2/3インチ原色CCDを搭載したオリンパスのデジタルカメラも、「C-1400L」、「C-1400XL」、「C-2500L」と続き、今回4世代目で型番やデザインを一新。この秋、本格的なデジタル一眼レフカメラ「CAMEDIA E-10」となって登場した。
本格的一眼レフカメラにふさわしいスペック
基本仕様は、2/3インチ400万画素原色インターレースCCD、最大記録画素数2240×1680ドット、35mmフィルム換算で35~140mm、F2.0~2.4の光学4倍ズーム(マクロ撮影はズーム全域で最短20mm)、ISO感度Auto/80/160/320、TTL一眼レフファインダに加えマルチアングル1.8型TFTカラー液晶モニタを搭載、デュアルメディア(CFカードとスマートメディア)対応、外部フラッシュ対応、AEロック、ワンプッシュ・ホワイトバランス、ヒストグラム表示、CCD RAW(※1)対応など、現在考えられる仕様はすべて盛り込まれている。デザインは従来のデジタルカメラとは明らかに違い、レンズ交換はできないもののかなり本格的。実際のホールド感も適度に重く安定感がよい。
アルミダイキャスト製ブラックボディは一眼レフ的な重厚さを演出するだけでなく、プロユースにも耐えられる堅牢さを持つ。 |
広い視野角を持つ光学式ファインダに加えてマルチアングル液晶モニタをビューファインダとして使用すればローアングルの撮影も容易だ。 |
画質はいい意味でC-1400L以降の流れをくむ。素材性重視で眠い絵作りのデジタルカメラが多いなか、このE-10はレタッチなしでそのまま最終画像になりうる硬調な絵作りだ。EDレンズ(※2)、非球面レンズ2枚、全面マルチコート(※3)など、新開発レンズとのマッチングが非常によく、色収差(※4)も少なくクリアで抜けがいい(※5)。月刊ASCII Digital Buyer1月号のデジタルポートレートギャラリー(P.188~P.191)はすべてE-10で撮影したものであるが、暗く小雨の降る悪天候の中、あれだけ伸ばしてもびくともしない。このカメラの持つポテンシャルを表しているといえるだろう。
実際に撮影してみると非常にキビキビ動き、その反応のよさはレンズ交換式のデジタル一眼レフに迫る。従来のコントラスト検出型AFに加えて赤外線を使ったデュアルAF方式も調子よく、どんなシーンでもピントを外すことはない。バッテリは液晶表示や内蔵フラッシュを多用しない限りかなり長持ち。バッファの関係から速写は4枚までだが、オートブラケットを考えると許容範囲だ。しかし、シャッター速度の上限が1/640秒というのは、レンズの明るさを考えると不足気味。ピーカンの状況ではNDフィルタなどを使う必要があるだろう。また、撮影時の快適さに比べて再生時は少しもたつく。筆者的に唯一残念な部分である。
設定メニューは豊富で、露出モードや測光方式、画像補正処理などデジタルカメラのなかでは非常に強力だ。 |
最近流行の超小型でかわいい路線とは正反対の硬派なE-10、価格が19万8000円ということもあり、本格的にカメラを楽しみたいハイアマチュア層がターゲットになるものの「今日は気合いを入れて撮ってみよう!」というときにぜひ欲しい一台だ。
※1 CCD RAW カメラ側で撮影データをまったく加工しない保存方式。※2 EDレンズ 望遠レンズに起こりがちな色収差をおさえるため、通常のガラスに比べて色の違いによる屈折率の誤差の少ない特殊低分散ガラスを使っているレンズ。
※3 全面マルチコート レンズ表面の光の反射を防止するための多層コーティングを、レンズのすべての面に施すこと。
※4 色収差 光の色による屈折率の違いのため、色がずれて飛び出して見えてしまうこと。
※5 抜けがいい ボケ・色ずれの少ないシャープな画質が得られること。
主な仕様
製品名 | CAMEDIA E-10 |
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撮像素子 | 2/3インチ原色系400万画素 |
メモリ | コンパクトフラッシュTypeI/II、スマートメディア |
レンズ | 35~14mm(35mm判換算) |
露出制御 | ESP、中央部重点、スポット |
絞り | F2~2.4 |
シャッター速度 | 8~1/640秒、バルブ |
インターフェイス | USB、NTSC |
電源 | リチウム電池パック、単3乾電池×4 |
撮影可能枚数 | 8MB使用時:SHQ約2枚/HQ約8枚/SQ(1280×960ドット)約23枚 |
本体サイズ | 128.5(W)×161(D)×103.5(H)mm |