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『シュレック2』制作にワークステーション導入!HPのLinux戦略を聞く

2003年12月09日 20時20分更新

文● 編集部 小板謙次

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[編集部] 米国と日本の戦略をそれぞれ教えてください
[ウッド氏] 米国内では、もっと他のスタジオに弊社のシステムを広げていきたいと考えています。ハリウッドもそうですし、オーストラリアにも多くの映画スタジオがあります。あるいは、街のなかにあるインスタントプリンティングシステムのようなマーケットも考えています。
[井上氏] DCCの市場は国内ではWindowsを採用しているケースがほとんどです。これは米国と決定的に違うところですね。日本のマーケットは、米国と違ってLinuxは普及が遅いと言えます。DCC以外でも海外では機械系のCADなどにも採用しよう流れがありますが、日本ではまだないですね。ただ、一方で大学関係での需要が高くで、64ビットのItanium搭載製品を採用している大学の半数以上がLINUXで動いてます。
[編集部] 他のOSからLINUXに移行する場合に、顧客にとって抵抗はないのでしょうか?
[ウッド氏] SolarisやIRIXからの移行が多いので、抵抗は少ないですね。コードを書き直す手間が少なく移行が簡単だというのが理由です。
[井上氏] 問題になるのは移行する際にどう移行するか、パフォーマンスが本当に出るのか、安定性は大丈夫かという部分だと思います。EDAの分野は明らかにコスト+パフォーマンスが要因で、どちらかというとパフォーマンスがキーになっていると思います。現在この分野に使われている端末としてはサンの非常に低価格な機種が入っているケースが多いんですが、それと同じ金額レベルで比較すると、2~3倍のパフォーマンスが出ます。それに、EDAの分野の方々は非常にITリテラシーが高いので、私どもが勧めるというのではなく「Linuxに変更することを決めましたから購入します」と言ってくるお客さんがほとんどです。Linuxのバージョンも指定してきますね。
[編集部] EDAの分野で特にとった戦略というのはあるのでしょうyか?
[井上氏] 2つ体制を用意しました。プリインストールしたものと、LinuxReadyということで本体とは別々にLinuxを購入された場合でもサポートしますよという体制です。EDAは後者があったからこそ受け入れられたんだと思います。
[編集部] 国内のケースではEDAマーケットが指定してきたレッドハットのバージョンは何でしたか?
[井上氏] 7.2ですね。ケースによっては7.1もありました。
[編集部] 海外のケースでは?
[ウッド氏] 米ドリームワークスや医療関係は7.3。EDAの分野は7.2でした。
[編集部] 今後の販売方法は変わってくるのでしょうyか?
[ウッド氏] レッドハットさんがコンシューマーよりも企業向けディストリビューションに主軸を移していくことがありますよね。7.3ももう販売完了になりますので、それに合わせてLinuxのインストールの仕方を変更します。インストーラーCDというものをつけていきます。購入したユーザーはインストーラーCDを使ってレッドハットからメディアを購入していただくかダウンロードしていただく。それを、インストーラーCDの後に入れる形になります。インストーラーCDが最初にHP用のドライバーなどを含めてシステムにインストールしてしまうんです。7.3と9.0のインストーラーCDとワークステーション3.0のドライバーCDを提供するという形でスタートする予定です。
[編集部] そういう形式に変わるのはいつからですか?


[ウッド氏] 来年早々には変わることになります。アメリカは12月の下旬からスタートします。
[編集部] Linux搭載システムは、これからどのくらいのシェアをとっていくとい思いますか?
[井上氏] 2~3年でも20%しかいかないのではないかと思います。といっても大きいのですが…。EDAはWindowsではなくLinuxが主流になっていくのは確実で、DCCの場合にはレンダリングのところに採用されていくと思います。
[編集部] 先日、貴社はプロクオリティ戦略を発表しましたが
[井上氏] 私どもから価値を提案していかないとワークステーションは意味がないです。プロクオリティ戦略を出した背景には、ハードウェアの値段がどんどん安くなっていきますが、それだけで本当にハードウェア単体でメリットがでるか?という疑問があったんです。もちろんユーザーにとって安く買えるということはメリットですが、ワークステーションは仕事のアウトプットが出てはじめて価値が出てきます。コンシューマ用のパソコンのように販売していればいいという話しじゃない。それにLinuxのシステムはいくら営業プロモーションしても、相手の実情に合ってないと売れるものじゃないんです。医療関係のメーカーや米ドリームワークスSKGのケースもそうですが、お客さんが動作確認やパフォーマンス面でどういうところが困っているのか見て、サポートさせていただく。またLinuxではバージョン7.2、7.3、9.0、ワークステーションで3.0、もうすぐ8.0もサポートする予定ですが、それだけのバージョンのLinuxをベンダーでサポートする、それもインストーラーCDを作ってお届けするのはプロクオリティという戦略に基づいて高い品質のシステムを提供することです。あるベンダーさんは、最新のバージョンをワークステーションにつけて販売していますが、これはあまり売れないだろうなと思いますね。最新のバージョンではなく、お客さんが何を使いたいかということを見ていないとダメです。一見値段が安くて最新のバーションが入っているのでいいように見えますが、それがメリットかどうかは疑問です。
[編集部] ライバルは?
[井上氏] ハイエンドの64bitマーケットはサンマイクロシステムズとIBMしかいない。ただ、サンは新しい分野には進出してないですし、IBMさんは自動車分野にフォーカスしています。今、我々が力を入れようとしているのはItaniumの市場で、この分野が面白くなると思います。
[編集部] アジアや中国の動きはどうでしょうか?
[ウッド氏] 大分伸びていますね。非常に伸びているのは中国。製造業が伸びています。またインドも注目の分野です。インドに関しては別の原因があって、これまでソフト産業が下支えしてたんですが、設計を行なうデザインセンターがこぞってインドに移っています。


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