このページの本文へ

ワンランク上のSXGA液晶選び

ワンランク上のSXGA液晶選び

2002年08月10日 00時00分更新

文● 伊藤 哲

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

チェックポイント その1
輝度、視野角、応答速度

 液晶モニタを選ぶ際に着目する、最も基本的なポイントとしてこの3つを挙げる人は多い。にもかかわらず、各項目の数値の良しあしが、実際の使用時にどのように影響するかを正確に理解している人は少ない。「スペックが高いほど優れている」と考えるのは、ある意味で間違いではない。ただ、個々のスペック項目の意味と効果を熟知していれば、予算に応じた的確な選択が可能になるのも事実だ。
 3つの中で特に大切なのが、上下左右方向の実用視野域を示す「視野角」だ。視野角は、画面に正対せず、上下左右方向から画面を見る際のスペックだと思われがちだが、本当に重要なのはこの点ではない。むしろ、視野角が狭いと、正面から画面を見ている時点でも、中央付近と四隅との色味が異なってしまうことこそが問題なのだ(コラム1参照)。パネルサイズが大きいほど、この傾向は顕著になるので、17インチクラスを選択する際には特に重視したい。

 画面の明るさを示す「輝度」は、PCでDVD-Video再生を楽しむなどの、TV的な用途で液晶モニタを使う際に重要な項目だ。輝度を上げると、画面のコントラストが高まって表現にメリハリが付き、ブラウン管に近い視聴感が得られる。もっとも、Webブラウジングや文書作成など、一般的な用途では最高輝度はほとんど使わないことも知っておこう。画面を凝視し続ける場合は、輝度が高いと白が眩しくなり、かえって目が疲れやすくなる。こうした用途では、実際には最高より数段落とした輝度を常用する場合がほとんどだ。

 動画や3Dゲームを楽しむ機会の多いユーザーにとっては、動画再生時の残像現象も気になるところだ。最近の液晶パネルではそれほど顕著ではないものの、画面が大きくパンするシーンや、動きの激しいCGなどでは、人によっては目に付くことがある。そこで「応答速度」の項目を見る訳だが、この項目は目安程度と考えておいたほうがいい。例えば、輝度レベルが1/2になる時間が同じ(すなわち応答速度の数値が同じ)だったとしても、見比べると1/2以下のレベルの残像が目に見えて長く尾を引くケースもある。
 つまり、仕様上の定義と、視覚的な印象を左右するレベルとが一致していないのだ。このため、モニタAが25ms、モニタBも25msで数値上の応答速度は共通なのに、残像感がA=Bにはならないという矛盾が生じる。同じ理由で、35msのパネルと25msのパネルの差異も、数値での印象ほどには明確ではない。もし、応答速度を重視するなら、店頭の実機で確認するといいだろう。

チェックポイント その2
sRGBへの対応

 「sRGBへの対応」は、同クラスの中でも比較的高めの機種にうたわれていることが多い。
 sRGBとは、色再現性能の基準の1つで、色再現範囲、色温度、ガンマなどの各要素に共通の基準を規定して、色再現性の標準化を図る目的で作られた(コラム2)。sRGB対応製品は、製品間で相互に色再現性が保証される。したがって、画像の信頼性、同一性が重要なDTP、印刷といったグラフィクス関連の用途にはなくてはならないスペックといえる。

 とはいえ、画像の品質を問わない家庭ユースや一般のビジネスユースには、sRGB対応はさほど重要ではない。このスペックに対応しない製品をあえて選択するのも、導入コストを抑える有効な選択だ。もちろん、sRGBで規準化されていたほうが、より“正しい画像”を見ていると言う意味で価値はある。ただ、一般的なアプリケーションにおける画質は、ユーザーの好みの差が大きい。例えば、テキスト中心の用途では、画面の輝度を落とし、背景の白をおとなしくした“長時間見つめても目が疲れにくい画質”が好まれやすい。正確な色再現性という条件だけを誰もが望んでいる訳ではないので、闇雲に「sRGB対応機」にこだわる必要はない。

コラム2
sRGBって何?

 sRGBの基準は、おおよそ一般のCRTモニタの標準値のレベルが選ばれている。一例を挙げると、基準白色を色温度6500K、ガンマ値は2.2、モニタの白の観察条件(輝度)は80cd/m2といったものが定義として盛り込まれている。また、色の表現範囲が明確に定義されており、色再現域が狭いモニタはsRGB対応をうたえない。  「CRTの標準値」をsRGBとして改めて定義した背景には、現実のモニタが、製品間や設定条件、経年変化などで、色再現性能に大きなバラつきがあることが挙げられる。

 業務における画像のレタッチは、その画像が“標準的な”環境で作成されていることが大前提だ。表示色に偏りがあるような、特殊な再現性のモニタで作成したのでは、例えばデザイナーから印刷会社にデータを渡した(ほかの環境で表示させた)際に、画像品質(色)が意図したものと違ってきてしまう。これでは画像の受け渡しに不都合極まりないので、一定の基準によって標準化されたモニタが必要になるわけだ。もちろん同じ理由で、Webの場合でもコンテンツの作成側はsRGBで標準化するのが望ましい。

コラム3
3種類のインターフェイス

端子の種別
写真A アナログRGB(D-sub15ピン)とDVI-I(アナログ/デジタル両対応)、DVI-D(デジタル専用)の端子形状の違い。

3種類のインターフェイス
D-subDVI-IDVI-D
アナログ×
デジタル×

 左から、D-sub15ピンのアナログRGB、DVI-I、DVI-D。DVI-IとDVI-Dは、左端にある「-」型の端子形状で区別できる。「-」型端子の上下に2つずつ小さな端子が並ぶのがDVI-Iだ。デジタル、アナログの対応を間違えないよう、対応関係を上ので確認しておこう。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン