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『式神 リリース 2.0』が目指すものは?

2002年08月04日 07時00分更新

文● 編集部

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『式神 リリース 2.0』は、GUIが大きく変更されている一方、システム構成は特に変更がないという。GUIはこれまで、GNOMEのものをベースとしており、アイコンなどもGNOMEのものをそのまま利用していた。今回それらを変更したのは、ターゲットが組み込みデバイスであることを開発者にアピールするという目的があったようだ。

『式神 リリース 2.0』の画面『式神 リリース 2.0』。ベースとなっているディストリビューションはfamiliarだ。『式神 1.0』と比べて、画面レイアウトは特に変更されていないが、アイコンが独自のものになり、テーマカラーが落ち着いたものとなっている。

「『式神 1.0』の時は、GNOMEを組み込みデバイスで利用できるということをアピールしていたのですが、今回はGNOMEの組み込み版という位置づけからはシフトして、『式神』の独自性を出してみようと思いました。また、テーマを色々と用意して簡単に変えることができるようにするというのも楽しいかなと思っています」(田中氏)

もう一つの大きな特徴として、PDAだけでなく、携帯電話向け、アプライアンス向けの「プロファイル」が用意されたことが挙げられる。3種類のプロファイルを用意した目的は、ボードにあわせてGUI環境を構築できるということを示すものだそうだ。3通りのプロファイルは、それぞれにターゲットとするデバイスを想定したうえで開発が行なわれているという。

PDAプロファイルは、これまで提供してきたiPAQなどのPDAを対象としたプロファイル。動作するアプリケーションもPIMツールが多い。今回のバージョンでは、新たにfamiliarのパッケージ管理システム『ipkg』のGUIフロントエンドなどが新たに加えられている。しかしPDAは、日本国内ではマーケット自体がそれほど大きくなく、PalmやPocketPCなどと競合するため、製品化することは難しいようだ。

アプライアンス・プロファイルでは、FAの制御用パネルや、キオスク端末などのGUIに利用することを想定している。表示する画面サイズが大きいだけでなく、指での操作が中心となるため、アイコンの大きさやポインティングの精度変更などが行なわれている。現在までのところ、この分野での利用もまだ少ないというが、センサーや機器との接続がネットワークベースになってくれば、Linuxで機器制御を行なうことが予想されるといい、今後採用が増えてゆく可能性のある分野だ。

モバイルフォン・プロファイルは、次世代の携帯電話をターゲットにしたもの。音声通話だけでなく、データ通信や各種アプリケーションを利用することを想定しており、先頃発売された『FOMA SH2101』やVisorフォンのようなイメージになるようだ。大画面を想定し、基本的にはタッチパネルによる操作が前提になる。また、アドレス帳から直接ダイアルするといったアプリケーションについても検討しているといい、PDAと携帯電話を組み合わせたような製品をターゲットとして想定しているようだ。

日本語入力『布目』による日本語入力。現在のところ単漢字変換しかできないが、「Palmの日本語入力支援ソフト『POBox』のようなものを用意できれば、もっと便利になるでしょうね」(坂下氏)とのこと。
スケジュールスケジュール帳。現在のバージョンでは特に目立った機能はないが、当初から計画されているAI機能が実装されれば、さらに使い勝手の良いものになるだろう。
パッケージ管理ツール新たに搭載された、familiarのパッケージ管理ツール『ipkg』のGUIフロントエンド。
モバイルフォン・プロファイル今回デモを見ることができたのはiPAQ上で動作するものだけであったが、iPAQ上でモバイルフォン・プロファイルの操作感を体験できるサンプルプログラムが動作していた。ごらんのように、親指で画面のアイコンをタップすることができるよう、ポインティングの精度が変更されている。「このまま本当に電話できたら面白いですよね」と坂下氏。

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