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マイクロソフト、“the Microsoft Conference+expo 2004”を開催――最高技術責任者・古川享氏がビジネスコンピューティングの未来像を語る

2004年06月03日 12時49分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフト(株)は2日と3日の2日間、東京国際フォーラムにて、同社製品やビジョンの解説と紹介、および同社製品やこれに関連するパートナー企業各社の製品などの展示/紹介を行なう“the Microsoft Conference+expo 2004”を開催する。会期初日となる2日午前は、米マイクロソフト社バイスプレジデント兼マイクロソフト(株)最高技術責任者の古川享氏がオープニングセッションを、(社)日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の専務理事である細川泰秀氏がキーノートセッションをそれぞれ担当し、講演を行なった。

米マイクロソフト社バイスプレジデント兼マイクロソフト(株)最高技術責任者の古川享氏

“ビジネスコンピューティングの未来~ユビキタス社会の到来に向けて”と題された講演を行なった古川氏は、2月に日本法人に復帰するにあたっての抱負と役割を改めて述べ、「社内、社会の若い世代のために機会を作り、技術に基づく(同社と)社会との接点を作る」ことを自身のミッションだとした。

今後のビジネスコンピューティングの要となるという“ウェブサービス”ウェブサービスの拡大に向けたマイクロソフトの標準規格と相互運用性への取り組み

古川氏は講演の中で、今後のビジネスコンピューティングの要となる技術として“ウェブサービス”を特に大きく取り上げた。同氏は、ウェブサービスを“システム、サービス、デバイス、アプリケーション、データ等がゆるやかに結びついた構造体”と定義し、人と人、人とモノ、モノとモノの相互作用を進めるものであるとした。企業内でのネットワーク網をベースとしたクライアント-サーバーシステムの環境では、インフラやアプリケーションなどはすべて各企業内で保有しなくてはならなかったが、インターネット/ウェブをベースとしたウェブサービスの環境では、必ずしもすべてのものを各企業が自分で持つ必要はなく、「幅広い選択肢から、必要なときに必要な組み合わせで連携」すればよいとしている。また、選択肢や組み合わせを広げるために必要な取り組みとして、標準規格技術の導入や相互運用性の向上の重要性を挙げ、自社技術の提案を含めて標準化団体への積極的な参加を進めているという。

古川氏が例としてあげた“ショッピングサイト”のモデル。課金、配送は外部のウェブサービスを利用しコストダウンを図る。このほか、寄付などのウェブサービスをアドオン的に組み込むというケースもあると紹介している

古川氏はウェブサービスを利用した簡単な例として“ショッピングサイト”の構築を挙げ、画面上は“単一のショッピングサイト”ではあるものの、課金や配送に関しては自前でシステムを持たず、外部のウェブサービスを利用する、という方法を示した。この場合、利用者側は課金や配送といった各セクションが“外部のサービス”であることを意識することなく利用でき、サイト側は独自のシステムを持たないことでコストの削減などが可能になる。

人事サービス・コンサルティング(株)が構築した、異業種3社の人事部門を統合する人事システムの概要人事サービス・コンサルティングでは、構築した人事システムなどの外部企業への提供というビジネスを確立したという

このようなウェブサービスを利用した「先進的」(古川氏)な事例として紹介されたのが、住友信託銀行、松下電器産業(株)、花王(株)が共同で2002年5月に設立した、人事サービス・コンサルティング(株)(以下HRMSC)。HRMSCは、異業種3社の人事部門を統合してできた企業で、人事システムをはじめとする各種サービスにはウェブサービスを取り入れているという。異業種3社であるため、人事システムの中には共通部分もあれば異なる部分もあるが、システムの構築の際には、まずはじめに共通化できる部分を洗い出して共通化を行ない、各社個別に対応する必要がある部分はアドオンを追加して対応する、という基本構造を取ったという。このようなシステムをウェブサービスにより構築したことで、通常、各企業が個別に持っている人事システムを、HRMSCでは“サービス”として外部に提供することが可能となり、従来は“利益を生まない業務部門”とされてきた人事部門を“利益の源泉となる部門”として「攻めの部門」(古川氏)に転換することができたとしている。

上映された“近い将来のビジネスコンピューティング環境を利用したビジネスの流れ”に登場したさまざまな技術。一見するとまだ実現不可能な未来の環境とも思えるが、古川氏は「既存の技術をベースに実現可能」だとしている

さらに、今後さらに進化が見込まれる技術としては、ウェブサービスのほかに、

  • 各種ハードウェア
  • 無線ネットワーク
  • HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)
  • RFID(Radio Frequency Identification、小型無線チップによる識別システム)
  • ブログやソーシャルネットワーキング

を挙げ、これらを技術基盤として、同社が提唱するユビキタスコンピューティング“シームレスコンピューティング(Seamless Comuputing)”を実現していくとしている。また、進化したビジネスコンピューティング環境を利用した将来のビジネススタイルを示したビデオが紹介され、この中では、ビデオフォンや、パソコン/IP電話/ボイスメールの境界線のない音声通話、デスクトップパソコンと“Tablet PC”の間をドラッグ&ドロップなどの操作で自在にデータなどのやり取りを行なう環境、生体認証を組み入れたカーナビゲーションシステムとスマートフォンの連携、ディスプレー環境の進化、ミーティング環境の進化、といったテクノロジーがシーンごとに盛り込まれていたが、古川氏は「これらは今ある技術で実現可能」だとし、近い将来にさらに進んだビジネス環境が生まれるだろうと述べた。

講演の最後に示された2004~2005年の製品ロードマップ。次期Windows“Longhorn”のβ版は2005年予定

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