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システムを活用する

初めてでも大丈夫!今日から使える Linux (第3部)

2001年05月25日 14時13分更新

文● 竹内充彦

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テキストファイルは作成できるようになったが、まだ日本語の入力方法がわからない。ここでは日本語の入力方法を説明しよう。

Linuxで日本語を入力する場合も、Windowsと同様、かな漢字変換プログラムを使う。Linuxで利用できるかな漢字変換プログラムの代表的な ものには、ATOK、VJE、Wnn、Canna、sj3などがある。このうち、ジャストシステムのATOKとバックスのVJEについては、Windows版が有名なので、ご存じの方も多いだろう。基本的にはWindowsで利用されている同名のプログラムをLinuxに移植しているものだ。それに対して、Wnn(「うんぬ」と読む)、Canna(「かんな」)、sj3は、それぞれ、オムロン、日本電気、ソニーの各社が、自社のワークステーションに搭載していたかな漢字変換プログラムで、生っ粋のUNIX育ちといってよい。ATOKやVJE、Wnnの新しいバージョンは市販の製品だが、Wnnのバージョン4、FreeWnn、Canna、sj3はソースがフリーで公開されているため、Linuxを含む、UNIX系OSで幅広く利用されている。

ところで、日本語入力をする際に知っておいてもらいたいことは、かな漢字変換プログラムを利用しても、入力対象となるアプリケーションが日本語に対応していなければ、正しく入力することができないということだ。これは何もLinuxに限った話ではないが、Linuxのアプリケーションは世界中で膨大な数が開発されているため、必ずしも日本語での利用を考慮して開発されているとは限らないのだ。最近でこそ、国際化という観念が開発者の間にも広まっており、日本語の利用を考慮したアプリケーションも増えてきてはいるが、まだまだ、日本語入力に対応しないアプリケーションも多いという点については、あらかじめ承知しておいたほうがいいだろう。

先ほど使ったgEditは日本語入力に対応しているので、ここで解説するCannaの基本的な使い方は、とりあえずgEditで試してみるといいだろう。

●Cannaを使えるようにする

初期設定ではFreeWnnが使われるようになっている。これはログイン時に実行される設定ファイルの記述によるものだ。TurboLinux Workstation 日本語版 6.0の初期設定では、ATOK→Wnn→Cannaの順番に探していき、先に見つかったものが使われる。製品版パッケージでは、ATOK→Wnn6→FreeWnn→Cannaの順になる。ノンサポート版では、FreeWnn→Cannaの順になるのだ。もちろんFreeWnnが先に見つかる。

別にFreeWnnでも困るわけではない。かな漢字変換の効率については、よほど使い込まない限り、FreeWnnもCannaもさして変わらないだろう。さすがにATOKやWnn6のような最新鋭の機能は持ち合わせないので、多少歯がゆい局面があるかもしれない。しかし、それより何より、とりあえず使うには、Cannaはキー操作が簡単なのである。

では、ここで、かな漢字変換プログラムの検索順序を変更しよう。

/etc/X11/xinitにあるxinitrcというファイルを自分のホームディレクトリにコピーしよう(移動しないように注意)。コピーしたら、ファイル名をxinitrcから「.xinitrc」に変更する(頭にピリオドを付ける)。ホームディレクトリにコピーしたxinitrcのアイコンをいったん選択し、さらにファイル名をクリックして、名前を変更すればいい。頭にピリオドが付いたファイル名を持つファイル(通称ドットファイル)は、ふだんは表示されない。ファイルマネージャの[設定]―[設定]で表示されるダイアログボックスの[隠しファイルを見る]オプションを選択すると表示される(意外と隠しファイルが多いことに驚くかもしれない)。

そうしたら、gEditでその.xinitrcを開く。リスト1に示した7行のうち、1の部分4行と2の部分3行を入れ替える。それぞれ「elif」で始まる行から「export」の行までがひとかたまりであることに注意。入れ替えたら保存する。

リスト1 ホームディレクトリの.xinitrc
リスト1 ホームディレクトリの.xinitrc

この.xinitrcはログイン時に読み込まれ実行される。したがって、これを有効にするには、ログインし直すのが手っ取り早い(本当は方法がなくもないが…)。

●Cannaの起動と日本語の入力

まずはCannaを起動しよう(実際には、Cannaの本体はすでにバックグラウンドで起動して待機しており、日本語入力モードに移行するだけ)。Shiftースペースを押す。現在のカーソル位置に[ あ ]と表示されたはずだ(画面18)。

画面18 日本語入力モード([ あ ]と表示される)
画面18 日本語入力モード([ あ ]と表示される)

この表示が日本語入力モードの目印である。この状態でキーを押すと日本語が入力できる。もう一度Shiftースペースを押してみよう。今度は[ あ ]の表示が消えたはずだ。これで、日本語入力モードから抜けたことになる。このようにShiftースペースで日本語入力モードが切り替わるのだ。

では、いよいよ入力してみよう。初期設定ではローマ字かな漢字変換になっている 。日本語入力モードに切り替えて、順にキーをM、E、M、O、R、Iと入力してみる。するとローマ字読みの「めもり」が画面に表示される。

ここで、スペースキーを押してみよう。「めもり」が「メモリ」に変換されたはずだ(場合によっては「目盛り」など別の綴りかもしれない)。Cannaの初期設定では変換キーがスペースに割り当てられている。MS-IMEやATOKユーザーにはわかりやすいだろう。また、[ あ ]の表示が[漢字]に変わっているが、これは漢字変換中であることを示している。

もし目的の語がこの「メモリ」ならば、そこでEnterキーを押して確定する。目的の語が異なる場合は、もう一度スペースキーを押そう。すると、変換候補の一覧が表示される(画面19)。

画面19 変換候補一覧
画面19 変換候補一覧

この一覧からは、カーソルキーで候補を選択することができる。候補から選んだらEnterキーで確定する。

ひらがなのままでよければ、変換キーを押す前に確定すればいい。カタカナや英数に変換するには、変換キーの代わりに↑キーか↓キーを押す。↑キー押すたびに、半角英数→全角英数→半角カナ→全角カナ→ひらがなという順(↓は逆順)に変換されるので、目的の字種になったところで確定キーを押そう。

●注目文節の移動と範囲変更

変換時にCannaは自動的に文節を解釈するが、それが必ずしもユーザーの意向と一致するとは限らない。そういう時は、注目文節を調整する。「庭には二羽鶏がいる」と変換したいとしよう。「にわにはにわにわとりがいる」と入力して変換する。すると、「庭に埴輪鶏が入ル」と変換される。ここで「庭に」が反転表示されているが、これが注目文節である(画面20)。

画面20 注目文節
画面20 注目文節

ここでは「庭には」と次の「は」も同じ文節と解釈させたいので、Shift-→キーを押す。すると「庭には」が文節として解釈される。注目文節の範囲変更にはShift-矢印キーを使うのだ(画面21)。

画面21 注目文節の範囲を広げた
画面21 注目文節の範囲を広げた

さて、次の文節に移動しよう。文節間の移動は矢印キーを押す(Shiftは押さない)。→キーで次に移動する。「二羽」としたいところが「庭」になっている。ここで変換キーを押して候補一覧を見ても、「二羽」という漢字は出てこない(画面22)。

画面22 目的の文字が候補にない
画面22 目的の文字が候補にない

変換候補一覧表示を取りやめるのはCtrl-Gだ(候補一覧表示以外の時に押すと、全入力が変換前に戻るので注意)。注目文節が「にわ」に戻っている。そこで、Shift-←キーを押そう。文節が縮まり「に」と「わ」に分かれ「二」と「和」に自動的に変換されている(画面23)。

画面23 Ctrl-Gで候補一覧を取りやめ注目文節の範囲を縮める
画面23 Ctrl-Gで候補一覧を取りやめ注目文節の範囲を縮める

「二」はOKなので、→キーで「和」に移動し変換キーで候補一覧を表示し「羽」に変換する。→キーで最後の「入ル」に移動し、↓キーで「いる」に変換する(画面24)。

画面24 変換終了
画面24 変換終了

●その他の文字の入力

記号の入力には、Insertキーを使う。Insertキーを押すと記号候補一覧が表示される。それ以外にも、部首入力やコード入力などの方法があるが、ここでは割愛する。詳しくはCannaのWebサイトを参照してほしい。

Cannaの基本的な機能とキー操作を表1にまとめておく。

表1 Cannaの基本的な機能とキー操作
機能入力キー
起動/終了Shiftースペース
変換/候補一覧スペース
確定Enter
字種変更↑、↓
記号の入力Insert
注目文節の移動←、→
注目文節の範囲変更Shift-←、Shift-→
取りやめCTRL-G

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