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夏の風物詩、花火をデジタルカメラで撮ろう

夏の風物詩、花火をデジタルカメラで撮ろう

2004年08月09日 00時00分更新

文● 行正 和義

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■ちょっと凝った画像にしたい人は

花火画像合成の手順1
【花火画像合成の手順1】 まず、なるべく同じロケーションから撮影した花火画像を3枚用意する。打ち上げられた花火の高さが異なると、合成結果がきれいにまとまる。

 雑誌やスクリーンセーバーなどに使われる花火写真には、複数の花火を1カットに収めた見事なものもある。これは同時に発射された花火をワンカットで撮ったわけではなく、多重露光している場合が多い。多重露光(銀塩カメラで言えばフィルムを巻き上げることなく何度もシャッターを切ること)ができるデジタルカメラもあるにはあるが一部の高価なモデルに限られる。

 一般的なカメラでもできる簡単な多重露光の手法もある。バルブ撮影モードでシャッターを開けっ放しにしつつレンズを黒い紙などで覆っておき、花火が上がったら紙を外して露光、花火が開ききったら再び覆い、別の花火が上がるまで待って、また露光するというものだ。

花火画像合成の手順2
3枚の画像を1つの画像の複数レイヤーにコピー&ペーストする。この例では3つのレイヤーが重ね合わせてある。そこで“覆い焼き”を選択。パラメータの調整によって、色の濃さが変更できる。

 ただし、デジタルカメラは銀塩カメラと違って、シャッターを開けていると、たとえ露光はしなくてもCCDに熱ノイズが蓄積され、赤や青の点になって発色してしまう。いわゆる“ノイズが乗る”状態になるわけだ。ノイズリダクション処理があるカメラでも、画質の劣化は免れない。

 デジタルカメラの場合は撮影後のデータの加工・編集が容易という大きな強みがあるので、撮影時には花火1発につき1カットにしておくほうがいいだろう。多数の花火が夜空を飾っているような絵を作りたいときは、Adobe Photoshopなどのフォトレタッチソフトで複数枚の画像を合成(Photoshopの場合“レイヤー合成”の“覆い焼き”)を使うのがオススメだ。

花火画像の合成結果こうして完成した合成結果。まるで多重露光で撮影したか、同時に打ち上げられた複数の花火を“ドンピシャ”のタイミングで撮影したかのように見える。


■そのほかの注意点

花火撮影に持って生きたいオプション
あればオプションバッテリー(もしくは予備バッテリー)と記録メディアの予備を持っておくと、撮影途中でバッテリー切れやメディアフルで撮影できない、といった場合でもあわてずに済む

 花火撮影に限らず“待ち撮り”的な撮影(いつシャッターチャンスが来てもいいように、常にカメラを動作/フォーカス状態にしておく)であれば電池の予備を持っておきたいし、数千発が夜空を焦がす大規模な花火大会なら予備の記録メディアもあったほうがいいだろう(休憩時間中に、パソコンなどにデータを逃がす手もあるが)。ただ、人が多くて薄暗い会場でカメラバックを広げるのは難しいため、携行する機材は厳選して必要最小限にしておこう。

 花火を普通に観賞する場合と同様に、いい場所を押さえることは極めて重要だ。上空の花火から遠すぎたり近すぎたり、手前に木や建物が入ってしまっては、せっかくの写真も台無しだ。

 ただ撮影におけるロケーション選びでは、風向きが大きなポイントであることは意外と知られていない。というのも風下側から撮ると花火の煙によって光がくすんで見えてしまうためで、できれば風上から撮りたい。花火大会が開催される場所と時刻の典型的な風向きなどは事前に調べて、入念に検討しておきたい。



花火サンプル5 花火サンプル6
花火サンプル7

 いい場所を押さえたい、いい写真を撮りたいからといって、周囲の人に迷惑を掛けないように心がけることも肝要だ。花火大会に限らず、景勝地などで一般の観光客の迷惑を顧みずに“オレだけのベストポジション”に三脚を立てて陣取る連中を見かけることもあるが、混雑の極みとなる花火大会において巨大な三脚を立てるのはそれだけでけっこう顰蹙をかう行為であることも認識しよう。

 さらに周囲の観衆が地面に座っているにも関わらず三脚を高いまま使ったり、撮影位置を変えたいからといって人ごみの中を三脚を担いで動いたり、カメラの前を横切る人に罵声を浴びせたりといった傍若無人な撮影者も、情けないことにときおり見かける。特に花火大会が終わった後、帰宅する人ごみの中で機材を撤収するのにはくれぐれも気をつけたい。“写真を撮る”といっても会場における立場は一般の観客とは変わりないことを肝に銘じ、夏の思い出を気持ちいいままデジタルに残すように努めよう。



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