8月8日、『SL-A300』が発売された。ザウルスショットやザウルスドライブといった新機能はすでにさまざまなところで報じられており、多くの方がご存じだろう。この記事では、パッケージ管理やディレクトリ構成、ファイルシステムなどについての情報を中心にレポートしよう。
アプリケーションのインストール
PC本体側にインストールするのは、
- ザウルスショット
- Intellisync for Zaurus
- USBドライバ
- NDIS5ネットワークアダプタ
だ。これらをインストールし、『SL-A300』とPCを接続すると、『SL-A300』のユーザーディレクトリやSDカード上のディレクトリをPC上から確認することが可能になる。インストール直後、IPアドレスの設定が完了するまでは、PCと『SL-A300』の通信速度が非常に遅かったのが気になった。
『SL-A300』用アプリケーションを、『SL-A300』にインストールするには、PCからファイルを『SL-A300』の特定フォルダ(「Application」)にコピー後、『SL-A300』のインストールメニューを使ってインストールする。『SL-A300』用プログラムは、組み込みLinuxディストリビューション『familiar』などでも用いられているipkgというパッケージ管理方式で管理されている。『SL-A300』ではipkgのGUIフロントエンドが用意され、PCからダウンロードしたパッケージを選択し、インストール先を指定するだけで容易にインストールすることが可能になっている。また、ターミナルをインストールすれば、コマンドラインからインストールすることも可能になる。
ipkファイルは、2重に圧縮されたtarアーカイブで、一度展開すると、data.tar.gz、control.tar.gz、debian-binaryの3つのファイルができる。実際のデータはdata.tar.gz以下に含まれており、control.tar.gzは、パッケージ名やサイズ、依存関係などが書かれたメタデータのcontrolファイル、そしてスクリプトなどが含まれる。debian-binaryは「2.0」と書かれているだけのファイルだ。
『SL-A300』に標準でバンドルされるipkパッケージは以下のようなものになる。
- Java実行環境Jeode
- Jeodeサンプルプログラム
- Hancom Mobile Word 1.0
- Hancom Mobile Sheet 1.0
- 7桁郵便番号辞書
実際にアプリケーションを利用してみたが、時計、世界時計、『Hancom Mobile Word 1.0』、『Hancom Mobile Sheet 1.0』などは、起動時にはタスクバー上に砂時計のアイコンが表示され、2~3秒程度待たなければならなかった。
起動の遅さが気になった世界時計。アドレス帳やカレンダー、メモ帳などのよく使うアプリケーションは、あとで述べるようにバックエンドで起動しているようで、起動の遅さが気になるようなことはなかった。 |
Hancom Mobile Word 1.0
『SL-A300』にバンドルされている『Hancom Mobile Word 1.0』は、海外版の『Hancom Linux Office 2.0』に含まれる『Hancom Word』をベースとしており、Qtベースで開発されたもの。そのため、日本で販売されている、『Hancom Linux Office 2.0J』に含まれるWineベースの『Hancom Word 5.5』と異なり、Word文書との互換性などは高いように感じられた。
『Hancom Mobile Word 1.0』が表示、編集できるファイル形式は以下のとおり。
- Hancom Mobile Word 1.0形式
- Microsoft Word 97/98/2000/2002形式
- テキスト形式
試しに、『Microsoft Word 2002』で作成した文書を『Hancom Mobile Word 1.0』で表示してみた。ボールドやイタリック、アンダーライン、文字色の変更などといった基本的な書式だけでなく、クリップアートなども問題なく表示することができた。
Hancom Mobile Word 1.0でWord文書を表示してみた。文字色の変更やクリップアートなども問題なく表示されている。 |
また、そのWord文書に『Hancom Mobile Office 1.0』で文字を書き加えるなどの編集を行ない、改めて『Microsoft Word 2002』で表示してみたが、書式情報などが破壊されることはなかった。
『Hancom Mobile Office 1.0』で編集したWordファイル。特に問題なく開くことができた。 |
なお、ハンコムリナックス(株)によると、次期『Hancom Linux Office』に搭載される『Hancom Word』はQtベースのものになる予定だという。PC版の製品にも、モバイル版と同程度の互換性を期待したい。