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サン、メインフレームの機能と信頼性を備えたUltraSPARC IIIサーバー

2001年04月09日 21時34分更新

文● 編集部 佐々木千之

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サン・マイクロシステムズ(株)は9日、都内で記者発表会を開催し、UltraSPARC IIIプロセッサーを最大24個搭載可能な、企業の基幹業務やデータセンター向けサーバー『Sun Fire ミッドフレーム・サーバ・ファミリ』を発表した。ハイエンドサーバー『Sun Enterprise 10000(Starfire)』やメインフレームでしか利用できなかった機能や信頼性をミッドレンジサーバーの価格で提供する。本日出荷開始だが、量産出荷は5月中旬を予定している。価格はモデルと構成により異なるが1427万円(『Sun Fire 3800』)から。

『Sun Fire 6800』『Sun Fire 6800』

Sun Fire ミッドフレーム・サーバは、『Sun Fire 3800』『Sun Fire 4800』『Sun Fire 4810』『Sun Fire 6800』同社のミッドレンジクラスUNIXサーバー『Sun Enterprise 3500』『同4500』『同5500』『同6500』の後継となる製品。Fireシリーズには、クロスバースイッチ方式によるシステム内部の接続技術“Sun Fireplaneインターコネクト”(※1)や、1台のシステム内部のリソースを複数の区画(プロセッサー、メモリー空間、HDDなどを含む)に分割し、それぞれの区画ごとに独立したサーバーとして、異なるOSを動作させられる動的物理分割機能(ダイナミック・システム・ドメイン)(※2)、システム稼働中でもプロセッサーの追加が行なえる動的再構成(ダイナミック・リコンフィギュレーション)(※3)、ハードウェアの完全二重化構成(※4)など、これまではStarfireやメインフレームでのみ利用可能だった機能を搭載した。その上で価格は最小構成で1427万円(3800)~5293万6000円(6800)と、これまでのミッドレンジクラスUNIXサーバーと同程度に抑えた。同社では、メインフレームの機能を持つミッドレンジクラスUNIXサーバーを“Midframe(ミッドフレーム)”と呼ぶとしている。

※1 Enterprise 10000もクロスバースイッチによる内部接続『Gigaplane XB』を採用しているが、今回のFireplaneとは別の技術。Fireplaneインターコネクトの実行帯域幅は毎秒9.6GBで従来のEnterprise 6500の3倍となっている。Gigaplane XBの実行帯域幅は毎秒12.8GB。

※2 3800/4800/4810では2ドメイン、6800では4ドメインの構成が可能。各ドメイン内のエラーはほかのドメインには影響しない。また、ドメイン構成を変更はシステムをリブートせずに行なえる。ここでいう“ドメイン”とはネットワーク上のひとまとまりの管理単位を指す。

※3 プロセッサーボードのほか、メモリー、I/Oコントローラーの増設、取り外しがシステムを稼働させたままで可能。また動的再構成機能ではないが、システムを稼働させたままOSにパッチを当てたり、バージョンアップしたりできる。

※4 データ/メモリーパス、システムコントローラー、インターコネクト、電源、冷却装置などあらゆるハードウェアが二重化されている。

Sun Fire 6800のシステム構成図
Sun Fire 6800のシステム構成図
動的物理分割機能の説明図
動的物理分割機能によって複数のサーバーとして利用できる

Sun Fire ミッドフレーム・サーバは、最低2基から最大8~24基(モデルにより異なる)のUltraSPARC III-750MHz、最大64~196GB(モデルにより異なる)のメモリーを搭載可能で、OSは『Solaris 8』以降。専用キャビネットか、19インチラックに収納する。ハードウェアのコンポーネントは9割が従来のEnterpriseシリーズと共通としており、システムボードや電源などEnterpriseとFire間で相互に交換が可能。プロセッサーは現行のUltraSPARC IIIだけでなく、次世代のUltraSPARC IV(仮称)にも対応し、異なる周波数、異なるプロセッサーの混在も可能。

なお、現行のEnterpriseシリーズは併売される。これはFireシリーズがサポートするOSがSolaris 8以上となっているため、既存のSolaris 2.5.1/2.6/7で業務システムなどを稼働させているユーザーのためとしている。

菅原敏明代表取締役社長
サン・マイクロシステムズ代表取締役社長の菅原敏明氏

発表会でサン・マイクロシステムズの菅原敏明代表取締役社長は「米国ではネット企業のスローダウンやシャットダウン現象が起きているが、これは米国企業はビジネスの動きに迅速に反応するためで、ネットエコノミーへのトレンドはまだ強いものがあり、すぐに復活するだろう。また、日本ではこれからブロードバンドの普及によってコンテンツの競争が起こることが予想され、サンのいう“Net Effect”(※5)が広い範囲で起こる」と述べた。そして、「サンは、こうした状況下でサーバーに求められる高可用性を満たす製品の開発を行なってきた。今回のSun Fireはミッドレンジの価格帯でメインフレームの性能を実現した」と、その能力の高さとともにコストパフォーマンスの高さについてもアピールした。

※5 ネットエフェクト:サンの造語で、インターネットが持つ、ネットワークビジネスの予測できないような急激な成長と機会を指す言葉。

山本恭典統括部長
エンタープライズサーバー事業部の山本恭典統括部長

またFireシリーズの機能について説明した、同社のエンタープライズサーバー事業部の山本恭典統括部長は「日本のお客様からは『今使っているメインフレームをオープンシステム(UNIXサーバー)に置き換えたい』という声が非常に強い。サンはUNIXサーバーでは1位になった。今後はメインフレームに対して挑戦する。そして将来はさらに上の信頼性、可用性が求められるテレコム分野にもチャレンジしていく」と自信と期待をのぞかせた。

サンは、Fireシリーズの開発に当たっては、'97年1月に発表し現在までに4000台を販売したというハイエンドサーバーStarfireの経験を生かしながら、さらにメインフレームの機能を取り入れたとしている。これまでUNIXサーバーは企業システムの中で、メインフレームと一緒に使われていたというが、メインフレームの役割を果たせるように機能強化したことで、メインフレームが占めていた基幹業務向け市場にいよいよ本格的に乗り出す構えだ。

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