シャープ(株)は24日、同社のPDA“ザウルスシリーズ”の新製品として、OSにEmbedix Linuxを採用した『SL-A300』を7月12日より発売すると発表した。価格はオープンプライスで、予想実売価格は4万9000円程度。従来のキーボード付きザウルス“MI-Eシリーズ”から外観を一新して薄型・軽量化を図った本体には、キーボードやCFスロットを搭載せず、パソコンのデータを気軽に持ち出してどこででも閲覧、編集できる“胸ポケットに入るコンテンツビューア”という新しいコンセプトのPDAとなっている。
新コンセプトザウルス、シャープ『SL-A300』 |
“世界ザウルス”を目指して
SL-A300はさまざまな意味で従来とはまったく異質の製品だ。何より印象的なのは、OSにオープンソースのLinuxを採用し、“ハードウェア、ソフトウェア両面から仕様を公開していく”ということ。開発キットも基本的に無料で配布し、「世界のザウルスにする」(商品企画部 部長 藤原齋光氏)、という壮大な目標が掲げられている。
『SL-A300』のコンセプトであるオープン化と、目玉の新機能であるザウルスショットを説明する商品企画部 部長 藤原齋光氏。右下がザウルスショットを実演しているところで、パソコン上で表示した地図をザウルスにキャプチャーして取り込んだところ。画像は拡大/標準/縮小の3段階で表示できる |
パソコンのPIMソフト『Outlook』『PalmDesktop』とのデータ連携ソフト『Intellisync for Zaurus』も付属しており、これをパソコンにインストールすることで“予定表”“連絡先”“仕事”“送信トレイ”“受信トレイ”(Outlookの場合)を、それぞれSL-A300の“カレンダー”“アドレス帳”“ToDo”“未送信メール”“メール受信箱”の内容と同期できる。
SL-A300本体には、上記のPIMソフトのほか、画像ビューワーと手書きメモになる『イメージノート』、テキストエディター『メモ帳』、『メール』、時計&世界時計、電卓、サウンド設定などの各種ユーティリティーが内蔵されている。また、付属CD-ROMには、Word/Excel互換オフィスソフトの『HancomMobileWord』『同MobileSheet』(マクロ機能や一部関数は省略)、Java実効環境『Jeode』とサンプルJavaソフト2本、7桁郵便番号辞書が収録されている。ウェブブラウザーは標準搭載されず、本体背面に装着することでCFカードスロット(TypeII)とリチウムイオンバッテリー(セカンドバッテリー)を増設し、PHSデータ通信カードや無線LANカードを利用可能にする、オプションの『コミュニケーションアダプター <CE-JC1>』(価格未定、7月下旬発売予定)に『NetFront 3.0』(容量は約1MB)が付属する。オプションにはこのほか、パソコンとUSBケーブルで接続し、同時に本体の充電も可能な『クレードル <CE-ST8>』(同時発売、5000円)が用意されている。
SL-A300のスペックは、CPUにIntel XScale(PXA210-200MHz)を採用、メモリーはSDRAM 64MBでユーザーエリアは約23MB。液晶画面は240×320ドット/6万色表示の3.5インチ反射型TFT液晶パネル(フロントライト付き)を搭載。SDカードスロット、シリアルのI/Oポート(底面)、ステレオヘッドフォン端子(φ2.5mm)、コミュニケーションアダプター端子(背面)、赤外線通信端子(IrDA方式、最大115kbps)、モノラルスピーカーを内蔵する。本体サイズは69.4(W)×113(D)×12.5(H)mm、重量は120g(液晶カバー取り付け時は138g)。バッテリー駆動時間は、フロントライト消灯時に連続約12時間、フロントライト点灯(最大輝度)で連続約4時間。
ザウルスショット、Intellisync for Zaurusの動作環境は、対応OSがWindows 98/98 SE/Me/2000/XP、CPUがPentium-200MHz以上(300MHz以上を推奨)、HDDの空き容量40MB以上、となっている。
ザウルスショットと並ぶ注目の機能、“ザウルスドライブ”“リンクカレンダー”の解説およびデモ。SL-A300の本体メモリー、および外部メモリー(SDカード、CF)をパソコンのネットワーク・ストレージとして認識でき、直接ファイルの書き込みや削除、編集が可能 |
続いて、発表会場での質疑応答および開発者への取材の中から、特に従来モデルのユーザーが気になる内容をまとめて紹介しよう。