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サイボウズのネオジャパンに対する製品差止め請求仮処分決定――ネオジャパンは「大変遺憾」

2001年06月18日 15時28分更新

文● 編集部 桑本美鈴

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サイボウズ(株)は、本年1月より、同社のグループウェア『サイボウズ Office』を模倣していると思われる製品を製造/頒布等する(株)ネオジャパンに対し、製品の頒布や使用許諾の差し止めを求める仮処分の申し立てを行なっていたが、13日に東京地方裁判所よりサイボウズの主張をほぼ認める仮処分決定が下った。これに伴い、サイボウズは18日、代理人弁護士と共同で記者会見を都内で実施した。

サイボウズ責任者
左から、サイボウズ最高経営責任者の高須賀宣氏、同最高技術責任者の畑慎也氏、最高執行責任者の青野慶久氏

サイボウズは、本年1月より東京地方裁判所に対し、ネオジャパンのグループウェア『iOffice2000バージョン2.43』および『iOfficeV3』が、サイボウズのグループウェア『サイボウズ Office』を模倣しているとして、製品の頒布や使用許諾の差止めを求める仮処分の申し立てを行なっていたもので、東京地方裁判所は13日、サイボウズの主張をほぼ認め、『iOffice2000バージョン2.43』の頒布や使用許諾の差止めを認める仮処分決定を下した。

主な仮処分決定内容は、1:ネオジャパンは『iOffice2000バージョン2.43』のプログラムをFD、CD-ROM、HDD等の記録媒体に格納し、有線/無線通信装置等によって送信、または送信可能の状態にいてはならない、2:ネオジャパンは『iOffice2000バージョン2.43』のプログラムを格納したFD、CD-ROM、HDD等の記録媒体を頒布してはならない、3:ネオジャパンは『iOffice2000バージョン2.43』のプログラムの使用許諾をしてはならない。

今回の件は、プログラム著作物ではなく、ソフトの出力画面表示の著作物性、すなわち、『サイボウズ Office 2』と、『iOffice2000バージョン2.43』および『iOfficeV3』の画面表示が類似しているということが争点となっていた。画面表示の著作物性を争点とした理由についてサイボウズ側は、『サイボウズ Office 2』がHTMLプログラムであり、ウェブブラウザーでソースコードを閲覧できるため、プログラム著作物権利侵害が起こりにくいこと、プログラム著作物で論ずる以前に画面表示の類似性が明らかだったことを挙げている。エンドユーザーから類似性の指摘も受けていたという。

ネオジャパン側は、ビジネスソフトウェアの画面表示は、表現内容が限定されるため、誰が作成しても似たようなものとなり、創作性がない。よって著作権は発生しないと反論していたが、裁判所は、ある程度の表現の限定があるとしても画面表示に創作性は認められ、著作物と言えるとし、『iOffice2000バージョン2.43』は、『サイボウズ Office 2』の著作権を侵害するものだとの判断を下した。

両ソフト画面比較
『サイボウズ Office 2』の週間グループ画面(左)と、『iOffice2000バージョン2.43』の週間グループ画面(右)

著作権侵害の判断にあたっては、それぞれのソフトの画面表示を対比し、各共通部分や相違部分を抽出、さらに各画面がどのような順序や位置づけをもって配置され、全体としてどう構成されているかについても共通性を抽出した上で、対比検討が行なわれた。

結果、裁判所は、『iOffice2000バージョン2.43』については『サイボウズ Office 2』の複製とまでは言えないまでも外面的な形式を若干改変して翻案されたものであるととし、『iOffice2000バージョン2.43』のHTMLプログラムの中に不自然な一致部分が存在することを併せ考えると『iOffice2000バージョン2.43』が『サイボウズ Office 2』に依拠した事実が認められ、サイボウズの著作権を侵害する行為であると判断を下した。

一方『iOfficeV3』については、裁判所は、各画面表示の牽連性に着目して創作性を論じる限り、何らかの類似性が感じられることはおそらく間違いないが、個性が直感、感得されるとまで言うことには躊躇を感じるとし、申し立てを却下した。サイボウズ側はこの判断を遺憾だとし、『iOfficeV3』については今後も争っていく考えを示している。

『サイボウズ Office 2』は'98年8月発売で、『iOffice2000 Ver.1』(β版)が'98年12月に提供開始された後の'98年年末に問題が持ち上がった。サイボウズ側は当初ネオジャパンに改変を求めて連絡したが、誠実に対応してもらうのは困難と考え、本年1月に申し立てを行なったという。

記者会見で、サイボウズ最高経営責任者の高須賀宣氏は、「今回の申し立ては、単なるフリーライト行為はだめだとうことを認知させることが目的。仮処分決定を喜ばしく思っている。ソフトの画面は開発する上で特に労力を有する部分であり、著作権を認められたのは意味のあること。権利が認められることで画面の重要性が認識され、今後開発者が使いやすいソフトの開発に注力できるだろう。『iOfficeV3』に関しては、『サイボウズ Office 2』だけでなく『同 3』『同 4』からも不正に模倣している部分があると考える。『iOfficeV3』については引き続き追求していく」としている。

ネオジャパン側は、「地裁の見解に疑問を感じる。また、画面構成やボタン配置の共通性を重視し、相違点については印象が薄いといった見解において、同一といえる程度に類似すると判断していることに対しても大変遺憾に思う。使い勝手を追求すれば似通った画面表示となるのは、ビジネスソフトにおいて共通に言えること。行き過ぎの権利保護は健全な市場競争を妨げることになる。過剰な権利保護は、1企業の独占を助長し、ユーザーが製品を選択/購入する機会を奪ってしまうことにつながる」

「『iOffice2000バージョン2.43』は悪質な模倣や無断複製行為によって作成したものではない。このような著作権問題を軽視する訳ではないが、今回の決定に意気消沈することなくソフトウェア開発技術会社としてユーザーの要望に応えていく製品を作り続ける。ユーザーに喜ばれる優れた製品をいち早く提供することが第一の使命」とコメントしている。

なお、『iOffice2000バージョン2.43』のユーザーが今後も継続してソフトを利用できるかという問題については、ネオジャパン側は、『iOffice2000バージョン2.43』を継続的に利用しても法的に問題はないとしているが、追加ユーザーライセンスを購入する場合や、ライセンスの再発行を申請する場合は、『iOfficeV3』にバージョンアップするようユーザーに呼びかけている。また、『iOfficeV3』やバージョン2.43以前のバージョンについても、継続的利用は何ら問題ないとしている。

一方サイボウズ側は、使用許諾をしてはならないという判断が下っている以上、少なくともユーザーに対して使用許諾できないことを通知/通告する義務はあるだろうと述べている。高須賀氏は、「ユーザーに罪はないので、何とか救いたいと考えている段階。ユーザーが困らないような対策を打っていきたい」としている。

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