GeForce3によってPC用ビデオチップ業界で独走態勢に入ったかに見えたNvidiaだが、ライバルATIが「RADEON 8500/7500」によって巻き返しを図り、一部ベンチマークテスト等ではGeForce3を上回る結果を出した。それに対抗すべくNvidiaは2001年10月に高クロック版「GeForce3 Ti 500」を投入、さらに矢継ぎ早に今回の「GeForce4シリーズ」を発表し、台湾マザーボードメーカーを中心に採用ビデオカードが増えつつあるATI RADEON勢を一気に引き離しにかかった。
GeForce4 TiはGeForce3の
マイナーバージョンアップ
GeForce4には、ハイスペックモデルの「GeForce4 Tiシリーズ」とコストパフォーマンスを重視した「GeForce4 MXシリーズ」の2ラインナップがある(表参照、このほかに、Mobile用途の「GeForce4 GOシリーズ」があるが本稿ではデスクトップ向けの2シリーズに絞って紹介する)。
GeForce4 Tiの開発コードネームは「NV25」、GeForce4 MXは「NV17」。それに対して従来のGeForce3(Ti含む)が「NV20」、GeForce2 MXが「NV11」であることから分かるように、実はGeForce4シリーズは直前のビデオチップからのマイナーバージョンアップである。ただし、マイナーバージョンアップといっても、GeForce3→同 Tiのように単純に動作クロックを上げただけではない。GeForce4 TiについてはGeForce3で取り入れた新技術(メモリアクセスの高速化やピクセルシェーダ/バーテックスシェーダなど)をより機能強化させ、GeForce4 MXではGeForce2 MXからメモリアクセスの高速化を図りながら、コストアップを最小限に抑え、コストパフォーマンスのさらなる向上に努めている。
では、具体的に強化点を見ていこう。
名称 | GeForce4 Ti 4600 | GeForce4 Ti 4400 | GeForce3 Ti 500 | GeForce3 |
---|---|---|---|---|
内部アーキテクチャ | 256bit | 256bit | ||
メモリインターフェイス | 128bit(DDR) | 128bit(DDR) | ||
メモリバンド幅 | 10.4GB/秒 | 8.8GB/秒 | 8.0GB/秒 | 7.4GB/秒 |
搭載可能メモリ容量 | 128MB | 128MB | ||
コアクロック | 300MHz | 275MHz | 240MHz | 200MHz |
メモリクロック | 325MHz/650MHz相当 | 275MHz/550MHz相当 | 250MHz/500MHz相当 | 230MHz/460MHz相当 |
内蔵RAMDAC | 350MHz×2 | 350MHz |
名称 | GeForce4 MX 460 | GeForce4 MX 440 | GeForce4 MX 420 | GeForce2 MX-400 |
---|---|---|---|---|
内部アーキテクチャ | 256bit | 256bit | ||
メモリインターフェイス | 128bit(DDR) | 128bit(SDR) | 128bit(SDR)/64bit(DDR) | |
メモリバンド幅 | 8.8GB/秒 | 6.4GB/秒 | 2.7GB/秒 | 2.7GB/秒 |
搭載可能メモリ容量 | 64MB | 64MB | ||
コアクロック | 300MHz | 270MHz | 250MHz | 200MHz |
メモリクロック | 275MHz/550MHz相当 | 200MHz/400MHz相当 | 166MHz | 166MHz/333MHz相当 |
内蔵RAMDAC | 350MHz×2 | 350MHz |
より高速化した
メモリアクセスとは?
図1と図2は、Nvidiaからの公式資料を基に、編集部で独自に予測したGeForce4 Ti/MXのブロック図である。ここでは説明しやすくするために3Dグラフィックス関連に絞っているが、実際にはこのほかに2Dグラフィックス(通常のウィンドウ表示など)やビデオ再生を高速化するための機能も盛り込まれている。
最初に注目すべき点は、メモリアクセスを高速化した「Lightspeed メモリアーキテクチャII」だ。GeForce3に搭載された「Lightspeed メモリアーキテクチャ」の改良版である本機能、その特徴は4つに区分けされたメモリコントローラ&キャッシュにある。ビデオメモリとのバスは128bitで変わりないが、テクスチャデータなど大きなデータは128bitの連続したデータとして読み込み、ピクセルデータを書き込む場合には32bitずつ最大4つのデータを同時に出力する、といった具合に用途に応じてメモリアクセスを最適化できる。例えて言えば、従来は大型バスが1台で行き来していて、1人でも100人でも1クロックで1往復していたのだが、新方式では25人乗りの小型バスが4台用意され、行き先が違ったとしても25人ずつを1クロックで届けられる、というわけだ。ビデオメモリの動作速度が最大650MHz相当(325MHzのDDR)に高められたことを、より有効活用できる手法だ。
ちなみに、GeForce4 MXはコストダウンのためにメモリコントローラが2つしか用意されていないが、RADEON 8500/7500も同様(メモリコントローラは2つ)である。
図1 GeForce4 Ti(NV25)のブロック図(一部編集部の独自予測) | 図2 GeForce4 Ti(NV17)のブロック図(一部編集部の独自予測) |