電子商取引の発展と振興を目的に、研究活動を行なう非営利団体のEC研究会は10日、“第5回 日本オンラインショッピング大賞(OLS大賞)”の授賞式を開催した。
OLS大賞は、インターネット上で有形/無形のオンラインショッピングのコンテンツを、一般消費者向けに有料/無料で提供する企業/団体に参加を募り、“簡単さ”、“便利さ”、“有益さ”など、生活者の目線とエンドユーザーの視点から、“ベストワン”のECウェブサイト選定するという企画。1997年に始まり、2001年で5回目を数えた。主催はEC研究会、共催としてユナイテッドストラテジー(株)が、後援としてマイクロソフト(株)、(株)フロントライン・ドット・ジェーピー、シンキ(株)らが参加している。2000年の第4回OLS大賞では、(有)パッションのレーザープリンター用・再生トナーの専門販売サイト“エコトナー宅配便”が大賞に選ばれた。
応募総数は、自薦・他薦を含めて2921件と過去最高で、昨年の2123件を約800件上回った。この2921件のサイトのうち、84サイトが第1次予選を通過し、さらに第2次予選を通過した40サイトの中から、今回は奨励賞3サイトを含めた7サイトが受賞した。
今回のOLS大賞は、(株)ニッセンの、衣料品や家具などのダイレクト通販サイト“Nissen On-line”が受賞した。大規模店部門賞は、世界中のサッカーチームのユニフォームが購入できるという、(有)フェアプレイのスポーツグッズ販売サイト“スポーツウェブショッパーズ”。中規模店部門賞は(有)プチ・メリーのファッションランジェリー販売サイト“プチ・メリー”。小規模店部門賞は(株)マルホのオンライン駄菓子販売サイト“キャラメル横町”がそれぞれ受賞した(※1)。
OLS大賞に輝いたニッセンのダイレクト通販サイト“Nissen On-line”トップページ |
また奨励賞として、野崎浩文・智子夫妻が運営する、オリジナル絵本の販売サイト“オリジナル絵本 アンディネット”、(有)オーダーボックス・ドットコムの、オリジナル段ボールの販売サイト“オーダーボックス・ドットコム”、(株)イマジンの、販促品の製造・販売サイト“販促大王”の3サイトが受賞した。
ニッセンの、通販事業部インターネット事業推進部の高芝康二氏 |
大賞を受賞したニッセンの、通販事業部インターネット事業推進部の高芝康二氏は、受賞に際して「ニッセンには現在、インターネットの会員が約53万人、カタログの登録会員が約1500万人いる。もともと顧客ありきで始めたので、インターネットへの移行はしやすく、それが成功にもつながったと考えている。4月から、iモードなどの携帯電話への対応も始めたが、現在インターネット通販を利用するお客様の、約4割が携帯電話からによるもので、携帯電話を使って物を買う人がこんなにいるのかと、少々驚いている。今年度の売り上げは、85億円ぐらいはいけるだろう」と、“Nissen On-line”の現状について語った。
またECサイトとしての心がけについて「我々はコンテンツを作るにあたって、お客様の視点で常に考えている。また、インターネットのコールセンターを独自に設け、朝の9時から夜中の2時まで、質問には3時間以内に返答することをモットーにやっている。通販サイトはほかにもあるが、お客様の視点から見れば、分からないことにすぐ答えてくれるところが、選ばれる要因の一つではないかと思う」と述べた後、最後に今後の目標として「お客様に感動体験を与えたい。“使いやすい”“便利”“簡単”なのは当たり前として、お客様が使って良かったな、すごいなと思えるようなビジネスを、来年度からはやっていきたい。そしてできれば、第6回の大賞も頂きたいと考えている」と語った。
(左から)ニッセンの高芝康二氏、プチ・メリー代表取締役の宮地喜良氏、“販促大王”のイマジン代表取締役の竹内正博氏、オーダーボックス・ドットコム代表取締役の四方祥樹氏、アンディネット運営責任者の野崎浩文氏 |
授賞式には、プチ・メリー代表取締役の宮地喜良氏、アンディネット運営責任者の野崎浩文氏、オーダーボックス・ドットコム代表取締役の四方祥樹氏、“販促大王”のイマジン代表取締役の竹内正博氏が出席した。“スポーツウェブショッパーズ”のフェアプレイと、“キャラメル横町”のマルホの代表者は、都合により欠席した。
ECサイトの売り上げの変化
またEC研究会は、第4回と第5回のOLS大賞に応募があったサイトの売上高のデータを比較して分析を行なっている。それによると、第5回の第1次選考通過サイト(84サイト中の76サイトのデータを使用)の平均月商は約1735万円であり、第4回の第1次選考通過サイト(73サイト中の60サイトのデータを使用)の約540万円と比較して、約3倍に増えているという。また、月商1000万円以上のサイトで、売り上げの増加が顕著に見られるという。詳細なデータは以下の通り。
第5回OLS大賞データ (有効サイト76) |
第4回OLS大賞データ (有効サイト60) |
|
---|---|---|
平均月商 1000万以上 |
14サイト(18.4%)平均 約8503万円 | 7サイト(11.6%)平均 約3214万円 |
平均月商 100万以上 |
37サイト(48.7%)平均 約309万円 | 28サイト(46.6%)平均 約321万円 |
平均月商 100万未満 |
25サイト(32.9%)平均 約55.2万円 | 25サイト(41.6%)平均 約35万円 |
全体 | 76サイト 平均 約1600万円 | 60サイト 平均 約540万円 |
平均単価 | 1万9355円 | 3万3608円 |
これを受けてEC研究会では「オンラインショップの世界にも、儲かっているところと、そうでないところとの二極分化が進んでいる。いわゆる“勝ち組”と“負け組”がはっきりしてきた。また、商品の平均単価が、第4回の約3万円から、約2万円になっていることから、全般的に購入単価が落ちていることが推測される」と見解を述べた。
EC研究会代表の土屋憲太郎氏 |
EC研究会では、これらのデータベースをもとに無料・有料の相談コーナーなどを設け、オンラインショップ運営のさらなる向上をサポートしていく予定であるという。