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DVD+Rの12倍速書き込みに対応した『PX-712A/JP』──高速化と安定性の秘密とは!?

2004年04月02日 20時01分更新

文● 編集部 新海宏一郎

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プレクスター(株)は、12倍速DVD+R書き込み対応のDVD±R/RWドライブ『PX-712A/JP』を5月上旬に発売する。開発元であるシナノケンシ(株)のストレージ技術部の金井真哉(かないしんや)氏と同社営業統括部の堀口龍太郎(ほりぐちりゅうたろう)氏などが3月16日、新製品の紹介のためアスキー本社を訪れ、DVD+R書き込みの高速化や、書き込み精度の向上などについて技術説明を行なった。製品の詳細についてはこちらのニュース記事を参照。

『PX-712A/JP』
『PX-712A/JP』(上)と『PX-712SA/JP』(下)。フロントベゼルには違いは見当たらない

『PX-712A/JP』『PX-712A/JPB』は、2003年7月に発表した『PX-708A/JP』の後継機で、DVD+Rの12倍速書き込み、DVD-Rの8倍速書き込みに対応した内蔵型DVD±R/±RWドライブユニット。『PX-712SA/JP』は、PX-712A/JPと同等の書き込み速度で世界初のシリアルATA(以下SATA)接続に対応した内蔵モデル。書き込みは、DVD+Rが12倍速、DVD-Rが8倍速、書き換えは、DVD±RWが4倍速、CD-RWが24倍速など。8倍速対応DVD+Rメディア(※1)に12倍速で書き込めるほか、DVD±RとCD-RWでは、安定した高速書き込みが可能な“パーシャルCAV方式(※2)”(以下PCAV方式)での書き込みに対応したのが特徴。

※1 8倍速対応DVD+Rメディア 同社で推奨するメディア(確認中)は、(株)リコー『DRD-8XCW5』、日立マクセル(株)『D+R47C.1P』、太陽誘電(株)『DVD+R47TY5PA』など。なお、推奨メディアを使用しても、メディア品質のばらつきにより、最高速での書き込みができない場合がある。その場合は、メディアに対して最適な速度で書き込みを行なう。正式な対応は同社ウェブサイトにて公開予定。

※2 パーシャルCAV方式 最内周から書き込み始めて、書き込み速度(線速度)がドライブの最大値に達するまでは、回転数(角速度)を一定に保ち、最大値に達した後は書き込み速度を一定に保つため、外周に行くにつれて、徐々に角速度を落としていく方式。

『PX-712A/JP』
技術部の金井氏
シナノンケンシストレージ技術部の金井氏は、同製品に関する書き込み速度と記録品位の向上に関する技術説明を行なった。書き込み速度に対する技術としては、下記のものを挙げた。



高速書き込みのための技術

  • 三洋電機(株)社製12倍速コントロールLSI『LC897491』搭載
  • “PoweRec”の機能強化
  • “3次元チルトアクチュエータ”(メディアの反り具合に対してレンズを傾け、常に垂直にレーザーを当てて書き込む機能)搭載
  • 最大200mWの高出力DVDレーザーの採用
  • “LVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式(※3)”の“レーザードライバLSI”搭載、など
※3 LVDS方式 高速通信、低消費電力、低ノイズ化が可能な低電圧差動通信方式。

書き込み速度向上の技術では、書き込み中のメディアの状況をリアルタイムに把握し、最適な速度で書き込む“PoweRec”を挙げた。従来製品のPoweRecではメディアの状態が悪く速度を落とす場合、8倍速から4倍速まで落としていたが、同製品に搭載した新しいPoweRecでは2倍速刻みで速度を落とすことが可能(12倍速→10倍速→8倍速→……)になり、書き込み時間の短縮に効果があるという。同社が測定した計測値によると、メディアの3分の2まで正常に書き込んだ時点で、12倍速から10倍速まで速度を低下させた場合と、4倍速まで低下させた場合とでは約180秒の時間差が生じるという。また、DVD-RとDVD+Rの両メディアでPCAV方式での書き込みに対応したことで、書き込み時間が従来の“ゾーンCLV方式(※4)”と比較して約4%短縮したという。

※4 ゾーンCLV方式 メディアをいくつかのゾーンに分け、ゾーン内の線速度を一定に保つ方式。角速度は内周に近いゾーンでは速く、外周に近いゾーンでは遅くなる。

書き込み品位向上の技術では、PCAV方式での書き込みを例に挙げて解説した。「幣社での計測によると、8倍速対応DVD+Rメディアに12倍速のPCAV方式で書き込みをしても、他社製の8倍速の“ゾーンCLV方式”での書き込みとほぼ同等のジッター(jitter)値(※5)であった」と述べ、PCAV方式の書き込みによる記録品位の高さをアピールした。また、ゾーンCLV方式ではゾーンが変わる時にメディアを加速しているため、多少の加速回転音があるが、PCAV方式では加速制御を行なわないため、書き込み時の駆動音がゾーンCLV方式と比べ静かになっているという。

※5 ジッター値 メディアに記録されるピット(レーザーが当てられる場所)およびランド(レーザーが当てられない場所)の長さの基準値に対するばらつき(時間軸・回転方向の揺らぎ)値。この値が低いほど記録品位が高く、ドライブにとって読み取りやすいメディアとなる。

次に、シナノンケンシ営業統括部の堀口氏は、「12倍速の書き込みに対応したことで、8倍速対応の4.7GBのDVD+Rメディアに約6分で書き込め、発表時点で世界最高速度を達成した」という。同社で確認の取れているDVD+Rメディアでは、8倍速対応メディアで4倍速から12倍速書き込み、4倍速対応メディアでは2.4倍速から8倍速の書き込みに対応している。また、「ユーザーからの要望と、PX-712シリーズで新たに対応した機能で、より使い勝手のいい製品に仕上がった」と新製品をアピールした。

ユーザーからの要望で追加した機能

  • “Q-Check”(書き込んだDVDメディアの品質の測定機能)、“Silent Mode”(動作音の静音化)、“VariRec”(レーザーパワーのカスタマイズ)のDVDへの対応
  • 4倍速対応DVD-Rメディアの8倍速書き込みへの対応(PCAV方式)
  • DVD±Rの“CLV方式(※6)”での書き込み、など

PX-712シリーズで新たに対応した機能

  • SATA接続の対応
  • 初期化時間の短縮(従来機種比最大40%の短縮)
  • 動画の長時間記録が可能なDivX形式の対応(付属の(株)サイバーリンク製のDVDオーサリングソフト『PowerProducer 2 GOLD ドルビーデジタル DivX対応版』によって対応)
  • 8MBのバッファーメモリー
  • 縦置き対応、など
※6 CLV方式 メディアの線速度を一定に保ったまま書き込む方式。角速度は、内周書き込み時では大きく(速く)、外周書き込み時では小さく(遅く)なる。

『PX-712A/JP』と『PX-712SA/JP』の比較写真 『PX-712A/JPB』
『PX-712A/JP』と『PX-712SA/JP』を比較したところ。PX-712SA/JPのほうが10mm長くなっている。これは、同製品に最適化されたSATA専用基板を搭載したため『PX-712A/JP』(上)と『PX-712SA/JP』(下)。PX-712SA/JPにはSATA接続用端子とSATA接続用電源端子のみ装備

また、堀口氏は、「今回、SATA接続対応モデルPX-712SAを発表したのは、対応チップセット(マザーボード)の増加や、高速転送(理論値:1.5Gbps)、ケーブルの取り回しやすさ(IDEと比較してケーブルが細い)などが挙げられる」と述べ、SATAでの接続がユーザーにとってメリットが多いことや、今後もSATA対応ドライブが増えてくる可能性が高いことなどを示した。

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