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A7M266

A7M266

2001年01月25日 00時00分更新

文● 鈴木雅暢

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A7M266

ASUSTeK

オープンプライス(実売価格2万4000円前後)

ASUSTeK「A7M266」は、FSB266MHz&PC2100 DDR SDRAMを正式サポートする初めてのAMD760搭載マザーボード。RegisteredタイプのDIMMモジュールに似た安定化アプローチを採用するなど独自の工夫がみられる。

FSB266MHz&PC2100 DDR SDRAMサポート
DDR DRAM用PLL ICを実装

 ASUSTeK「A7M266」は、AMD-760(のNorth BridgeであるAMD-761)を搭載したAthlon/Duron用マザーボード。AMD-761搭載ボードとしては12月初旬にGigabyteのGA-7DXCが登場して以来、2枚目のボードとなる。GA-7DXCは、チップセットレベルでは本来サポートしているはずの「FSB266MHzおよびPC2100 DDR SDRAMの動作保証がない」という制限付きのボードであったが、本ボードではFSB266MHz、PC2100ともにサポートを明記しており、FSB266MHz/PC2100をサポートした初のAMD-761ボードということになる。

 ASUSTeK製のボードに共通する黄土色のPCBはサイズも306×244mmと一般的で、レイアウトも奇抜なところのないオーソドックスなもの。同じAMD761搭載ボードであるGA-7DXCと比較すると、North Bridgeにはヒートシンクファンが取り付けられている点は同じだが、そのほかレイアウト的に目立つ共通点はないようだ。CPUソケット周りには比較的広いスペースが確保されており、背の高いコンデンサもないため、CPUクーラーの取り付けなどで特別に神経を使う心配はないだろう。



オーディオ機能は、686Bが持つAC'97オーディオ機能ではなく、別途C-MediaのPCIサウンドチップ「CMI8738」を実装。4チャンネル出力にも対応する。
 拡張スロットの構成は、AGP Pro×1、PCI×5、AMR×1(一番下のPCIスロットと共用)と、Athlon/Duron用プラットフォームとしてはオーソドックスなもの。South BridgeにはGA-7DXCと同じく、VIAのVT82C686B(以下686B)を採用している。オンボードデバイスとしてはC-Mediaの「CMI8738」を実装、4chサウンド機能が利用できる。3ComのEthernetコントローラチップ用のパターンも用意されているが、本ボードでは実装されていない。また、背面パネル部にある2つのUSBポートに加えて、さらに2つのUSBポート追加できるブラケットを同梱しており、South Bridgeの686Bがスペックとして持つ4つのUSBポートがフルに利用できる。

 DDR DIMMソケットは2本あるが、マニュアルには、「ボード上に搭載できるメモリはメモリチップ18個分までに限る」と記載されている。現在市場に出回っているDDR DIMMモジュールは128Mbitチップ(これが8個載っているモジュールが128MB)によって構成されるものがほとんどであるため、現状では128Mbitチップ16個分である256MBが、事実上の最大容量ということになりそうだ。DIMMソケットの脇にさらにソケット2本分のパターンが残っていることとあわせて、DDR SDRAMの安定動作に関しては数多くトライ&エラーが繰り返されたことは想像に難くない。



システムのクロックジェネレータとは別に実装されているDDR DRAM用PLL IC「93857AG」(ICS)。
 これに関連したDDR DIMM周りの仕様としておもしろいのは、CPUソケット脇に小さなICチップを実装していること。表面に「93857AG」とプリントされているこのICは、ICS(Integrated Ciruit Systems)製のDDR DIMM用のPLL ICで、Registered DDR DIMMモジュールにDRAMチップ用クロックジェネレータとして実装されているものと同じもの。ICSのデータシートによると1つの入力クロックを10個までの異なるクロックに分配できるとされている。



「93857」(ICS)のデータシート。DDR DRAM用のPLL ICであることがわかる。
 一般的なマザーボードの場合、DRAMが動作のタイミングをとるクロックは、メインのクロックジェネレータから各DIMMモジュールへ、そしてモジュール内で分岐して各チップへ供給されるのだが、Registered DIMMの場合、メインのクロックジェネレータからのクロックをDRAM用クロックジェータが受け、そのクロックジェネレータでモジュール上の各メモリチップそれぞれに供給するクロックを生成して別々に供給する形をとる。モジュールごとにチップ数は異なるし、スペック的にもクロックラインが足りないため、Registered DIMMのようにこのチップが直接モジュール上の各チップへのクロックを1つ1つ作り出しているというのは考えにくい(このボードはRegistered DIMMにも対応しており、その場合のトポロジの説明もつかない)のだが、メインのクロックジェネレータで生成されたクロックがモジュールに到達する間にこのチップを経由するだけでも、スキュー(信号線間のタイミングのズレ)やノイズの影響による波形のゆがみを減らすことができ、DDR DIMM周りの安定化に貢献していることは間違いない。



参考。Unbuffered DDR DIMMモジュール(上)とRegistered DDR DIMMモジュール(下)の接続形態の相違。Registeredタイプではモジュール上にクロックジェネレータ(PLL IC)とコマンド/アドレス信号を一時蓄えておくレジスタを実装することでスキューを抑えているため、互換性、安定性に優れる。AMI(Advanced Memory International)にのプレゼンテーション資料より。

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