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サン、初のコバルトブランド製品『Qube3J』を発表――コバルト事業本部も設置

2001年01月25日 21時18分更新

文● 編集部 佐々木千之

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サン・マイクロシステムズ(株)は25日、買収後初となるコバルトブランドのサーバーアプライアンス製品『Sun Cobalt Qube3J』を発表した。また“コバルト事業本部”を1月付けで新設し、コバルト・ネットワークス(株)取締役社長だった北島弘氏がコバルト事業本部長に就任したと発表した。今後は国内で、サーバーアプライアンス製品事業を積極的に進めるとしている。

『Sun Cobalt Cube3J』
『Sun Cobalt Cube3J』
サン・マイクロシステムズの菅原敏明代表取締役社長
サン・マイクロシステムズの菅原敏明代表取締役社長

サン・マイクロシステムズ代表取締役社長の菅原敏明氏は「サンは、コバルトのサーバーアプライアンスによって、ソフトウェアとハードウェアが統合された製品をラインアップに加え、より幅広い製品を企業やプロバイダーに提供できるようになった」と述べた。サンの従来のサーバー製品群は、大規模で、かつミッションクリティカル業務用途や複雑なホスティングサービス向けに利用されている。Qubeでは、それらの製品でカバーできない、個人や中小規模オフィスで専任の管理者/技術者がおけないようなユーザーに、限定された機能ながら管理の容易な製品を提供することを目指している。菅原社長はこの背景として、インターネットの企業での利用が進むにつれ、インターネットインフラの整備が大規模な企業から、中小の企業に広がっていることを挙げ、サンとしてそういった分野の開拓に乗り出す姿勢を示した。

サン・マイクロシステムズの北島弘コバルト事業本部長
サン・マイクロシステムズの北島弘コバルト事業本部長

続いて北島氏が製品について「よく聞かれることだが、サーバーアプライアンスとは、ネットワークアプリケーションを提供するための新しいインフラだ。コバルト製品ではOSをユーザーに意識させず、ウェブブラウザーの操作さえできれば運用できるという、運用の容易さを特徴としている。セットアップには最大でも15分あればいい」と、サンの既存のサーバー製品との違いを説明した。

今回発表されたQube3Jでは、OSはこれまでと同様にLinuxを採用しているものの、プロセッサーをMIPS系からx86互換の『K6-2』に変更している。この理由として、Qubeをサーバーアプライアンス向け専用アプリケーションの開発プラットフォームにする企業が増える中で、x86系であれば膨大なソフトウェア資産が利用できることを挙げている。アプリケーション開発会社は現在1600社に及んでおり、Windows NTサーバー向けのアプリケーション開発を行なっていた企業からの参入も多いという。

ソフトウェアの配布機能も備えた『Qube3J』

Cube3JにはメモリーやCPUクロック、RAID1のサポートなどにより、3つのモデルが用意されている。K6-2-300MHz、32MBメモリー、10.2GBのHDDを備えた『Sun Cobalt Qube3J』、64MBメモリー、20.4GBのHDD、UltraWide SCSIインターフェースを備えた『同Business Edition』、K6-2-450MHz、128MBメモリー、20.4GBのHDD×2(ミラーリング)を備えた『同Professional Edition』がある。価格はオープンプライスとしているが、同社販売代理店の日商エレクトロニクス(株)によると、Qube3Jが25万8000円、Business Editionが35万8000円、Professional Editionが45万8000円となっている。なお、販売には従来のコバルトの販売チャネルを利用するが、今後はサンの代理店もQube3Jの販売を行なえるようにしていくという。

『Sun Cobalt Qube3J』の背面
『Sun Cobalt Qube3J』の背面。IPアドレスの設定などは中央右の液晶ディスプレーとその下のボタンを使って行なう。液晶の表示も日本語化されている

また、組み込まれているアプリケーションは、クライアントパソコンに対してソフトウェアやパッチなどの配布が可能な『BlueLinQ Apprication Delivery』、ウェブサーバー、ウェブメール対応メールサーバー、ウェブキャッシュユーティリティーなど。

発表会では、実際にCube3Jを動作させて、セットアップを行なうデモンストレーションが行なわれたが、起動後に本体背面のスイッチでIPアドレスを設定すると、あとはAuto-Configureボタンを押すだけでDHCP、DNS、NATおよびイントラネット/インターネットの設定が完了する仕組み。

Q&Aセッションでは、サンが販売するサーバーの下位機種である“Netra”シリーズと競合しないのか、という質問が出たが、Netraはネットワーク管理者がいて、すでにSolaris向けに書かれたアプリケーションがあるような顧客向け、Qubeはソフトウェア資産などのない、まったくの新規参入やネットワーク系でない企業のインターネット事業向けに販売するとし、競合はまったくないと答えた。また近いうちに、コバルトのラックマウントタイプ製品も日本語化して発売するとしている。

サンはコバルトのサーバーアプライアンス製品と、Netraなどのサーバー製品によって、WindowsサーバーやLinux搭載PCサーバーといった製品を挟み撃ちにする戦略だ。

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