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日本オラクル、統合型コラボレーション/コミュニケーション・アプリケーション『Oracle Collaboration Suite 10g』を発売

2005年08月30日 19時49分更新

文● 編集部 内田泰仁

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日本オラクル(株)は30日、統合型コラボレーション/コミュニケーション・アプリケーション『Oracle Collaboration Suite 10g』を9月21日に発売および出荷を開始すると発表した。この日同社で開催された記者説明会では、会場に設置されたWindowsパソコンを利用し、実際に同製品の機能(ウェブ会議、コミュニケーションなど)を使用してプレゼンテーションや質疑応答が行なわれた。

『Oracle Collaboration Suite 10g』の機能構成(画面中央)。その下に列挙されている他社製品は『Oracle Collaboration Suite 10g』に含まれる機能を他社製品で実現する場合に必要なコンポーネント類で、同製品ではこれだけの独立したコンポーネントを統合的に扱うことが可能

『Oracle Collaboration Suite 10g』は、同社製品のRDBMS(Relational DataBase Management System)『Oracle Database 10g』とアプリケーションサーバー『Oracle Application Server 10g』をインフラとして、企業内での情報共有やコミュニケーションのサービスを統合的に提供するアプリケーション。データの一元管理、ウェブベースのユーザーインターフェース、強固で柔軟なセキュリティー、SOA(Service Oriented Architecture/サービス指向アーキテクチャー)対応を特徴とし、いわゆる“グループウェア”に求められる機能や容易な操作性などを備えるとともに、よりエンタープライズ環境での高度な活用に対応しているという。各特徴のポイントは以下のとおり。

データの一元管理
メール/ファイル/スケジュールなど、従来の同種のアプリケーションではコンポーネント/機能別に個別管理していたデータを、『Oracle Database 10g』による統合データベースで一元管理
ウェブベースのユーザーインターフェース
HTTP/FTP/WebDAVといった標準プロトコルのサポートや、デバイス/OSを選ばない“Universal Access”環境を実現し、企業システムのシン・クライアント化を促進
強固で柔軟なセキュリティー
コンポーネント/機能の統合化によるID情報の一元管理やシングルサインオン、ユーザーごとの柔軟なアクセス権限設定など、シンプルかつ強固なセキュリティー環境を実現
SOA
情報のライフサイクルや業務プロセスに応じた機能を統合的な環境/基盤で提供

『Oracle Collaboration Suite 10g』の主な機能は次のとおり。

Oracle Workspaces
プロジェクトで情報共有をするためのコラボレーション・ツール。開発環境“Oracle Workspaces SDK”により機能の拡張が可能
Oracle Discussions
掲示板機能
Oracle Web Access Client
ウェブメールクライアント。従来バージョン(9g)から操作性を改善
Oracle Messenger
在席確認が可能なチャット機能。グループチャットやメッセージの一括配信も可能
Oracle Web Conferencing
ウェブ会議機能。新たにVoIP(Voice over IP)に対応し、音声配信が可能になった
Oracle Content Services
従来バージョンから大幅に機能強化が行われたというコンテンツ管理機能。フォルダー/ドキュメント単位でのアクセス権設定、自動バージョニング、WindowsのExplorer上でのファイルアクセスとドラッグ&ドロップによる操作への対応、包括的なワークフロー構築、レコード管理機能などの追加、ユーザーインターフェースやウェブサービス連携の改善/強化が図られている

『Oracle Collaboration Suite 10g』の主要機能の概要

対応プラットフォームは、Solaris(SPARC版)、Linux(x86版)、HP-UX(PA-RISC 64bit版)、AIX5L、Windows(32bit版)。参考として示されたところによると、1000ユーザー程度が使用する環境の場合、Xeon-3GHz×2/メモリー6GB程度のハードウェアスペックで動作するという。

ライセンス体系と1ユーザーあたりの価格は、全機能が使用可能な“Oracle Collaboration Suite”が7875円、メッセージング機能のみを提供する“Oracle Unified Messaging”、リアルタイム・コラボレーション機能のみの“Oracle Real-Time Collaboration”、コンテンツ管理機能のみの“Oracle Content Services”がそれぞれ5880円。ライセンスはいずれも最小100ライセンスからの販売となる。なお、“Oracle Content Services”に関しては9月21日出荷開始の最初期リリース版(バージョン名称“10.1.1”)には含まれず、次期バージョンアップ(バージョン名称“10.1.2”)から提供される予定。

記者説明会場で各席に設置されたパソコン。表示されている画面は実際のプレゼンテーション画面

この日記者説明会が開催された日本オラクル本社のセミナールームには、全席にノートパソコンが設置され、『Oracle Collaboration Suite 10g』のOracle Web Conferencingを利用したプレゼンテーション、Oracle Messengerによる質疑応答が行なわれた。

執行役員 システム事業統括 システム事業推進本部長の三澤智光氏三澤氏は2006会計年度の注力製品として“Oracle Fusion Middleware”を挙げているが、具体的な製品カテゴリーとしては、分析系/コミュニケーションおよびコラボレーション/アプリケーションインフラ/ユーティリティーインフラがこれに含まれる

特に、冒頭に製品の概要や戦略についての説明を行なった同社執行役員 システム事業統括 システム事業推進本部長の三澤智光氏は、セミナールームを離れた別室から、ネットワークを介してプレゼンテーションを行なった。この中で三澤氏は、2006会計年度の注力分野として、『Oracle Collaboration Suite 10g』をはじめとする、データベースと業務アプリケーションとを結ぶ統合ミドルウェア製品群“Oracle Fusion Middleware”を挙げた。なお『Oracle Collaboration Suite 10g』の販売目標については、2006会計年度に5億円、2007会計年度に15億円を目指すと述べた。

また、現在同社では、数社に対して大規模な導入/検証作業を行なっているといい、近日中に発表を行なうとしている。三澤氏によると、現時点での最大のリファレンスケースはオラクル自身だといい、同社では米国オースティンのデータセンターにある論理的には1台のサーバーで『Oracle Collaboration Suite 10g』を運用し、全世界のオラクル各社のデータを集約しているという。

米オラクル社 エンタープライズ・コンテンツ・マネージメント戦略担当 シニアディレクターのリッチ・バッカイム氏

続いて登壇した、米オラクル社 エンタープライズ・コンテンツ・マネージメント戦略担当 シニアディレクターのリッチ・バッカイム(Rich Buchheim)氏は、同社のコンテンツ管理製品の戦略について解説。バッカイム氏によると、現在の企業情報システムでは、 “非構造データの格納と活用”“コンプライアンス(法令遵守)”“コンテンツに対するリスク(セキュリティー、障害など)”の観点から“コンテンツ管理”に対する要求が高まっているといい、同社では、社内のすべての情報を追跡でき、すべての人が利用可能で、すべてのビジネスプロセスに対応でき、コンテンツ管理ツールに必要とされる“スケーラビリティー(テクノロジー/ユーザー数/データ量)”“大規模ユーザーに展開可能な価格”“あらゆるスキルレベルのユーザーにおける使いやすさ”の3つの条件を満たしたコンテンツ管理ツールを提供すると述べた。

また同氏は、他社の従来製品(同社では『Oracle Collaboration Suite 10g』の持つ全機能を統合的に備える他社製品はないとしている)に比べて『Oracle Collaboration Suite 10g』が優れている点としては、使いやすいインターフェースと階層化とポリシーに準拠した動作体系(何をするのか迷わない/最小限のアクション/ファイルサーバーでの経験を生かせる操作性、簡単なセットアップと一貫した管理インターフェース)を挙げている。

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