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仕事に使えるグラフィックス入門

仕事に使えるグラフィックス入門

2003年03月01日 15時35分更新

文● 薮田 織也

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Tips3 写真や文字をレイアウトする

Photoshopで写真を用意して
Illustratorで文字を配置する

切り抜きツール パッチツール
画面8 Photoshopでジャケット表1に使う写真を編集する。切り抜きツールのオプションで、幅、高さに表1のサイズよりも2~4mm多めのサイズを入力して写真を切り抜く。画面9 写真に余計なものが映っているときは、スタンプツール、または修復ブラシツールかパッチツールを使って削除する。ここではパッチツールを使って修正した。

 ジャケットとくればジャケ写(ジャケット写真)。CDショップでよく目にするのは色鮮やかな写真ばかりだが、真面目な小生が作るとどうも地味なジャケ写になってしまう。マーケティング的には派手な方がいいのだろうが、画面8の写真は楽曲のイメージをよく表しているし、派手「写」が並ぶ店頭で、唯一の地味「写」はかえって目立つと思ったのだ。しかし、実際に店頭で見ると地味……。

 閑話休題。さて、ジャケ写を編集するなら当然Photoshopの出番だ。最新のPhotoshop 7.0はレタッチ機能も充実して、画面9のように余計なものを消すこともいとも簡単にできてしまう。次に、編集した写真をIllustratorに読み込んで文字を入力する。Photoshopでも文字を扱えるが、業務用印刷をする場合は必ずIllustratorで文字を編集しよう。その方が小さな文字でもきれいに印刷されるのだ。

文字を載せる準備
画面10 同様に表4の写真も用意して、表1の写真とつなげる。Illustratorで文字を乗せる部分に半透明の黒を用意した。最終的な仕上がり寸法が画面3の矩形よりも四辺で2mmずつ大きくなるようにしている。
Illustratorで読み込む 文字の配置 白抜き文字
画面11 Photoshopで作った写真をIllustratorでリンクさせて読み込む。写真のサイズの方が四辺で2mmずつ大きいので、断裁の目安よりも外側に配置する。このとき、折の部分と写真のつなぎ目が一致するか確かめる。画面12 Illustratorで文字を入力して配置していく。背部などに入れる文字は、一旦横書きで入力してから「選択ツール」で「Shift」キーを押しながら90度回転させる。文字は最終的に「文字」→「アウトラインを作成」でアウトライン化しておくこと。画面13 キャップも同様にしてPhotoshopで用意した写真をリンクさせ、Illustratorで文字を入力する。例のような白抜きの文字の場合は、少し太めのフォントを使うとよい。背部に入れる文字は、折目に注意してはみ出さないようにする。

Tips4 レーベル面のデザインをする

レーベル面はイラストと
文字で仕上げるのがコツ

レーベル面の色を指定 DICカラーで指定 同心円を描く
画面14 CDレーベル面の色を指定するために、「ウィンドウ」→「スウォッチライブラリ」→「DICcolor」を選択して、スウォッチライブラリのパレットを表示させる。画面15 DICカラーで塗りたいオブジェクトを選択して、任意のカラーをクリックすると、その色でオブジェクトが塗られる。頻繁に使う場合は、「スウォッチ」パレットにドラッグ&ドロップして登録しておくと便利だ。画面16 CDレーベルの輪郭に沿って文字を配置するには、外周よりも小さな同心円を描いておき、これに「パス上文字ツール」を使って文字を入力する。

 ジャケットと違い、CDのレーベル面はデザイン上の制限が多い。印刷範囲はドーナツ状であり、またほとんどの業者で使える色が限定されている。フルカラーの写真は、まず使えないと思っておいた方がいい。通常、レーベル面はシルク印刷という技術を使って印刷し、色はDICカラーで指定することになる。使えるDICカラーの種類は業者によっても異なるので、あらかじめ問い合わせておこう。またシルク印刷の場合、色数は最大で3色までで、使う色の分だけ版を作らなければならない。つまり、青と白の2色を使うならそれぞれの色で版を作り、重ねたときに仕上がりのイメージになるようにする。複数の版を作ればそれだけ料金もかかってしまうし、どうせフルカラーができないのであれば、シンプルにモノトーンのイラストで作ってカッコ良いレーベルにした方がいい。ということで、小生もDIC455一色で作ってみた(画面15)。

 画面18だと紫と白の2色に見えるが、白はすべてヌキ指定してある。つまり、実際の印刷ではCD面が抜けて見えるのである。こうすることで複数色使うよりも高級感が出るのだ。

 文字については、ポストスクリプト以外のフォントを使っているのなら、業者に渡す際には、必ずアウトライン化してからデータを保存して渡すようにしよう。

輪郭に沿わせる ヌキ色指定
画面17 同心円を「パス上文字ツール」でクリックすると円に沿って文字が入力できる。はじめは外周に向かって文字が並ぶが、「ダイレクト選択ツール」で文字の先頭の縦棒をドラッグすると、逆転や移動が可能になる。画面18 その他の文字やイラストを配置する。1色だけ使用して、文字やイラストの線をヌキに指定する場合は、「カラー」パレットの「濃度ランプ」の白を指定しておき、欄外に「1色、白はヌキ」などと明記しておく。
「ごめんね」
画面19 出来上がった制作物。実物が見たい方は、CDショップで是非買って下さい! 中身の音楽もいいから是非聴いて下さい! http://www.a2shi.tv/で試聴もできます。収録曲の「ごめんね」を聴くときっと泣きますよ!

次回予告

 今回は急遽、CDジャケットのデザインについて紹介した。さて、いよいよ最終回の次回は、前回(第4回)の予告のとおりWebデザインについて紹介したいと思う。

仕事に役立つグラフィックス用語

─その2─
■ レタッチ機能
写真を修整、補正する作業をレタッチという。Photoshopには、高度なレタッチを簡単に行える機能が搭載されている。その一つとして、バージョン10から搭載された修復ブラシツールやパッチツールがある。
■ アウトライン化
Illustratorで、文字や線の輪郭をパスオブジェクトに変換する作業をアウトライン化という。印刷業者に印刷を依頼する場合、意図したデザインで仕上げるためには、フォントをアウトライン化しておく必要がある。
■ ロゴマーク
ロゴタイプ(Logotype)の略をロゴといい、会社や商品などの文字をデザインしたもの。
■ シルク印刷
絹のような版からインクを搾り出し転写して印刷する方式。金属や陶器、樹脂など、紙以外のものに印刷できる。
■ DICカラー
DICは大日本インキ化学工業株式会社の略称で、DICカラーは同社が作成したオフセット印刷物の色の標準化のために定めた規格。
■ ヌキ
印刷で、インクを塗らないで地の色をそのまま出す方法。
■ ポストスクリプト
アドビシステムズが開発した、文字や画像を美しく正確に印刷するためのページ記述言語。デザインやDTPの分野では、標準的に使われている。

記事制作協力

宮澤篤司氏 http://www.a2shi.tv/

SantaCroche http://www.santacroche.co.jp/
Adobe Illustrator 10 日本語版の主なスペック
製品名 Adobe Illustrator 10 日本語版
OS Windows 98/Me/2000/XP
CPU PentiumII以上
メモリ 128MB以上
HDD 180MB以上

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