■デジタルカメラはできればマニュアル露出
マニュアル設定のバルブ撮影モード。 |
一般に花火写真とは、“地上から打ち上げられた花火が光の尾を引きつつ上空で破裂し、最も大きく開くところまで”を1枚に収めたものがベストとされている。カメラをセットして打ち上げの光が見えた瞬間に“シャッターを切って露光を開始”し、花火が開ききったところで“シャッターを閉じる”ということになるわけだが、これにはマニュアル露出モード(シャッター速度と絞り値をそれぞれ個別に設定できるモード)に加えて、シャッター速度を“バルブ”(シャッターボタンを押している間じゅう露光する撮影方法)に設定できるデジタルカメラが必要となる。
レンズ交換式の一眼レフデジタルカメラや各社の上位モデルの多くはバルブ撮影モードを備えているので問題ないが、最近のコンパクト機ではマニュアル露出モードこそ備えていてもバルブ撮影モードを持たない機種が少なくない。例えばカシオ計算機の「EXILIM PRO EX-P600」は、コンパクト機ながらバルブ撮影モードを持つが、これはかなり珍しい存在だ。シャッター速度を決めて撮った場合、開ききる前にシャッターが閉じてしまうと物足りないし、開き終わったあとまでシャッターが開いていると火薬の煙がほかの花火に照らし出されて“締まりのない花火”に写ってしまう。もしお使いのカメラがバルブモードを持っていない場合は、ハガキ大の黒い紙などを用意して、ここでシャッターを閉めたいと思ったとき(花火が完全に開ききった瞬間)にレンズを覆ってしまう、という少々強引な手も有効だ。
【ありがちな花火撮影のミス】 大きなミスではないが、煙が手前に入ってしまい光がぼやけている。 | こちらは場所を変えたため、煙を避けて撮ることができた。 |
絞り値に関しては、被写体が静止している夜景とは少々勝手が異なる。というのも、花火の光は夜景のイルミネーション以上に輝度が高いため、絞り込んでもかなり明るく写るからだ。だいたいF8~11程度(ISO100の場合)の絞り気味にするのが適値だが、被写体までの距離や花火の種類、デジタルカメラの機種によっても最適値は異なるため、最初の2~3カットを試し撮りにして液晶モニタで確認しながら調整していこう。
【ありがちな花火撮影のミス】 絞りの調整ミスで、露光オーバーになってしまった。 | 【ありがちな花火撮影のミス】 花火が開ききった後までシャッターを開けすぎたため、間の抜けた絵になってしまった。 |
シャッター速度と絞り値が個別に設定できるマニュアル露出撮影対応のデジタルカメラでないと、花火をきれいに撮るのはかなり難しいわけだが、オート中心の露出モードを持つデジタルカメラでも、“夜景モード”や“長秒露出モード”など、花火撮影に比較的向いた撮影モードを持つ機種がある。これらのモードで撮影するときには、花火が上がっていない状態の夜空でAEを合わせていると絞りが開放気味になり、いざ花火が上がって写したときには露出オーバーだったという失敗がありがちだ。これは露出補正機能で目一杯マイナスにすることで対応しよう。