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いまどきのインターネットインフラ事情

長距離無線LANで変わる山間部インターネット

2001年02月21日 04時13分更新

文● NETWORK MAGAZINE編集部

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NETWORK MAGAZINE
 このような設置の苦労を重ねて、11月から吉和村の村内ネットワークが稼働を開始した。基幹となる村役場から魅惑の里のインフラ以外には、それぞれの公共施設にもネットワークが整備されている。村役場からは、高齢者に対するデイサービスの介護を行なう福祉センターに2Mbps、すこやかホールに対して11Mbpsの無線ネットワークが敷設されている。また、妙音寺原中継所には4基のアンテナが設置されており、基幹の女鹿平山中継所以外に、吉和村小中学校や住民研修センターなどの公共施設に、11Mbpsのネットワークが整備されている。最後の魅惑の里にも、ふれあいホールやレストランなどといった周辺の観光スポットにネットワークが敷設されている。なお、この魅惑の里のみが周辺の施設と距離や高低差が少なく、建物が密集しているため、レストランに無指向性のアンテナを設置して、コスト削減を行なっている。こうして、村内ネットワークが無線LANにより完成した。

 吉和村村長の梅田氏

吉和村村長の梅田昭吾氏
吉和村村長の梅田昭吾氏
によると「まずはネットワークインフラの立ち上げで基礎作りをしたので、つぎは住民全体への利用拡大を考えていきたい」と言う。そのためには教育なども重要で、そういった活動にも力をいれていきたいということだ。

 長距離無線LANもその導入ノウハウなどに関して興味深いものがあることがお分かりいただけたと思う。指向性アンテナのための微妙な電波測定、設置場所の選定や電源の確保など、屋内無線LANでは思いつかないようなさまざまな条件をクリアしてこそ、初めて実現するものだ。そして山間部や過疎地などでは、拠点が点在しているケースが多い。そういった場所では、無線LANがネットワーク構築のための有効な選択肢であるというのが吉和村の事例なのだ。



吉和村のネットワーク事例地図
これが吉和村のネットワークだ!

八木アンテナ

1926年に、東北大学の八木秀次氏と宇田新太郎氏が発見した理論により発明された指向性の強いアンテナ。2人の名前をとって「八木宇田アンテナ」と呼ばれることもある。「波長の2分の1より長いエレメント(導体)は電波を反射し、波長の2分の1より短いエレメントは電波を放射(受信)する」という理論から、これらのエレメントを複数組み合わせて指向性の強いアンテナを作ることができる。一般的な地上波用テレビアンテナと言えば分かりやすいだろう。

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