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【アキバ・キーマンインタビュー No.2】フェイスの“司令塔”倉石部長がメディアに初登場!

2006年03月28日 11時44分更新

文● 大森徹哉

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あれ日本で初めて付けたのは、私なんですよ

――倉石さんが店舗にいたときは、それに近い形だったんですか?
倉石 いや、一部ですね。TWOTOPにいた頃、海外の購買を見ていました。当時TWOTOPがフリーウェイという会社で、ASUSTeKTeKの代理店をやっていて、交渉を店舗でやっていました。今のじゃんがらラーメンの隣りにTWOTOPがあった頃です。私も店頭に立って、そのときはASUSTeKTeKに対する思い入れも強いですし、かなり売りましたよ。そうそう、実はマザーボードに日本語マニュアルって付いてますよね? あれ日本で初めて付けたのは、私なんですよ。
――え~、そうなんですか!!
倉石 自分で作って付けたんです。当時は日本語マニュアルが付いていたマザーボードなんてなくて、「POPにオリジナル日本語マニュアル付き!」と書くだけで売れました。また、ASUSTeKは特に技術色が強いメーカーでしたので、とくに技術情報を知ることに専念しました。そうすると、お客さんの質問にも答えられますし、メーカーさんと話した情報がそのままPOPにも書けるんですよ。BIOSやボードリビジョンのアップデートで、こういう機能が付いたとか、その度にPOPに書いてベタベタ貼っていったんです。とにかく付加価値をアピールしようと、思いついたことはすぐにPOPに書き、気づくと上から下までPOPがものすごく長くなって。それがまた楽しかったです。
――そうだったんですか。
倉石 ちょうど当時の旬はパイプラインバーストSRAM搭載のマザーボードでした。「P55T2P4」というマザーがあって、すごく売れたんです。店の真ん中の床の上にぐるーっと積んで、「日本語マニュアル付き!」、それと先ほどのながーいPOPを書くと、昼間並べたのが夜になるとほとんどなくなっていました。いちばん売れる土曜日は全マザーボードで300枚とか、400枚とか売れて。それがもう気持ちよくて、気持ちよくて(笑)。
――フェイスさんはPOPの製品情報が、他店と比べても特に充実していますよね。
倉石 その辺は今の店長のセンスです。とてもがんばってくれています。店長には、「とにかくお客さんの滞留時間を長くするような店作りをしなさい」とだけ言っていました。POPに手書きのコメントをつけることもそうです。今はインターネットでも、量販店さんでもPCパーツが買えますから、PCパーツショップとしてマニアの方も納得するように、そういう技術情報をお客さんに提供することを常に訴求していきたいと思っています。今は技術よりもネタっぽいものが多いですが……。
――お客さんの滞留時間を長くする一番いい方法って何かあるんですか?
倉石 いや、わからないです。それがあれば教えていただきたい(笑)。
――店舗は今も見ていらっしゃるんですか?
倉石 週に1、2回のぞくくらいでほとんど任せています。とにかく汚い店にしろと言ってます。実際本当に汚いんですけど(笑)。でも、本当に言いたいのは埃があって汚いとかではなく、ごちゃごちゃっとね。ドンキホーテさんとか、あきばお~さんみたいなイメージですよね。
――あきばお~は意外ですね。猥雑感というか、なんかいろいろあるなあという感じがいいんですか?
倉石 そうですね。雑多な雰囲気というか。
――お店の建物が古いので建て替えるって噂を聞いたんですけど……。
倉石 それはないです。でも、もうボロボロですよね(苦笑)。最近、耐震構造の件があって、うちでも耐震検査をしたほうがいいんじゃないかって話をしたんですよ。そうしたらスタッフがみんなそろって、耐震検査をしなくてもわかるって、倒壊するって(笑)。そんなこともあって、ビルの改造はすぐにできないんですけれども、近いうちに店内の改装を考えています。2階のPCパーツの一部を1階に降ろして展示しようと考えています。
――店舗でいうと、アキバではどこがライバルですか?
倉石 アキバの店舗のライバルはWebですね。ヨドバシさんがアキバにできた頃に、とある取材でヨドバシさんの影響について聞かれたんですけれど、もちろん直接バッティングするPCパーツもありますけれど、「アキバのお店にとって脅威なのはインターネット通販です」と。どこにいても購入できてしまうし、秋葉原に行くの面倒くさいからWebで注文しちゃおうって思われるお客様も多いと思います。だから、もっともっと店舗でニッチなものを見せたり、発表前の商品をフライング発売したりしないとね。あ、今はペナルティーが厳しくてフライングはできないんですけどね(笑)。でも、そういうことをやっていけば、ショップはおもしろくなり、お客様も秋葉原に来る理由ができると思います。



今目を付けているのがPentium4の631

――仕入れの部分で言うと、最近ASRockのデュアルのマザー「939Dual-SATA2」が密かなヒットでしたね。
倉石 そうなんですか? 逆にそういう情報があまり入って来なくなって。とか言いながら、組織が大きくなったのを言い訳にしてるところがあって、だめですね。ASRockは直接台湾から引いて、ちょこちょこやってます。
――フェイスさんならではのヒット商品とかも今まで多いと思うんですけれども、そういうのも倉石さんが入れていたんですか?
倉石 そうですね。ただ物を買っている立場にいるから、いろんなオファーが来るだけです。別に僕だからというのではなくて。メーカーさんの売り込みが多いだけで、私がたまたま、そこにいただけです。
――ヒット商品になるかは、どこで判断するんですか?
倉石 わかりません(笑)。わからないから、まずはリスクヘッジですよね。売れるかわからないものはまずWebで。そこで売れれば、「じゃあお店でも」というだけの話です。
――いっぽうで、LGのDVDドライブなんかはすごく大量に扱ってますよね?
倉石 そうですね。グループですごく扱う数が多いので、多少は安く買わせていただいていると思います。でも、安ければだれでも売れるだろう、というふうには言われたくないですね。もちろん価格はお客様に対する一番のサービスかもしれませんが、常にフェイスだからこの商品が売れたと、仕入れ先から思われるお店にはしたいと思っています。
――今、売れるものが何かは、なかなかわからないですからね。
倉石 そうです。ただ最近、Athlonがすごく強いです。やっぱりアキバユーザーの心をくすぐるような要素がいっぱいある。Opteronの144とか146があんなにヒットしたのは、オーバークロックができるからだったりとか、SLIでもAthlonのほうが対応が進んでいますし、パフォーマンスもものすごくいい。
――Opteronの144と146は物があまりないみたいですね?
倉石 今も来てないです。挙げ句の果てに値上がってしまいました。あれはAMDが値付けを間違えたとしか言いようがない(笑)。WorkStation用CPUが、こんなバカスカ売れるはずがない。ただ、値上げしてもなかなか物が入って来ないんです。一時期、Yahooオークションとか見ると、うちの店頭売価よりも高い値段で出ていましたね。ああいう商品はもっともっと欲しいです(笑)。
――なるほど。いろんなところに影響が広がるんですね。
倉石 そうです。Intelさんも「なんでOpteronがこんな売れているんだ!」って危機感を感じて、Xeonの売り込みを一生懸命しに来ました。けれど、そうじゃないんですって。対Xeonで売れたわけじゃない(笑)。別の要因だったわけです。
――そうなんですよね。
倉石 そういった意味で、今目を付けているのがPentium4の「631」、Cerdermill。あのへんはクロック耐性が高いみたいですね。そういうのは最近のIntelさんにはなかったですから。こういうのが出てくるとだいぶ売れるんじゃないですかね。つい先ほどもお店で動かしていたようです。「5GHzで動いちゃった」とか、ネットにも結構書き込みがあるし。Intelさんは立場上できない、我々ショップも公には言えません。が、展示で見せるくらいならいいかなと。秋葉原に来ていただけるユーザーさんは、その辺をわかっていらっしゃいますし、失敗して動かなかったからと言ってクレームを言われるような方々ではないですからね。
――メディアが取り上げる分にも問題ないですしね。
倉石 「わかんないけど、オーバークロックできちゃう!」とか、そういう記事をメディアでもどんどんやっていって欲しいですね。裏技的な物は出していってほしい。
――そういえば、水冷キットを一番最初に展示したのもフェイスさんじゃないですか?
倉石 そうですね。だいぶ前ですね。本当はもっともっとそういうことをやらないといけないと思っています。今、ガス冷のごっついデモ機をやろうと思っています。去年1回試したんですけど、結露して動かなかったんです。そういうことをやらないと、パーツ屋行かなくたってWebで買えるし、「アキバ行かなくったっていい」ってなっちゃいますからね。



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