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自己の選択によって自由を得るということを、常に目指している

【全記録】Linus Torvalds氏インタビュー ― サイン本プレゼント

2001年05月29日 17時38分更新

文● 編集部

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日刊アスキー Linux、Linux magazine、月刊アスキーがLinus Torvalds氏しに合同インタビュー。インタビュアーは6年前に会った生越昌己氏だ。Linus Torvalds氏の素顔をお届けしよう。

Linus Torvalds氏とDavid Diamond氏
Linus Torvalds氏とDavid Diamond氏

[生越氏] 6年前(に来日した頃)と今とはずいぶん違うなあと思うのだけれども、気持ちの中で何か変わったことはあるかな?
[Linus Torvalds氏] 状況はかなり違いますね。6年前はバケーションという気分でした。そのころは、レーザーファイブに行ってCDにサインをしたり。子供もいませんでした。それに10日間ぐらいゆっくりできたけれども、今回は5~6日間しか滞在できない。そのうち3日間はみなさんとお会いしてお話するという仕事で、あとの2日間しか自由時間がないし。朝9時から7時まで拘束されてしまっているのでかなり違いますね。
[生越氏] 昔彼(Torvalds氏)の写真があまりなかった頃に、直接見ていた我々の印象としては、もっとスマートだった。ところが表舞台に出てきたときの彼を見たときに、「太った」って思った。で、何があったんだ? って思ったんだけど、太ったワケってあったのかしら(笑)。
[Linus Torvalds氏] (大笑い)スマートだったということは忘れないでいただきたいのですが、確かに8年前は55キロだったのに、今は80キロになりました。その間に結婚もしました。
[生越氏] だからかしら。
[Linus Torvalds氏] 生活においても、当時のほうが長距離を移動していろいろな所を訪れる機会がありました。年間10回くらい長旅をすることがありました。今はいろいろな人に知られるようになって、頼まれても断ることになりました。前回日本に来たときは、その前にオーストラリア、シンガポールを回ってくるという旅をしていたのですが、もうそういうことはしません。
[生越氏] 生活のようすが変わったというのは私らも知っていて、それにしても太くなったなあ、というのが我々の印象なんだけれども。
[Linus Torvalds氏] (大笑い)Linus is fat!!っていう記事になるのが怖いです。僕も、コンピュータだけの生活だと思われている方も多いみたいなのでちょっと悲しいのですが、もちろんコンピュータ以外にも楽しみがたくさんありますし。食べることも大好きです。
[生越氏] うん。コンピュータが好き、これはみんな知ってる。家族が好き、これもみんなが知ってる。それ以外に今の楽しみは何?
[Linus Torvalds氏] 確かにコンピュータや家族に費やす時間でほとんど取られてしまっているので、ほかに何があるかといったら、時々ビリヤードを楽しむ。それから読書も好きです。あとは水泳もしていますけれども、それはみなさんのような方が「太っている太っている」というから! それを楽しみというのかどうかはわからない(笑)。
[生越氏] ああ、それ(泳ぐ)は仕方なくね!(笑) そうすると、やっぱり今あまり時間がないわけですか?
[Linus Torvalds氏] 時間については、なるべく自分のために確保しようという努力はします。自分の興味のないこと、面白くないことに、絶対に時間を取られないようにするということです。今週Linux Worldが開かれる日本にいるにも関わらず、会議には出たくないので行きません。それよりも観光をしたほうがいいので。なるべく時間を作って、子供と過ごしたり一緒にバケーションしたりといった努力はしていますので、プライベートの時間が持てなくてストレスがたまるということはないです。
[生越氏] 私なんかだったら、たとえばあまり楽しくない所に行っていろんなことをしなければいけないことがあるのですけれども、そういうことを時として要求されると思うんだけど、そういう時はどうしているんでしょ?
[Linus Torvalds氏] まあ、おかげさまでこんなに有名になったことの利点というのは、誰も私に「あなたはこうしなければいけません」といえる立場の人がいないと。自分が「行かない」といったら行かない。もちろんたとえばTransmetaの中では頼まれたら受けなければいけない要請は、ある程度ありますけれども。基本的には自分がこういったツアーを要請された場合でも、自分が行きたい ― なるべく楽しく過ごせるところという場合に行くということで。もちろんLinuxやTransmetaでやっている技術の仕事に関しても、自分の得意なこと、好きなことしかやらないようにしています。自分の得意じゃない部分、好きではない部分はほかの人が補ってくれるということになっていて、実は今自分が置かれている立場は、非常にいいと思います。

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