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ワンランク上のSXGA液晶選び

ワンランク上のSXGA液晶選び

2002年08月10日 00時00分更新

文● 伊藤 哲

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ワンランク上のSXGA液晶選び

XGAクラスとSXGAクラスの
価格差は意外に少ない

 普及価格帯の液晶モニタは、XGA(1024×768ドット)表示とSXGA(1280×1024ドット)表示の2クラスに大別できる。どの解像度を選択するかで悩む人も多いだろうが、今回は長い間使えるスペックを持った製品として、16インチと17インチのSXGAクラスの液晶モニタ11機種をピックアップした。

 SXGAのメリットは、言うまでもなく画面が広いことだ。表示可能な情報量は、解像度で比較してXGAの約1.7倍。XGAでは画面の狭さを感じることが多いExcelや、ツールパレットで画面が埋め尽くされがちなフォトレタッチソフトの使用時などに、高解像度はとりわけメリットが大きい。
 SXGAクラスは高いのでは? と考える読者は、下に示したサイズ別の価格帯チャートを見てほしい。を見れば一目瞭然なように、一般的な15インチXGA液晶の価格帯とSXGA液晶のエントリークラスである16インチSXGA液晶の最安値の差額は、およそ1万円程度でしかない。手を伸ばせば充分届く範囲なのだ。ユーザーにとってPCとの数少ない接点であるモニタは、毎日見て、しかも2年や3年といった長いスパンで使用する周辺機器だ。だからこそ、数万円を惜しんで、後々に後悔するということは避けたいものだ。

 さて、本特集は2部構成とし、前半部分(本記事)では見過ごしがちな購入時のチェックポイントを挙げ、次週掲載予定の後半部分では全11製品のレビューを行っている(誌面掲載時のアスキー PC Explorer 7月号では、レビューに加えてプロ用計測器による性能チェックも行なっている)。失敗しない製品選びに役立てていただければ幸いだ。

液晶価格チャート
図 売れ筋液晶モニタにおけるサイズ別の価格帯チャート

15インチの買い得感は
2001年ほどではない

 上のは、主要メーカー各社の主な液晶モニタ製品の価格を、画面サイズ別に分布図として表したものだ。15インチクラスは製品数が非常に多いため、1/2程度に間引いて掲載しているが、価格の上限下限の分布は、ほぼ図のとおりと考えて差し支えない。

 15インチXGAクラスは、5万5000円以下のエントリーモデルと、6万円以上のハイエンドモデルに価格帯が分かれている。4万円台の低価格モデルも存在するが、安価な製品が次々に登場した2001年半ばに比べると、パネル単価の上昇に伴い、製品数は激減している。
 この状況は、メーカーの販売戦略にも関係がある。4万円台となると、コストを切り詰めるためにコントロール基板も実装済みでスタンドを後付けするだけの「スマートパネル」を使わなければならず、メーカーの独自性も発揮しにくくなる。差別化を図る意味でも、価格競争からは脱したいのだ。

幅広い選択肢を持つ
SXGAクラスが「買い」だ

 16インチ、17インチのSXGAクラスは、2001年半ばからの価格推移を見ると15インチに比べて値上がりは緩やかだ。価格帯にかなりの幅があることがこのクラスの特徴で、16インチで6~8万円、17インチは7~9万円と、ユーザーの予算、用途に応じた選択肢が豊富に用意されている。
 上図で「バリューゾーン」として示したのは、15インチXGAクラスに対して付加価値があるという意味合いだ。

 画面サイズを選ぶ際には、価格画面のドットピッチがポイントになる。16インチは、価格面で有利だが、ドットピッチがやや細かい。目が疲れやすい人は、17インチを選択するほうがいいだろう。17インチはこの逆である。
 とはいえ、ディナーのように17インチながら高級16インチ並みの6万9800円で購入できるモデルも存在する。本特集のレビューを参考に店頭で画質を見た上で、購入を検討してみてもいいだろう。

コラム1
色ムラ、輝度ムラはなぜ起こる?

色ムラ解説
図A 色ムラや輝度ムラの例(極端に輝度が変わった場合を示したもの)
 液晶の「ムラ」は全画面で白を表示した場合に特に感じやすい。液晶の一部分に陰りを感じたり、黄色い味の強い部分を感じたりといったことから輝度ムラ、色ムラの存在を確認できる。

 現時点における輝度ムラ、色ムラの最大の原因は、視野角の狭さによるもので、観察者に相対した表示面との角度が、画面周囲と中心部とで異なってしまうことから生じる(図A)。特に一般的なTN方式(別ページの技術解説を参照)の液晶では、上下視野角が狭く、画面の上と下が暗く感じられる場合が多い。色合いも、上に黄色の強い部分、下に青みの強い部分というような不均一さを感じてしまう。視野角の狭い液晶だと、色ごとの放射指向性が異なるために起きる現象だ。
 2番目の要因は、バックライト機構の不出来によるもので、蛍光管からの光を均等に拡散しきれない場合に、暗い領域がムラとして認識されてしまうため。ただし、最近はバックライト機構の質が上がったため、明確な陰りがあるモニタは減っている。ほとんどが視野角に起因するものだ。



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