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どうなる!? 一太郎Ark for Javaのライセンス

2000年05月20日 00時00分更新

文● 吉川

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 「一太郎Ark for Java」(以下Ark)のソース公開が報道され話題を呼んでいるが、そのライセンス形態は一体どうなるのだろうか? 日刊アスキー Linux編集部では、ジャストシステムに質問のメールを送り回答をいただいた。まだ正式発表前の段階であり、詳細が決定されるのはこれからとのことなので、「現時点では」という注釈のもとで、あくまで参考としてお読みいただきたい。

ライセンス形態

 まず、Arkの「ライセンス形態」はどうなるのだろう? GPLなどの、いわゆるオープンソース的なライセンスが適用されるのだろうか? 答は「No」だ。Arkのライセンスは、ジャストシステムが独自で決めたライセンス形態が適用される。

ライセンス料金

 次に、ライセンス料金にはどうなるのだろうか? Arkのコードを含んだソフトウェアを開発/販売した場合、ライセンス料金が発生する。それはいくらになるのか? その答えは、「Arkのコードが含まれている場合、その製品ごとに、Ark1本分のライセンス料が発生する」ということである。

 では、Arkのコードが入ったメーラを開発して販売した場合、Arkのライセンス料(9800円)以下-たとえば5000円-でそのメーラを販売することは不可能なのか?
 これについては、そもそも、さまざまなシチュエーションによって(たとえば販売数や、開発者が法人か、個人かという違い)、ライセンス料が安くなる場合もあるので、一概に「ライセンス料は9800円」とは言えないという前提がある。しかし、基本的には「1パッケージに1ライセンス」という形のライセンス料が発生することになるそうだ。あくまでも想像だが、「コードの卸販売/OEM」的なイメージに近いのかもしれない。

ジャストシステムのねらい

 一方、ジャストシステムでは、ソースを公開直後は、Arkのコードを組み込んだソフトウェアよりも、「ソースコードを参照して作り出されたArk用のプラグインソフト」が登場してくると予想している。Arkはもともと、さまざまな機能を持ったプラグインを追加できるように設計されており、インターフェイスが公開されている。しかしプラグイン開発者の中からは、インターフェイスだけではなく、ソースを公開してほしいという要望があった。今回のソース公開は、こうした声への、ジャストシステムの回答ともいえる。そして、Arkのプラグインが広がれば、Arkそのものの販売数も当然伸びるはずである。

 では、もしArkのソースコードを含んだソフトウェアが、ジャストシステムに未申告のまま販売されてしまったらどうなるのだろう? これについては、「ソフトウェアの不正コピーと一緒」であり、信義に関わる問題だという。当然こうした被害には法的措置もあり得る。

 以上が、現時点でお伝えできるArkのライセンス形態である。ジャストシステムでは、詳細は今後マーケティング・営業的に検討していかねばならないとしている。同社としては、開発者/開発メーカーと良い関係を保ち、ともに市場拡大を目指していきたいとのことだ。まずは、日本でもっともメジャーな一大ソフトウェアメーカーの英断に注目したい。

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