ノベル(株)は6日、クライアントがウェブウラウザー上でアプリケーションが実行できるサービス“Novell OnDemand Services(ODS) 1.5”の提供を、10月25日に開始すると発表した。同社のライセンスプログラム“NCC(Novell Customer Connection)”でライセンス販売し、価格はオープンプライス。
“Novell OnDemand Services 1.5”のクライアント側の画面 |
ODSは、サーバー上のWindowsアプリケーションや映像・音楽コンテンツを、クライアント側のウェブブラウザー上で実行・閲覧可能にするサービス。主に企業およびサービスプロバイダー向けに提供する。ODSを利用することで、既存のWindows NT/2000の環境で使用しているソフトウェアを、LAN経由あるいはインターネット経由で、ブラウザー上で実行できるという。つまり、既存のアプリケーションを、そのままASP対応にするサービスだ。
また、ODSとユーザー情報を管理する同社のディレクトリー製品『NDS eDirectory』を連携して運用することにより、利用するユーザー、アプリケーションやその他のコンテンツを、管理者は一元的に管理できる。
同日開催した記者発表会で、フィリップ・ウェルチ(Philip K. Welch)代表取締役社長は、「さまざまなユーザー情報を一元管理することが、今後ますます重要になる」とし、NDS eDirectoryの重要性を語った。そして、今後はアプリケーションだけでなく、映像や音楽など、さまざまなコンテンツがビジネスで必要になり、ODSは「これらのニーズに応える、初めてのサービス」になると説明した。
フィリップ・ウェルチ代表取締役社長 |
ODSはWindows Trminal Server(WTS)およびシトリックス・システムズ・ジャパン(株)の『MetaFrame』といった、サーバー側でアプリケーションを実行するソフトウェアの上で動作する。たとえば、Win32アプリケーションを利用する場合、ユーザーはIE 5.0以上あるいはNetscape Communicator 4.5以上のウェブブラウザーに、ODSプラグインをインストールする。ODSのサブシステムである“DeFrame”のクライアントも、プラグインとしてブラウザーにインストールする。
サービスを提供する側は、2群のサーバーを設置する。ODSおよび日本アイ・ビー・エム(株)のアプリケーションサーバー『WebSphere』をインストールしたOnDemandサーバーと、WTSまたはMetaFrame、およびDeFrameサーバーコンポーネントをインストールしたWTSサーバー群になる。OnDemandサーバーおよびそれと連携するNDS eDirectoryによってユーザーを認証・管理し、WTSサーバー群の上でアプリケーションを実行する。
Novell OnDemand Services 1.5の概念図 |
アプリケーション実行の手順は、以下の通り。
- ユーザーがブラウザーからODSにログイン。
- 実行可能なアプリケーションが表示され、選択する。もし、ODSをサービスプロバイダーが商用で利用する場合には、ここで課金する。
- DeFrameプラグインはNDS eDirectoryからユーザー属性を取得し、WTSサーバーとの接続を確保する。
- DeFrameサーバーコンポーネントはセキュリティについての権限をアプリケーションに渡す。
- アプリケーションが起動する。
ユーザーはアクセスする際にNDS eDirectoryの認証を受ける必要があるが、1度ログインすれば、複数のサービスを利用しても再度IDやパスワードを入力する必要はない。また、ODSにはユーザーによるアプリケーション、コンテンツの利用についてのレポート作成、WTSサーバー群の複数のサーバー間での最適な負荷の分散なども行なう。
クライアント側の対応OSはWindows 95/98/Me/NT 4.0(SP4以降)/2000で、IE 4.0以降あるいはNetscape Communicator 4.5以降のウェブブラウザーが必要。また同社の管理コンソールであるConsole One 1.2d以降もインストールする。OnDemandサーバーは、Windows 2000 ServerにIIS(Internet Information Server)、WebSphere Application Server V3.5などを、DeFrame(WTS)サーバーは、Windows 2000 Server(SP1以降)あるいはWindows Terminal Server Edition(SP6以降)にWindows Terminal Serverなどをインストールする必要がある。また、サーバー管理用のパソコンが、別途必要。
同社の高橋正廸マーケティング本部本部長は、今後ASPが浸透すると予想する最大の理由は、「コスト・リソースを削減できることにある」としている。人的・物的なさまざまなリソースを、ASPであれば大幅に節約できると高橋氏は説明した。また、高橋氏は実際には非常にむずかしいとしながらも、Novell OnDemand Services 1.5によって“End to End”のコミュニケーションを実現したいと語った。
高橋正廸マーケティング本部本部長 |
なお、NDS eDirectoryとWindows 2000のディレクトリーサービス“Active Directory”の関係について、高橋氏は「決して競合するものではない」こと、XMLを介してむしろ「共存するものである」ことを強調した。