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【INTERVIEW】長時間再生で人気爆発中!“ネットワークウォークマン”のスタミナの秘密はコレだ

2005年06月06日 16時11分更新

文● 編集部 小林久

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非常にシンプルな基板の裏側に対して、表側にはネットワークウォークマンに必要なチップがギッシリと並べられている。「チップの高さは、一番面積の広いものでだいたい1.4mm」(原口氏)。基板が小さいため、本来小さいはずのチップもずいぶんと大きなものに見える。音の良さを保つために必要なアンプ、HDDから読み込んだ音楽データをキャッシュするSDRAM、OSのμITRONとともに基本機能を司るCPU(ARM7コアの704060)……など。その中で特に注目したいチップが、ソニー自慢の“VME”(Virtual Mobile Engine)である。

西内氏
「ソニーのスタミナの理由はVMEである」と、西内氏は言う

製品企画を担当した西内氏は、ネットワークウォークマンの“スタミナ”を実現する上で「VMEはかかせないチップ」だと言う。VMEは主にMP3やATRAC3などの圧縮データを非圧縮のPCMに変換する“デコード処理”を行なっている。一般的なプレーヤーでは、この処理を“DSP”(Digital Signal Processor)というチップが担当するが、ネットワークウォークマンでは2002年に登場した『NW-MS70D』以来、VMEを利用している。

VME
VMEは圧縮データを非圧縮のPCMに変換するデコード処理やサウンドエフェクトの処理に用いられるチップで、DSPなどの代わりに用いられる。専用のDSPを使ったハード処理より柔軟性があり、汎用的なチップを使ったソフト処理より低消費電力なのが持ち味だ
VME
“省電力”の意味でネットワークウォークマンを支えるのが、Virtual Mobile Engine(VME)だ(シールを貼ってあるチップ)

デコード処理を実現する際には、大きく分けてソフトウェアを利用する方法とハードウェアを利用する方法の2種類がある。

[西内] ソフトウェアを用いた場合は、多様なコーデックに柔軟に対応できるという利点があるのですが、汎用性の高いチップを使うため、そのぶん電力を食います。一方、ハードウェアでは、MP3やATRAC3に特化したチップを使うことで消費電力を抑えられるのですが、対応するコーデックが限られます。コーデックの選択肢を増やそうと思うと、それに応じたチップを追加する必要があり、結局トータルではソフトウェア処理と変わらない消費電力になってしまうというジレンマがありました。

これを解決するのがVMEに搭載されている“アクティブリコンフィギャラブル”(Active reconfigurable)技術です。日本語では“動的再構成回路技術”と言います。VMEの内部には複数の回路ブロックがありますが、これらのうちいくつかを組み合わせることで、さまざまなコーデックに対応することができます。一方で、使わないブロックの電源は落とすことができますし、チップの数を減らせるので全体の消費電力を落とすこともできます。

VMEの概念図。機能ブロックを柔軟に組み合わせることで、低消費電力と汎用性を両立できる

“省電力”を実現する上で、忘れてはならないのはHDDのパワーマネージメントだ。実は音楽再生時にHDDが回転している時間は非常に少ない。25分間に1回だけ。しかもたったの8秒間である。この間に音楽データを一気にSDRAMに読み込み、あとはそこからチョロチョロとデータを吐き出していく。

[原口] HDDを回すと、アイドル状態でも200~300mA程度の電流が流れます。リードライトを行なうとさらに増えて平均500mAぐらいになる。短時間ですが、立ち上がりの一瞬は800mAぐらいの電流が流れる。つまり動作させると一番電力を食うパーツなんですね。バッテリーを長持ちさせるには、HDDをいかに長く寝かせるかがポイントになります。例えば、25分に1回8秒程度回す使い方だと、HDDが消費する電力は平均5mWぐらいに抑えられます。この電源管理によってバッテリーを消費するパーツを上から並べると下のほうにきちゃうんです。

衝撃もHDDの大敵である。そのためにNW-HD5では“インシュレーターによる保護”と“Gセンサーによる落下の検出”という2重の対策を行なっている。インシュレーターは、HDDの側面を非常にやわらかいゴムで覆うもので、ゲルの一歩手前ぐらいの触り心地だ。

HDDを覆っているインシュレーターは非常にやわらかい

一方“Gセンサー”は3軸方向の動きに対応した動体センサーでNW-HD5の位置や動きを検出してHDDのヘッドを退避させ、データを破損から守る。

[原口] Gセンサーは1号機から搭載しているのですが、前モデルの『NW-HD3』までは、自由落下を検出するためだけに使っていました。機器はそう頻繁に落とすわけではないし、部品としては結構高価な部類に入りますから、もったいないだろうということで、NW-HD5では本体の向きを検出して画面を回転させる機能を付けました。
[西内] “振ったらシャッフル”とか、いう案もあったんですよ(笑)。

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