトとして、環境ビデオソフト『夜桜』が4月7日より発売予定である(価格は4935円)。日本各地の桜の風景をハイビジョン品質で撮影し、高精細画面を生かした文字情報などと組み合わせて表示するソフトである。同じ映像をDVDビデオでも収録したツインフォーマットディスクであるため、HD DVDのベンチマーク用ソフトとも言えそうだ。夜桜以外にもポニーキャニオンからは、『virtual trip さくら nostalgia』『virtual trip THE MOVIE 地球の大自然』の2本が第1弾タイトルとしてラインナップされている。これらを含めた映画やイメージビデオ、音楽ビデオなど23タイトルが現時点で発表されている。

ポニーキャニオンが7日に発売する、HD DVDソフト『夜桜』。DVDビデオにもなるツインフォーマットディスクである
HD DVDソフト第1弾としてリリース予定の5タイトル そのほかの発表されたHD DVDソフト。洋画や邦画が揃っているが、大ヒット映画のHD DVD版と呼べるものは見当たらない。北米でのリリース待ちというところか
HD DVDソフト第1弾としてリリース予定の5タイトルそのほかの発表されたHD DVDソフト。洋画や邦画が揃っているが、大ヒット映画のHD DVD版と呼べるものは見当たらない。北米でのリリース待ちというところか

さらに4月27日までに出荷されるHD-XA1には、映画『バイオハザード』と『ムーンライト・ジェリーフィッシュ』を収録したHD DVDソフトが付属する。とりあえず本体だけを買っても、HD DVDソフトが1本もないという状況は回避されるわけだ。

発表後の質疑応答では、パソコン用ドライブについては複数社が開発中で、今年第2四半期には搭載パソコンが登場するという。また1月に開かれた展示会“International CES 2006”で発表された、実売価格約500ドル(約5万8750円)の低価格機『HD-A1』は、現時点では日本市場には投入されないが、この理由については“市場特性の違い”を理由としている。米国でのHD DVDプレーヤーの発売は、4月上旬から出荷を開始し、18日には米ワーナー・ブラザース社からHD DVDソフトも発売されるという予定である。さらに記録型HD DVDを使ったレコーダーについては、「間違いなく(サッカーの)ドイツW杯には間に合わせたい」と述べられた。月産生産台数については、現時点では月産2千台、今年末には数万台の規模になり、全世界ではレコーダーを含めてAV機器として東芝だけで約60~70万台を出荷するとの見込みが示された。

最後に“HD DVDとBDで、勝者はいつ頃決まると思うか”と問われた藤井氏は、「今年の暮れ、あるいは来年の6月には趨勢がはっきりする」との自信を示した。とはいえ、BD普及の牽引車と期待される『プレイステーション 3』(PS3)が2006年11月上旬発売を予定していて、これがさらに長期間発売延期される、あるいは“数100万台ペースで売れることはない”ことが考えにくい以上、藤井氏の自信のコメントどおりになるとは予想できない。マイクロソフトは家庭用ゲーム機『Xbox 360』用に、オプションとして外付けのHD DVDドライブを発売する計画を公表している。しかし家庭用ゲーム機の世界で別売りの周辺機器が大きく普及した事例がいまだ存在しない以上、Xbox 360用HD DVDドライブがPS3に対抗できる牽引車となるとは言えそうもない。むしろ消費者にとっては、対応製品やコンテンツの動向を見比べつつ頭を悩ませる日々が、まさに今日から始まったと言えるのではないだろうか。

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