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【INTERVIEW】長時間再生で人気爆発中!“ネットワークウォークマン”のスタミナの秘密はコレだ

2005年06月06日 16時11分更新

文● 編集部 小林久

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HDDを搭載した初めての“ネットワークウォークマン”『NW-HD1』は2004年夏に、ウォークマン25周年を記念したモデルとして鳴り物入りで登場した。その登場から9ヵ月。間に2モデルをはさんだ最新モデルの『NW-HD5』では、連続30時間だった連続再生時間がさらに増え、連続40時間の再生が可能になっている。

原口氏
NW-HD5の下地はNW-HD1ですでに完成していたという
[原口] 再生時間を増やす取り組みとして、NW-HD5で行なったことは2つあります。ひとつはバッテリー自体の容量アップ。NW-HD5のバッテリー容量は880mAhで、従来機種より容量が約2割多い大型のものにしました。もうひとつは電源回路を集約化して、消費電力を減らしたことです。バッテリーを大きくしたぶん、基板を小さくしないといけないわけですが、従来6個のICで構成していた電源回路を3個にまとめることで、基板のサイズもかなり小さくすることができました。
NW-HD5とHD1の内部
最新モデルの『NW-HD5』(左)と1号機の『NW-HD1』(右)。縦横のサイズは変わらないが、NW-HD5では基板サイズを小さくし、より大容量のバッテリーを搭載している

実際に2つの機種の基板を並べてみると、初代機でも十分コンパクトだった基板がより小さくなったことが分かる。しかし、同時に感じるのはNW-HD5の基本部分はNW-HD1で完成していたという点だ。NW-HD1の基板を開発した際の苦労について、原口氏はこう語る。

[原口] ちょっと基板の裏側を見てほしいのですが……。ICがひとつも載ってないでしょう。実は、ここの高さ制限は0.5mmになっている。これがメカの担当者から電気の担当者に許されたスペースの限界なんです。この基板を設計するときは本当に大変でしたよ。
[西内] 少しでもオーバーしようものなら、メカの責任者が駆け込んできますからね(笑)。
[原口] 0.5mmというのは、“1005”のコンデンサーが使えないサイズです。1005の高さは0.55mmで、この0.05mmがNGになる。コンデンサーはより薄い“0603”にしました。基板からHDDまでの実際の距離は1.5mmあるのですが、1mmはダンパーで囲われたHDDが落下時に動くマージンとして確保しています。基板は6層のビルドアップ基板で、板厚は0.6mm。当然薄くすれば高価になる。LCDもこれ以上厚くできないと言われているから、板厚0.5mmのガラスを使ってパネル全体の厚みを1.23mmに抑えました。
原口氏
基板の裏側にはまったくチップが載っていない。電気担当者に対するメカ担当者からのリクエストは0.5mm以内に収めることだったという

“世界最小・最軽量”を実現するために当時電気グループのリーダーだった原口氏に課せられたのは“コンマ・ゼロ・数ミリ”の精度。つまり10ミクロン単位での調整だったという。特に頭を悩ませたのが、チップメーカーの公開している仕様が「大抵“Typical”の値(標準値)で、必ず公差が生じる」点だという。本体の箱に基板を収めるためには、もちろんすべてを“Max”の値(最大値)で揃えなければならない。小さな誤差にも気を配りつつ、必要なチップを丹念にレイアウトしていった。

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