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Linux Conference 2002レポート

2002年09月27日 06時17分更新

文● 編集部

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組み込み関連は、Linuxザウルスや式神に関するBOFが行なわれ、さまざまな成果物が紹介された。

Linuxザウルス

Linux ザウルス BOFでは、(株)アックス 代表取締役社長の竹岡尚三氏の司会で、シャープ(株)通信システム事業本部モバイルシステム事業部の白石奈緒樹氏がLinuxザウルス開発の経緯などを紹介したほか、参加者も自らの成果物についてデモを交えながら紹介していた。

Linux ザウルス BOFのもよう
Linux ザウルス BOFで語る竹岡氏(左)と白石氏(右奥)。これまでのZaurusシリーズを作ってきた2人だが、今後はどうなるのだろう。

白石氏によると、Linuxザウルスの開発は、米国向けのアプリケーション開発が得意なWindows CEマシンを作っていたチームが中心になって行なわれたそうだ。実際に白石氏が開発機を手にして感じたのは、それまでのザウルスシリーズと比較して動作が遅いということだったといい、メモリの使用量が非常に多い点など、改善の余地はまだあるとのことだった。次期バージョンのリリース時期については「いつもボーナス時期に合わせて製品を投入していますので、今回もそのころになるでしょう」とのこと。動作速度や安定性の向上が期待できそうだ。

会場にはLinuxのSHプロセッサへの移植などを行なったg新部氏や、組み込み向け分散開発システム『DODES』開発者の小島氏、『IMKit-Anthy』の作者であるやまけん氏、「Zaurus-ja」プロジェクトの野首氏なども参加しており、それぞれ手持ちのザウルスなどを用いたデモを披露していた。

“gUSA”のデモ
g新部氏が開発した、ユーザ空間での排他制御を可能にする“gUSA”のデモ。プロセッサにメモリロック機構がなくても動作するといい、処理速度の向上が見られた。

デモを行なった参加者の多くは、米国版のザウルスを利用しており、参加者からもキーボード付きモデルがほしいという意見もあった。次期バージョンではこうした声も反映されるかもしれない。

Debian JPブースの展示より
Debian JPブースで展示されていた、M32R評価ボードとザウルス。M32R評価ボード上で動作しているLinuxシステムにネットワーク経由でザウルスから接続していた。
式神版ザウルス。米国版ザウルス上で式神 2.0が動作していた。布目による手書き入力だけでなく、キーボード入力も可能だ。

式神の集い

式神の集いでは、7月に公開された『式神 2.0』の紹介やデモ、新たに開発されたUIA(User Interface Agent)モジュールの紹介などが行なわれた。

アプライアンスプロフィール
.org Villageに展示されていた『式神 2.0』のアプライアンスプロフィールの製品イメージ。タッチパネル上の仮想キーボードを利用した入力や、機器制御用フェーダなどを表示している。

式神開発当初から計画のあった、UIAのイメージがいよいよ披露された。スケジューラへの入力を感知すると、入力された内容に応じたレスポンスを返し、ユーザーとの対話のなかで必要であればほかのアプリケーションを呼び出すこともできるというものだ。UIAのフロントエンド自体はGNOMEのアプレットとして実装されており、必要ないときはタスクバーに格納しておくことができる。また、時には関係ないことをいうことで、エンターテイメント性を与えている。

UIAさん。
『iPAQ』画面の右隅にいるのがUIA。スケジューラに書き込んだ予定から相手の名前を抜き出し、「~ってだれ?」などと聞いてくる。ユーザーがそれに答えていけば、AIが記憶し適切な処理を行なうようになる。
UIAとAIの構成
UIAとAI部分の構成。AIエンジンはPIMから情報を受け取るほか、ユーザーの行動で構築されるユーザーモデル部分と情報をやりとりする。

『式神』の今後については、2003年頃に式神をファクスやホワイトボードへの投影システムと連動させたシステムを、2004年頃に携帯電話へ搭載するというロードマップが示されている。

式神ロードマップ
式神シリーズのロードマップ。2003年には、ホワイトボードに投影した画面を手で操作するようなシステムを開発したいという。

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