映像も録れるPCであるC1を、映像を録るためのPCへと発展させたGTだが、そのハードウェアスペックはCPUにCrusoe TM5600-600MHzを採用し、メインメモリは128MBをオンボードに搭載するなど、PCG-C1VJとほぼ共通となる。液晶は6.4インチTFTと小型化されているが、ビデオチップはC1と同じく8MBのビデオメモリを内蔵するATIのMobility-M1を採用し1024×768ドット/フルカラー表示が可能だ。また、より多くの映像を記録できるようにHDDは20GBへと容量アップが図られている。リアルタイムに動画をエンコードし続けるなどという負荷の大きな作業はCrusoeの最も苦手とするところだが、実用上は特にストレスを感じることはない。また、ライブ配信用の画像をエンコードしている場合でもCPUは常にフルパワーで動作し続けるのではなく、動作クロックが300MHzまで落ちている時間も意外に長いので、Crusoeの恩恵を十分に受けることができる。試しにライブ配信用の映像をビットレート20kbpsでHDDに保存し続けてみたところ、1時間30分以上もバッテリのみで駆動できた。実際、屋外でのライブ配信ではさらにPHSカードなどを利用しなくてなならないため、駆動時間はこれよりも短くなると思われるが、30~40分程度の映像であれば余裕で中継できそうだ。
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GT1のバッテリはC1シリーズと共通。搭載場所もC1シリーズと同じく液晶のヒンジの間だ。Crusoeを採用するとはいえ、バッテリの絶対的な容量が小さいので、CPUをフルパワーで連続動作させると長時間の駆動は期待できない。 |
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本体右側面には付属ケーブルを介して画面出力と音声出力が可能なAV出力端子を装備する。友達が集まったときなど、GTで撮影した画像をテレビに表示してみんなで楽しむといったことが可能だ。 |
プリインストールされるアプリケーションもC1VJとほぼ共通であり、URecSight以外のVAIOオリジナルアプリケーションもほかのVAIOシリーズ同様に揃っている。ただし、6.4インチにしては高解像度過ぎ、文字やアイコンの表示サイズが小さい液晶とキーボードのサイズのせいで、URecSight以外のソフトをGTで使うのはあまり実用的とは言えない。C1VJとほぼ同じ横幅を持つGTは、CCDカメラの分だけキーボードが小さくなり、キーピッチは14mmとミニマムだ。キーストロークは1.5mm確保されておりキータッチはクリック感がはっきりして心地よいが、ホームポジションでは4本の指をぴったりくっつけた状態になり、非常に窮屈でストレスは大きい。またキーボード周囲の1列を除いて均等ピッチが保たれているとはいえ、右Shiftや「-」「\」など一部のキーが変則的な位置にレイアウトされているので、アルファベットキーだけならともかく、記号キーなどの入力に慣れるまでは時間がかかるだろう。
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7段という変則的なレイアウトを持つキーボード。タッチは悪くないが、サイズには慣れが必要。MOTION EYEの大きさが「録ること」へのこだわりを示している。 |
ビジネスアプリを使うミニノートPCとして評価するならGTよりもC1VJのほうがはるかに上だ。パーソナルキャスティングに興味がなければ、GTを購入する意義は薄い。しかし手軽にインターネットを通じた映像のリアルタイム配信を行いたいと思っていたユーザーにとっては、GT以上の選択肢はあり得ないだろう。生中継したいイベントを計画しているなら、今すぐにGTを購入してパーキャスTVでライブ配信を予約することをお勧めする。発信したい情報を持っている人にとってこれ以上楽しめるPCは存在しないだろう。
CPU |
Crusoe TM5600-600MHz |
メモリ |
128MB |
液晶 |
6.4インチ |
解像度 |
1024×768ドット/フルカラー |
HDD |
20GB |
CD-ROM |
オプション |
通信 |
モデム |
サイズ |
241(W)×155.5(D)×40~44.8(H)mm |
重量 |
約1.1kg |
OS |
Windows Millennium Edition |
Officeアプリ |
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