出版を加速する! 個人情報を守る!!――“第12回 東京国際ブックフェア2005”“デジタルパブリッシング フェア2005”レポート Vol.2
2005年07月09日 22時14分更新
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例年の4月開催を7月に変更しての開催となった“東京国際ブックフェア2005”。例年どおり“デジタルパブリッシング フェア2005”も共同開催された |
東京・有明の国際展示場(東京ビッグサイト)で開催されている“デジタルパブリッシング フェア2005”の展示ゾーンでは、電子書籍関連のサービスのほかに、出版のデジタル化を支援するさまざまなアプリケーションやソリューションが数多く紹介されていた。コンテンツの作り手である出版社をはじめとする“コンテンツプロバイダ”にとっては、より環境が充実してきたと感じられることだろう。
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コミックソリューション一色となったセルシスブース |
アニメーション制作やマンガ制作ツールの代表的な位置づけを確固たるものにしている(株)セルシスは、制作現場から配布へとサービス提供の幅を広げようとしているようだ。同社ブースでは、3G(第3世代)携帯電話向けのコミックビューアー『ComicSurfing(コミックサーフィン)』を中心に展示されていた。
会場ではComicSurfingを紹介するとともに、(株)トムスエンタテイメントの“アニ読メ”やプライムワークス(株)の“eBookJapanコミック”といった、ComicSurfingを使ってコミックサイトを展開している導入事例も紹介されていた。また、これらのコミックソリューションを実現する上での要となる、マンガ・イラスト制作のスタンダードツール『ComicStudio』や、既存のマンガ原稿をコンテンツデータとしてCOMIC STUDIOフォーマットに変換し、さらにComicSurfingで配信できるようにオーサリングするソリューション『ComicStudioEnterprise』も紹介されていた。
8日にはComicStudioのMac OS X 10.2以降対応版『ComicStudioEX for Mac OS X』が発売開始され、同社サイトで体験版のダウンロードも開始された。このほかにグラビア写真を配信する3G携帯電話対応の高機能画像ビューアー『BeView(ビービュー)』も紹介されていた。
![]() | ComicSurfingでは池田理代子氏の名作『ベルサイユのばら』が読める |
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Adobe InDesign CS2とAdobe InCopy CS2のデモを中心に展開されていたアドビシステムズブース |
アドビ システムズ(株)は、8日に発売された統合デザインプラットフォーム『Adobe Creative Suite 2』を紹介し、レイアウトデザインソフト『Adobe InDesign CS2』(8月12日発売予定)とプロフェッショナル向けの原稿執筆&編集ソフトウェア『Adobe InCopy CS2』で実現する効率的なパブリッシングワークフロー(編集・出版に関する一連の作業の流れ)について、デモンストレーションをメインに出展していた。
InCopy CS2を使うメリットは、編集者とデザイナーが並行して、おのおのの作業を進めることができるなど、強力な作業環境を構築できること。さらにInDesign CS2を併用することで、原稿の編集管理をより確実に行なえるため、結果として出版物の市場投入を早めることができるという。
アドビ システムズのブース内に設けられたパートナーゾーンでは、編集作業の効率化を支援するInDesign/InCopy用拡張ソフトとして、オランダのWoodWing Software社の“Smart InDesign Solutionsシリーズ”を(株)恒陽社が紹介していた。InDesignオブジェクトへのスタイルが適用できる『Smart Styles 4』や、30人程度を上限とするワークグループ向けの出版物制作ワークフローを管理できる出版ソリューション『Smart Connection Pro 4』などを出展。また、(株)プロフィールドは、InDesign対応のXML自動組版ソフトウェア『Pro DIX 3.0』をはじめ、低コストで高機能なパブリッシングソリューションを紹介していた。
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Adobe InDesignにRGBデータのまま貼りつけても、GMG CreativeServerが自動的に最適なデータに変換する |
アドビ システムズのブースでは、より制作環境に近いソリューションも数多く紹介されていたが、特に目立ったのがデジタル画像のRGB入稿に対応したソリューションだ。制作の現場では、一眼レフタイプのデジタルカメラの普及により、RGBやCamera Rawデータでの入稿が増えている。こうしたデータが増えることで、雑誌などの制作にはより効率の良いソリューションが求められている。
(株)桂プロ(けいぷろ)と共同出展していたGMG JAPAN(桂プロ内gmg事業部)は、革新的なRGBワークフローを提供するという『GMG CreativeServer』を紹介していた。
GMG CreativeServerは、RGBデータのまま入稿されるデジタルカメラでの撮影結果(写真)などを、そのままレイアウトソフトのフレーム内に配置し、レイアウト作業の終了後にネットワーク上のCreativeServerに保存すると、自動的に写真のプロファイルを認識して補正/原寸/350dpi/CMYK(印刷向け色空間)に自動変換して、PDFに書き出してくれるというスグレものだ。DTP作業で発生する画像処理の多くが“比較的単純な画像レタッチ”であることを考えれば、CreativeServerは作業効率の向上に大いに役立つだろう。
このほか、色ずれが極めて少ないというハイエンド・インクジェットプルーファー(色校正向けのプルーフ用紙に出力するインクジェットプリンター)を軸に、入力の『GMG camFlow』からデータ変換・出力の『GMG colorServer』まで、トータルソリューションを紹介していた。
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アドビシステムズではAdobe Illustrator CS2の新機能である“ライプトレース(下書きとして読み込んだラスターデータをなぞる機能)”や“ライブペイント(ライブトレースで作成した下書きに直接色を載せてイラストを作成していく機能)”を使った、マンガ制作向けのソリューションを紹介していた |
また、第12回 東京国際ブックフェア2005と同時開催されている“第16回 国際文具・紙製品展”では、オフィスで使える興味深い製品が出展されていたので、併せて紹介しよう。
個人情報保護法を持ち出すまでもなく、データを収録したCD/DVD、フロッピーディスクなどのメディアの処理は、今やビジネスユーザーのみならず一般ユーザーをも悩ませる問題になっているが、これらのメディアを紙と同様に細かく裁断してしまう“多機能シュレッダー”が数社から展示されている。
