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高品質印刷への各社の取り組み

高品質印刷への各社の取り組み

2001年11月16日 00時00分更新

文● アスキーPC Explorer編集部・行正 和義

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速度向上の技術

 インクジェットプリンタの進化のもうひとつの流れが印刷速度の高速化だ。インクジェットプリンタは縦方向に並んだノズル(ヘッド)がインクを噴射しつつ、横方向へ移動することで1列を印刷する。ノズルの駆動周波数(一定時間あたりのドロップ噴射回数)やヘッドの移動速度はいずれも高速化しているが、ヘッドが1往復するのにかかる時間だけでなく、一定領域を印刷するのに何往復するかも重要な要素だ。

キヤノンBJ F900の印刷ヘッド
キヤノンBJ F900の印刷ヘッド。6色ぶんの6列のノズルパターンが見えるが、実際には各色2列ずつ12列の並びとなっており、1列600dpi、2列で1200dpiの解像度を1パスで印刷できる。ヘッドの長さは従来機の2倍となった。

 印刷速度を決める大きな要因がノズル数であり、ヘッド上に並ぶノズルの密度が同じであれば、ノズル数が多いヘッドを持つ製品のほうが1回のヘッドの移動によって印刷できる列の幅は広いわけで、高速化に大きく貢献する。

 また、一定の範囲を印刷する際に、何回ヘッドが往復するかというパス数の問題も速度向上のカギを握る。多くのプリンタでは、プリンタヘッドには使用インク数のノズル列が平行に並んでいるが、ほとんどのプリンタがその印刷解像度と同じノズル密度を持っているわけではない。印刷解像度が2400dpiでもノズルは600dpiの密度で並んでいて、紙送りしつつ同じ箇所を4回印刷することで最高解像度での印刷を行う。当然ノズル数が多くてノズル密度が高いヘッドではパス数が少なく、印刷速度は速い。キヤノンの「PIXUS BJ F900」の1色あたり512ノズル(600dpi×2列)という数値は、前モデルにあたる「BJ F870」の2倍で、印刷速度もF870の2倍近く上がっている。



キヤノンBJ S700の印刷ヘッド
キヤノンBJ S700の印刷ヘッド。でS700のカラーインクはC/M/Yの3色だが、右側には6列のカラーノズルが左右対称に並んでおり、インクの載る順番を変えることなく双方向印刷に対応する。ノズル密度は1列600dpiで、右側の3列と左側の3列は1/1200インチずらして配置されているため、1色につき1200dpiの解像度を1パスで印刷できる。

 さらに、インクが紙に載る順番が違うと発色が異なることから、多くのプリンタでは最高画質では単方向印刷となる。単方向印刷では、ヘッドが右から左へ移動するときのみ印刷を行い、反対方向への動きは単にヘッドの復帰動作となる。双方向印刷のほうが高速に印刷できることから、キヤノン「BJC S700/S650」ではノズルを全色2列ずつ対称に配置することで、双方向印刷で最高画質の印刷を行えるようにしている。

 このほか、給紙/排紙/用紙送りローラーを駆動するためのモーターを独自に制御するなど、用紙搬送時間を短縮するためのさまざまな手法も用いられている。



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